今年、クロノグラフを手に入れるなら、まず注目したいのが、過去の傑作の完全復刻版や、傑作からインスピレーションを受けてデザインされたヴィンテージ感たっぷりの「復刻調」モデル。どちらも機能や精度、品質は最新仕様だから安心! 今回は時計マスターの名畑政治さんと渋谷ヤスヒトさんが2020年に発表された新作モデルの中から、注目する復刻クロノグラフを3本ずつ紹介してくれた。
≪目次≫
●今年は「復刻クロノグラフ」の当たり年!
●名畑政治が選ぶ復刻モデル注目の3本 01.「目を引くモード系ヴィンテージ調に注目」
●名畑政治が選ぶ復刻モデル注目の3本 02.「定番化してほしい1953年生まれの名機」
●名畑政治が選ぶ復刻モデル注目の3本 03.「当時のアラビア数字やブランドロゴまで復刻」
●渋谷ヤスヒトが選ぶ復刻モデル注目の3本 01.「憧れのモノプッシャークロノが何と50万円台で」
●渋谷ヤスヒトが選ぶ復刻モデル注目の3本 02.「トノー型ケースが新鮮で魅力的」
●渋谷ヤスヒトが選ぶ復刻モデル注目の3本 03.「復刻を超えた大胆デザイン」
●教えてくれたのは……
今年は「復刻クロノグラフ」の当たり年!
渋谷ヤスヒト(以下、渋谷) 「オールドスタイルの復刻」が、今年のクロノグラフの最大のトレンド。そこで、名畑さんと私で、注目している復刻クロノグラフを3本ずつ挙げてみました。
名畑政治(以下、名畑) クロノグラフに限らず「復刻」は、ここ数年、ずっと続いている高級時計全体の大きなトレンド。
渋谷 復刻といっても、名畑さんが挙げられたロンジンの『ヘリテージクラシック クロノグラフ1946』やブライトリングの『AVIREF・7651953 リ・エディション』のように1940年代、1950年代のモデルのデザインを忠実に復刻したモデルもあれば、モンブランの『モンブラン 1958モノプッシャー クロノグラフ リミテッドエディション 1958』のように過去のモデルを再解釈したものや、私が注目する『ヘリテイジ モノプッシャー クロノグラフ』のように、当時のモデルをデザインのインスピレーションにした「復刻調」モデルまで、「復刻」のカタチは様々です。
名畑 搭載されているムーブメントもマニュファクチュール(完全自社開発製造)・キャリバーではなく汎用ムーブメントを使ったものが多い。だから時計コレクターからすれば厳密には「復刻」ではない。でもヴィンテージ感たっぷりで、価格もリーズナブル。
渋谷 モンブランの「モノプッシャー」タイプも、クロノグラフのトレンドのひとつですね。以前はモノプッシャークロノグラフといえば、オールドムーブメントを使ったコレクター向けの超高価な限定モデルだけで、欲しいと思っても諦めるしかなかった。それがリーズナブルな価格で楽しめるのは嬉しいし、すごいと思います。
名畑 それよりは新しいけれど「ゼニス」「ハミルトン」が発表、発売中の、1970年代前後の、自動巻きクロノグラフの復刻モデルも、クロノグラフの購入を考えているなら、ぜひ注目したいもの。
渋谷 昨年2019年は、1969年の自動巻きクロノグラフの誕生・発売からちょうど50周年で記念モデルが続々と登場しましたが、今年も当時の復刻モデルが登場しています。
名畑 この年はついに完成した「世界初の自動巻きクロノグラフムーブメント」3種類を搭載した、「世界初の自動巻きクロノグラフ」が各社から発表・発売された記念すべき年。
渋谷 ブライトリング、ホイヤー(現タグ・ホイヤー)、ハミルトン、ビューレン(現在は消滅)連合の「クロノマチック」を搭載したモデル、そしてゼニスの「エル・プリメロ」。さらにセイコーの「キャリバー61系」ですね。
名畑 当時の諏訪精工舎(現セイコーエプソン)の開発者から「5月に世界初とは思わずに製品を発表した」という話を直接聞いたので、セイコーが事実上、世界初というのが真相のよう。
渋谷 当時のデザイン、今もまったく色褪せていない。カッコいいですよね。
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名畑政治が選ぶ復刻モデル注目の3本
01.「目を引くモード系ヴィンテージ調に注目」
「グランプリ・ドゥ・モナコ・ヒストリック」の公式スポンサー&タイムキーパーに就任したタグ・ホイヤーの記念限定モデル。レッド&ホワイトのダイヤルがスポーツカーを彷彿とさせ、ひと目で引き込まれる存在感はさすが。1~2時位置にヒストリカルレースカーのロゴを配し特別感をアピール。世界限定1000本。
TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
モナコ グランプリ・ドゥ・モナコ・ヒストリック リミテッドエディション
¥740,000 世界1000本限定
問い合わせ先:LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー 03-5635-7054
SPEC:ケース幅39mm、10気圧防水、自動巻き、パワーリザーブ約80時間、SSケース、カーフストラップ
<最新自社製ムーブ搭載!>
搭載ムーブメントは最新の自社製クロノグラフ「キャリバー ホイヤー 02」。ケース裏からはその姿も楽しめる。
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名畑政治が選ぶ復刻モデル注目の3本
02.「定番化してほしい1953年生まれの名機」
