初心者向けの投資は本当に大丈夫? デフレ下で大切なのは「失敗しない」こと

投資で儲けるためには「潤沢な資金」が必要! 家計を守るため経済ジャーナリスト・荻原博子がアドバイス

巷にあふれる投資情報。昨年からのコロナ禍も相まって、持ち金を少しでも増やそうと、資産運用をはじめる人が増えているようです。
そんななか、「資産運用なんかやらなくていい!」と警鐘を鳴らすのが、経済ジャーナリストの荻原博子さん。その理由とは? 宝島社新書『買ったら一生バカを見る金融商品』からご紹介します!

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いまデフレ下で大切なのは「失敗しない」こと!(経済ジャーナリスト・荻原博子)

もし、あなたがたくさんのお金を持っているなら、私は、投資を勧めます。お金に疎い方が投資をすると、たいていの場合は失敗しますが、それでもその失敗で学習したさまざまなことが、次の投資に大きく役立つからです。

人に勧められるがままに投資して失敗したこと、時期を読み誤って株価のピークで買って失敗したこと、思わぬ災害に見舞われて、儲かりそうだったのにあと一歩のところで失敗したこと。こうした失敗のすべては次の投資につながり、成功のチャンスを生むからです。
ただ、これは、失敗に耐えることができる人の話です。

投資に必要なのは、“潤沢な資金”と“時間”と“情報”と“運用知識”です。

“潤沢な資金”について、見てみましょう。
100万円で株を買って、値上がりすれば誰もが儲かりますが、値下がりしたときに、仮に50万円になったら、なけなしのお金で買った人はそれが100万円に戻るまで待ち続けないと損をしてしまいます。けれど、50万円になったときにさらに100万円分買える人は、株価が70万円に戻れば儲けが出ます。
つまり、“潤沢な資金”がある人のほうが儲かる確率が高いということです。

“時間”が必要だというのは、時間をかければ儲かる確率が高くなるからです。
例えば、1年後に子どもが大学に行くために用意しなくてはならないお金で、少し増やしておこうと株を買ったらどうでしょう。値上がりしていることもあるかもしれませんが、入学金の払い込み前に値下がりしたら、下がった価格で売らなくてはいけないことになります。ですから、マイホーム購入や子どもの入学資金や老後資金など、あらかじめ用意しておくべきお金を投資に回してしまうと、必要なときに慌てることになりかねません。

“情報”については、どうでしょう。
国民生活センターの投資に関するトラブルを見ると、未上場企業の株に騙されたとか、暗号資産で大損したとか、FXのレバレッジが高過ぎたなど、そんな話が山のように出ています。必ず儲かるという株の情報を20万円出して買ったのに、値上がりしなかったなどというものまでありました。
つまり、結局は、自分で理解しないままに、いい加減な情報に振り回されて大損したということです。
もちろん、ビギナーズラックということもあるので、何にもしなくても勝つ人もいますが、それはごく少数。大部分の人は、無謀に投資したことを後悔することでしょう。
なかには、投資に失敗したことで借金に借金を重ね、人生までも失ってしまう人もいます。

“運用知識”については、宝島社新書『買ったら一生バカを見る金融商品』で、素人が手を出さないほうがいい金融商品とその理由について書きました。

例えば、国が奨励し、メリットばかりが目立つiDeCoですが、60歳になるまで引き出せないことの本当の意味をわかっている人がどれだけいるでしょうか。
人生には、予期しないさまざまなことが起きます。新型コロナウイルスのまん延もそうです。飲食店が開店休業状態になり、倒産を免れるためにお金が欲しいと思ったとき、自分のお金なのに引き出せないのがiDeCoです。
iDeCoと同じように、国が奨めているのがNISAです。
「儲かっても非課税」が売りですが、損したらどうなるのでしょうか。
国民に満足な投資教育もせずに、こうした商品を買えという国の無責任さに、腹が立ちます。しかも、国の号令のもと、個人のお金を目指して多くの金融機関が群がっています。

ただ、こうしたなかで忘れないでほしいことが2つあります。
1つ目は、今の日本は「デフレ」という状況で、「デフレ」下では、現金の価値が高いということ。もし、投資をするなら、「インフレ」という貨幣価値が目減りする状況になってからでもいいでしょう。
2つ目は、国も金融機関も「老後のために」といいますが、安心な老後というのは、今の積み重ねの上にあり、誰も30年後などは予想できません。予想できない以上、「30年後に増えている金融商品」など誰にもわからないはずです。
30年前、「老後のために家を買え」といわれ、今からすれば高金利でバカ高いマンションを買った人のなかには、売るに売れない、建て替えできない老朽化マンションと共に生きていかなくてはならなくなった人が多々います。けれど、それが「自己責任」で片付けられてしまう時代です。

今、なけなしのお金をどう守るべきなのか。宝島社新書『買ったら一生バカを見る金融商品』が、少しでも大切なお金を守る一助となれば、望外な幸せです。

 

教えてくれたのは……荻原博子さん(おぎわら ひろこ)

投資で儲けるためには「潤沢な資金」が必要! 家計を守るため経済ジャーナリスト・荻原博子がアドバイス

(PROFILE)
1954年、長野県生まれ。経済ジャーナリスト。大学卒業後、経済事務所勤務を経てフリーの経済ジャーナリストとして独立。テレビ、新聞、雑誌でレギュラーや連載を多数持ち、生活者の視点から、難しい経済と複雑なお金の仕組みをわかりやすく解説。デフレ経済の長期化を予測し、借金返済の必要性を説き続ける。近著に『私たちはなぜこんなに貧しくなったのか』(文藝春秋)、『50代で決める! 最強の「お金」戦略』(NHK出版新書)、『コロナに負けない! 荻原博子の家計引きしめ術』(毎日新聞出版)、『投資なんか、おやめなさい』(新潮新書)など、著書多数。

(抜粋)

宝島社新書『買ったら一生バカを見る金融商品』

著者:荻原博子

≪万年金欠を解決! お金が増える方法を紹介≫

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写真:伊藤 幹
編集:坂本君子、生島典子

 

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Web 編集:FASHION BOX

 

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