女優・モデルの菊池亜希子エッセイ『へそまがり』が発売! コンプレックスのある人生を愛する理由とは?

女優・モデルの菊池亜希子エッセイ『へそまがり』が発売! コンプレックスのある人生を愛する理由とは?

女優としても著者としても活躍する菊池亜希子さん。そんな菊池さんの書き下ろしエッセイ『へそまがり』が3月26日(木)に発売されました。雑誌『リンネル』に掲載された第1回から第42回までと、特別書き下ろしエッセイが収録されています。菊池さんのチャーミングな言葉で綴られた、日々の暮らしが豊かになるエッセイ集をお見逃しなく!

≪目次≫
●書き下ろしエッセイ『へそまがり』ってどんな本?
●ノッポ・コンプレックス
●PROFILE

書き下ろしエッセイ『へそまがり』ってどんな本?

映画やドラマ、舞台などで女優として活躍の幅を広げる一方、雑誌などで多数の連載をもち、著者としても活躍する菊池亜希子さん。リラックスした雰囲気があるけれど個性的なファッションや、ほっこりするイラストなど、その独自の世界観にはファンも多く、著書も多数出版しています。

結婚、出産と人生の転機を迎え、ライフスタイルの変化とともに、その魅力はますます深まり、ファンを魅了し続けています。

今回発売されたエッセイ集では、タイトルの由来が語られる初回の『へそまがりな女』、お子さんが生まれたエピソードの『3人になった日』、友人とのやりとりを描いた『グラフチェックのあの子』など、家族・おしゃれ・暮らし――さまざまなテーマのエッセイを楽しめます。さらに、妊娠から出産までをまとめた特別書き下ろしエッセイも収録。昔の自分を思い出したり、今の自分を見つめ直したり……そんなきっかけをくれる、やさしい気持ちになれる一冊です。また、イラストレーター・小川雄太郎さんがエッセイからのイメージで手がけた、連載時の背景イラストも楽しめます。

さまざまなテーマで語られたエッセイの中から、菊池さんがコンプレックスとの向き合い方を告白した『ノッポ・コンプレックス』のエピソードの一部をご紹介します。

ノッポ・コンプレックス

ドラえもんのひみつ道具に“デビルカード”というアイテムがある。1回振ると300円出てくるのだけど、その代償として深夜0時に身長を1ミリ悪魔に捧げなければならないという恐ろしい代物だ。この道具の存在を知ったとき、小学生だった私は心の底から欲しいと思った。背の順で一番後ろなのが本当に嫌で嫌で仕方なかった私は、「お小遣いが増えるうえに身長が低くなるとは、なんて夢のような道具なんだ!」と打ち震えた。いやむしろ、お小遣いなんて増えなくていいから、この身長を悪魔にくれてやりたかった。その強い気持ちは、実は今でもあまり変わらない。私のノッポ・コンプレックスの歴史は長く、そして根深い。

身長を生かした仕事ができているのだから、「今はこの身長が私らしくて大好きです!」と胸を張って言えればいいのだけど、それがなかなか難しい。なんてったって私自身、“身長のちっちゃい女の子”が大好きなのだから。私はハロー!プロジェクトの女の子たちが大好きなのだけど、それもそもそもは“ちっちゃい女の子好き”の血が影響しているからかもしれない(ハロプロは小柄な子が多い)。だけど時々、アイドルにしては背が高めで、本人もそれを気にしているのか、猫背気味で申し訳なさそうにしている子がいたりする。そういう子を見つけると、なんだか居たたまれないような愛おしいような複雑な気持ちがムクムクと膨らんで、屈折した眼差しで見つめてしまう。自分自身のコンプレックスは到底そんな風に思えないけど、人のコンプレックスというのは、時として色気や魅力に変換されるということも少なくない。

私の身長は日本人男性の平均よりやや高い。だから恋愛対象になりにくいと自覚している。だけど、だからといって恋をしにくいかと言ったら、実はそんなことはない。例えばこんなとき。道幅の狭い歩道で傘をさして歩いていて、向かいから同じく傘をさして歩いてきた男性がひょいと傘を上に持ち上げてすれ違ってくれようものなら、ノッポの私はもうそれだけでトキメいてしまう。“小さいもの”として扱われることに慣れていない私は、自分がなんだか小さくてかわいい女の子になったような錯覚に陥り、嬉しくなってしまうのだ。よく、「頭ポンポンとかされるのほんとに嫌! そんなんで好きになるとか思ってるの!?」とプリプリ怒っている女の子がいるけれど、そういうことを言っている子は大抵小柄だ。そもそも物理的にポンポンされにくく、世の女子たちが当たり前に見ている景色や体験に慣れていないノッポ女子は、簡単なことでトキメいてしまう傾向にあるような気がする。

今日も私はぺたんこの靴を履いて街へ出る。電車に乗れば、オジさんに二度見される。頭のてっぺんを見て(わ、大きいなあ)、足元を見て(高い靴を履いているのかな……と思ったけどぺたんこだ)、また頭上を見る(背、でかいなあ)、そんな心の声が聞こえる。それでも私はめげない。大好きなくらもちふさこ先生の『こんぺいと・は・あまい』という作品の中で、猫背で歩く主人公が「ゴリラ!」とからかわれるシーンを思い出して、ゴリラになりたくない私はすっくと背筋を伸ばす。この漫画の主人公が猫背になった理由は、身長ではなく胸の膨らみに抵抗があったからなのだけど、どっちにしたってゴリラは嫌だ、女の子だもの。結局のところ、昔だって今だって、私はかわいいひとと言われたいのだ。Charaだって、そう歌ってた。どう思われようとへいちゃらな人は、きっとコンプレックスなんてないのだろう。だったら一生コンプレックスを抱えて生きていく人生のほうを、私は愛したい。ノッポのかわいいおばあちゃんになるために。コンプレックス、バンザイ。

女優・モデルの菊池亜希子エッセイ『へそまがり』が発売! コンプレックスのある人生を愛する理由とは?
出典: FASHION BOX

PROFILE

菊池亜希子(きくち・あきこ)

1982年、岐阜県生まれ。女優・モデル・『菊池亜希子ムック マッシュ』編集長。モデルとしてデビューし、その後、映画やドラマ、舞台など女優としても活躍。
主な出演作に映画『ぐるりのこと。』『森崎書店の日々』『グッド・ストライプス』『海のふた』など。著書に『菊池亜希子ムック マッシュ VOL.1〜10』(小学館)、『好きよ、喫茶店』(マガジンハウス)、『おなかのおと』(文藝春秋)など。

(抜粋)

女優・モデルの菊池亜希子エッセイ『へそまがり』が発売! コンプレックスのある人生を愛する理由とは?
出典: FASHION BOX

 

書籍『へそまがり』
著者:菊池亜希子

イラスト:小川雄太郎
協力:テンカラット
WEB編集:FASHION BOX
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