過酷な飛行向けのシンプルでタフなモデルを復刻。インデックスに経年変化を再現した蓄光材を塗布。積算計は15分と12時間。オリジナルは手巻き・非防水。そこであえて手巻き化した自社製ムーブメントを搭載。そして3気圧防水に。
BREITLING(ブライトリング)
AVI REF. 765 1953 リ・エディション
¥990,000 1953本限定
問い合わせ先:ブライトリング・ジャパン 03-3436-0011
SPEC:ケース径41mm、3気圧防水、手巻き、パワーリザーブ約70時間、SSケース、ブラックレザーストラップ
<あえての「手巻き」モデル>
ムーブメントは自社製の「キャリバーB01」をリ・エディションモデルのために手巻き化した「キャリバーB09」。
名畑政治が選ぶ復刻モデル注目の3本
03.「当時のアラビア数字やブランドロゴまで復刻」
いくつもの傑作を生み出してきた名門ロンジン。これは1940年代のドレッシーなクロノグラフをそのまま再現。白いダイヤルに黒のインデックス、青いリーフハンドに品格が宿る。このシンプルさを生かし、カラーストラップで遊ぶのも楽しい。
LONGINES(ロンジン)
ヘリテージクラシック クロノグラフ1946
¥361,000
問い合わせ先:ロンジン 03-6254-7351
SPEC:ケース径40mm、3気圧防水、自動巻き、パワーリザーブ54時間、SSケース、レザーストラップ
<オリジナルを忠実に復刻>
オリジナルは名称通り1946年製のこのモデル。この時代なのでオリジナルはもちろん、手巻きで非防水。
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渋谷ヤスヒトが選ぶ復刻モデル注目の3本
01.「憧れのモノプッシャークロノが何と50万円台で」
モンブランが資産を受け継いだ名門「ミネルバ」が得意としていたモノプッシャー(ワンプッシュ)クロノグラフの機能とデザインを、最新の技術で再現した新作。サーモンピンクダイヤルにツーインダイヤルというクラシックスタイルは、スーツスタイルとの相性も抜群。
MONTBLANC(モンブラン)
ヘリテイジ モノプッシャー クロノグラフ
¥545,000
問い合わせ先:モンブラン コンタクトセンター 0120-39-4810
SPEC:ケース径42mm、5気圧防水、自動巻き、パワーリザーブ約48時間、SSケース、アリゲーターストラップ
<これがオリジナル>
オリジナルはクロノボタンがリューズの上にある。この新作はリューズと統合されている。
渋谷ヤスヒトが選ぶ復刻モデル注目の3本
02.「トノー型ケースが新鮮で魅力的」
1969年に誕生したゼニスのクロノグラフムーブメント「エル・プリメロ」とその搭載モデル。その最初期、1971年までに生産された希少なトノー型ケースの「A384」というモデルを、ラダー型の当時のブレスレットまで完全復刻。
ZENITH(ゼニス)
エル・プリメロ A384 リバイバル
¥880,000
問い合わせ先:LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス 03-3575-5861
SPEC:ケース径37mm、5気圧防水、自動巻き、パワーリザーブ約50時間、SSケース&ブレスレット
<“パンダ”ダイヤルも魅力>
文字盤は白に黒のインダイヤルという、いわゆる「パンダダイヤル」。これも人気のカラーリングだ。
渋谷ヤスヒトが選ぶ復刻モデル注目の3本
03.「復刻を超えた大胆デザイン」
1969年にハミルトンが共同開発した世界初の自動巻きクロノグラフムーブメント「キャリバー11」を搭載し、1970年代に発売された「クロノマチックE」。これを現代的に解釈したモデル。精悍でスポーティなデザインが新鮮だ。
HAMILTON(ハミルトン)
クロノマチック50
¥301,000
問い合わせ先:ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7371
SPEC:ケース径48mm、自動巻き、10気圧防水、パワーリザーブ約60時間、SSケース、パンチングカーフストラップ
<色使いも1970年代テイスト>
宇宙船を彷彿させる、独特なケースの形や、黒、赤、白とスポーティな1970年代風の色使いも斬新!
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教えてくれたのは……
名畑政治さん
【Profile】
1959年、東京都生まれ。1980年代半ばからライターとして活動開始。アウトドア、カメラ、ファッション、時計などの分野で豊富なコレクションをソースとして取材・執筆。1994年からスイス時計見本市の取材を欠かさず継続。
渋谷ヤスヒトさん
【Profile】
1962年、埼玉県生まれ。徳間書店で文芸編集者を経て月刊モノ情報誌『GoodsPress』編集部。副編集長を経て退社後、『エスクァイア日本版』編集部を経て独立。1995年からスイス時計見本市の取材を現在も継続中。
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文/名畑政治、渋谷ヤスヒト
撮影/木村武司
(MonoMaster 2020年8月号)
WEB編集/FASHION BOX
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