『呪術廻戦』で注目の“呪い”はリアルに存在する!? 現代社会の“呪い”とは?

『呪術廻戦』で注目の“呪い”はリアルに存在する!? 現代社会の“呪い”とは?

縄文時代から現代まで続く「呪術」

現代社会には「呪い」があふれている。そう聞いても日常生活において呪いを実感する人は少ないだろう。縄文時代から近代に至るまで人々は、人智を超えた現象や、事故や災害、病気などの不条理に対して、神頼みをし、呪術にすがった。しかし科学技術の発達によって現代人は、ほとんど呪術に頼らずに生きていけるようになった。

一方で、朝のニュース番組内ではその日の運勢が紹介され、受験シーズンには合格祈願のお守りを身につけ、日本を代表する一流企業からベンチャー企業までオフィスには神棚が祀られていることが多い。あるいは、「靴下を左足から履く」といったジンクスも呪術の一種といえるだろう。

では呪術はまったく効果がないか、といったらそうともいい切れない。例えば、病気に効果がない偽薬を飲んだ患者が症状を改善させる「プラシーボ効果」などは広く知られている。呪術がもたらす心理の変化は、人体に影響を及ぼすこともあるのだ。だからこそ、科学技術が発達した現在においても人々は神仏にすがり、呪術を恐れるのである。

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大ヒットマンガ『呪術廻戦』とは?

2018年3月から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載がはじまった芥見下々(あくたみげげ)先生のマンガ『呪術廻戦』。累計発行部数3600万部を突破した大ヒットマンガは、この呪術と呪いを軸にしたストーリーだ。

世界記録級のアスリートを超える身体能力を持つ主人公・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)は、仙台の高校で普通の学生生活を送っていた。ところが「呪いの王」といわれる両面宿儺(りょうめんすくな)の指をひろったことで同級生が「呪い」の被害に遭う。虎杖は同級生を救うために、指を飲み込んだことから両面宿儺が復活。同級生を救うことができた虎杖だが、両面宿儺を内包する危険な存在となった。

虎杖は、祖父の遺言である「オマエは強いから人を助けろ」「大勢に囲まれて死ね 俺みたいにはなるなよ」という言葉を胸に、「呪い」を祓(はら)う呪術師となるべく、東京都立呪術高等専門学校(呪術高専)に入学し、「呪い」が具現化した呪霊(じゅれい)や、呪術を悪用する呪詛師(じゅそし)たちとの戦いに身を投じていく。

2020年10月からスタートしたアニメが放送されると人気に火がつき、2021年3月には累計発行部数が3600万部を突破。さまざまに張り巡らされた伏線や「呪い」をテーマにした人間ドラマ、迫力ある戦闘シーンなどが高く評価されている。

 

「呪い」は人を幸福にも不幸にもする

『呪術廻戦』では、呪いは「呪霊」と呼ばれる化け物として現れる。呪霊は人間の「負の感情」から生まれる存在であり、人への恐れや自然への恐れ、さらには口裂け女といった怪談話への恐れなどから誕生する。この呪霊を祓う呪術師もまた「呪い」という「負の感情」を「呪力」に変えることで、呪霊に対抗する。また『呪術廻戦』では、本来、呪霊を祓う立場にある呪術師でありながら呪霊たちと手を組み人間に害を及ぼす人々(呪詛師)が登場する。このことは「呪い」が人間にとって、有益にも害悪にもなることを象徴的にあらわしている。

「呪い」には「のろい」と「まじない」の2つの読み方がある。「のろい」は恨んだり憎んだりする相手に災厄があるように、人間よりも目にみえない上位の存在(神仏や悪魔など)に祈ることである。また「まじない」は人間よりも上位の存在に災厄や病気を除いたり、運の変更を願うものである。「呪い」には災厄を与えたり除いたりする、両方の意味が込められているのだ。

人間が人間である限り、「呪い」から逃れることはできない。人々への嫉妬や憎しみ、病気や老いへの恐れ、そのような「負の感情」に対して人々は呪術を使ってきた。日本人の精神土壌には「呪い」の歴史が深く根ざしているのだ。

 

監修:加門七海

【Profile】
(かもんななみ)
東京都墨田区生まれ。美術館学芸員を経て、1992年『人丸調伏令』で作家デビュー。オカルト・風水・民俗学などに造詣が深く、作品にもそれらの知識が反映されている。他の著書に『うわさの神仏 日本闇世界めぐり』『霊能動物館』『着物憑き』(以上、集英社)、『お祓い日和 その作法と実践』『お咒い日和 その解説と実際』(ともにKADOKAWA)、『加門七海の鬼神伝説』『大江戸魔法陣 徳川三百年を護った風水の謎』(朝日新聞出版)などがある。

 

(抜粋)

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編集 青木康(杜出版株式会社)
執筆協力 青木康
編集協力 阪井日向子
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