ヴィーナス期の気になる病気/乳がん
ヴィーナス期にはからだに様ざまな変化が起きますが、日頃から乳がんに意識を向けていますか? 乳がんは自分で早期発見できる数少ないがんです。40代からかかる人が増える傾向なので心して過ごしましょう。今回は乳がんを経験した陶芸家で一般社団法人CancerX広報の岡崎裕子さんに、乳がん発覚時のことや治療のことをお聞きしました。
※ GLOW世代特有の体の変化期である更年期を「ヴィーナス期」と表現しています
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がんサバイバーに聞く、乳がんの気づきと治療の体験談
今や10人にひとりが乳がんになる時代です。もはや他人事ではありません。40才で乳がんを見つけ、2度の手術を経て元気に過ごしている岡崎裕子さんにお話をうかがいました。
「治療がうまくいって元気でいられることが幸せ」
入浴中になんとなくさわった左胸にしこりが!
胸にしこりを感じてから4年半が過ぎました。幸い治療が奏功し、現在は陶芸のほかにがんの社会課題に取り組む仕事もしています。
とはいえ今でも転移の心配があるので、どこかが痛んだり腫れたりすると主治医のところに駆けつけ、股関節が痛めば骨への転移を疑って整形外科に行ったりと不安はつきません。神経質すぎるかもしれませんが、「なんかおかしい」と感じたらお医者様に相談することが大事だと思うんです。私の最初の気づきもそれでしたから。
左胸にしこりを見つけた時は授乳が終わる頃だったので、乳管にお乳が溜まって乳瘤ができたと思いました。なのでいつものようにさすって流そうとしたのですが、小さくならないし痛みもない。なんだろう?とよくさわってみると3cmくらいのゴムのように感じました。おかしいなと思いつつ、痛くないし食欲もある、おかしいのは胸だけだからがんのはずはないと自分に言い聞かせたのですが、やっぱりおかしい。抱えきれなくなって夫に話したら「安心するために病院で診てもらったほうがいい」と言ってくれました。私もお医者様に「大丈夫」と言ってもらいたい思いで近所の産婦人科に行くと「明日も来られますか?」と。ただごとではないと感じて乳がんをとことん調べました。
翌日、乳腺科の先生がしこりの組織を取って生検に出すことになりました。この検査をしてもがんじゃないこともあると自分に言い聞かせましたが、画像を診た先生が9割方がんでしょうと。それから検査の結果がわかるまでが本当に辛くて。自分はどうなるんだろう? 相当進んでいるのかなという思いが錯綜して……。かなりしんどい時間でした。
結局がんとわかって精密検査を受け、腋窩リンパ節への転移ありのステージⅡbと診断されました。抗がん剤でがんを小さくしてから左胸とリンパ節の切除手術を受けることに。抗がん剤治療は、倦怠感があり食欲に波がある。脱毛して顔がむくむ。「あと何回で終わる」と何度唱えたか。ただ、抗がん剤治療をする過程で画像中のがんが小さくなっていることが目で確認できてとても励みになりました。
私が罹患したトリプルネガティブの乳がんは、ふたつの女性ホルモンの受容体とがん細胞の増殖を強く促すHER2たんぱくがすべて陰性で、抗がん剤しか効かない悪性度の高いものでした。さらに、遺伝性の乳がんだということもわかり、左胸とリンパ節を切除したのちに、右胸と両卵巣を予防的に切除する手術も受けました。
私はしこりができる乳がんでしたが、湿疹やただれのような皮膚に症状が出る乳がんもあります。少しでも違和感や不安を感じたらぜひ病院に行って欲しいと思います。早く気づけば日帰りの温存手術で終わったり、抗がん剤の治療をせずに済むこともあります。あれこれ考えるよりも直感に従うことが大事なこともあると思います。
2017年2月(40才)
胸のしこりの違和感に気づく
入浴中に左胸のしこりに気づく。過去にできたことのある乳瘤と思ったものの、様子が違っていて「なんかおかしい」と思いはじめる
2017年3月
生検の結果、乳がんを宣告される
近所の産婦人科でとった組織を検査に出し、結果がわかるまで悪い方に悪い方にと考えてしまう日々を過ごす。結果は悪性腫瘍
2017年4月
がん研有明病院で抗がん剤治療スタート
MRI、エコー、画像、リンパ節の生検などを経てステージが確定。術前に3週間に1回のペースで抗がん剤治療を受けることに
2017年9月
左胸全摘出、リンパ節切除
抗がん剤治療が奏功して無事にがんを切除。予定していた放射線治療をするかどうかで悩み、セカンドオピニオンを受けることに
2017年11月
聖路加国際病院に転院
放射線治療の有無と予防的切除の相談をした結果、右胸と卵巣の予防的切除・乳房再建をするため聖路加国際病院に転院することに
2018年7月(41才)
右胸、卵巣摘出
右胸を予防的切除すると同時に両胸を再建。卵巣は腹腔鏡下で切除。手術した日の夕方から普通に歩けて、食事も普通食!
「違和感や不安があるのに『きっと大丈夫』と思い込むよりも、医者に『大丈夫』と言ってもらう選択を」
乳がんは数ミリの大きさで見つければ怖くありません
乳がんは進行すると乳房切除が必要になったり、もっと進行すれば命を失うこともあります。が、乳房は体表にあるので検査がしやすく、見つけやすいのが特徴です。数ミリ程度で見つければ大した手術にならないことも。なので1〜2年に一度はマンモグラフィ検査を受けることが重要です。加えて胸を鏡で観察する、お風呂で毎日、胸をさわって確認するといいですね。指先は肌の凹凸を感じるくらい敏感で小さな変化を見逃しません。自分で気づいて病院に行く人も多いのです。いつもの自分を知って、「おかしい」と感じたらすぐに検査を受けてください。しこりがある!と慌てて病院に行ったら、良性腫瘍だったという場合もありますよ。
気づきのきっかけ
・乳頭の湿疹やただれ
・乳頭から血性の液が出る
・乳房のひきつれ
・しこり
乳がん発生部位の頻度(重複症例あり)
外側上部……47.6%
内側上部……23.5%
外側下部……13.0%
内側下部……6.8%
乳輪部……6.1%
全体……3.4%
不明……0.8%
外側の上部に乳がんができることが多いですが、がんはどこにでもできます。指先でまんべんなくさわっていつもの状態を知っておいて。乳輪も抜かりなく! 乳頭から分泌液が出たりしたら要注意です。
女性の乳がんの年齢階級別罹患率(2018年)
40代からは危険水域に! 自治体の乳がん検診は40才から始まりますがそれには意味があるのです。乳がん検診の案内が来たら無料、もしくはお手頃価格で検査が受けられる絶好のチャンスと思って必ず受診すべきです。
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お話ししてくれたのは……陶芸家・一般社団法人CancerX広報 岡崎裕子さん
【PROFILE】
イッセイミヤケ広報部勤務ののち、茨城県笠間市の陶芸家に弟子入りし、茨城県窯業指導所にて釉薬を学ぶ。2009年に初個展を開催して以降、展覧会を中心に活動している。作品は小山登美夫ギャラリーやプレインピープルなどで販売。
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取材・文=黒川ともこ
取材協力=長岡美樹先生(宮益坂メリーレディースクリニック)
(GLOW 2021年11月号)
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WEB編集=FASHION BOX