ワインといえば「赤」と「白」の2色を思い浮かべる方も多いですが、最近は少し変わった種類のワインも人気になっています。そんな注目の自然派ワインをワインスタイリストの大野さんが教えてくださいました。
教えてくださったのはこの方たち
(右)大野明日香さん
パーティの趣旨に合うワインをセレクトしたり、ワインイベントを企画するなどワインスタイリストとして活躍。『日本ワインと手仕事の旅』(後藤由紀子と共著/光文社)が発売中。
(中)niúさん
モデルを経て、2012 年から彫刻、ドローイングを中心に本格的にアーティスト活動に入る。地方のお仕事のときは現地の食事に合うおいしい地酒を探して回るほど日本酒好き。ワインは、すっきりした白ワイン派。
(左)大谷優依さん
ライフスタイル雑誌をはじめとした女性誌、広告で活躍するインテリアスタイリスト。晩酌でワインは欠かさない。好みはフランスのしっかりした白ワイン。赤は少し苦手。
大野さんの衣装 : シャツ ¥20,000、パンツ¥24,000 /ともにベリテクール(エムティー・ルーツ)
エチケットデザインも注目の日本ワイン
大野 まずは、「タケダワイナリー」のスパークリングワインから飲みましょうか。王冠のスパークリングは、ボトルを斜めにしてゆっくりと中のガスを逃がすようにして開けないと、一気に噴き出して半分くらいになることもあるので気をつけてくださいね(笑)
大谷 自然派あるあるですね(笑)
niú 私は、蔵元へ行って造られた背景を学びながら日本酒を飲むのが好きなんですけど。こちらはどんなワイナリーなんですか?
大野 2020年に開園100年を迎える山形の老舗ワイナリーなんです。早い時期から有機栽培に取り組んでいて、自然派ワイン好きのあいだでも人気の日本ワインなんですよ。
大谷 むむ? 日本ワインって?
大野 100%日本で採れたぶどうを使って日本で造るワインのことで、輸入された外国産ぶどうや濃縮還元果汁を使ったものは、日本ワインといわないんです。国産ワインは、それに限らず日本国内で瓶詰めしたものであれば名乗れるのですが(とグラスにつぐ)。
niú 少し濁っていて、きれいな色ですね。いただきます!(と言って飲む)うん、すっきりしていて、食前にちょうどいいですね。
大野 生食できるデラウェアを使っているから甘やかな香りがしますが、味わいはすっきりと飲んでいただけると思います。
次にこちらの白。岡山の新しいワイナリー「ドメーヌテッタ」のシャルドネです。辛口好きなおふたりにはぴったりかな。
大谷 昨日、飲みました(笑)! エチケットがかわいくてノートに貼ってあるんです。アートディレクターの平林奈緒美さんデザインなんですよね。
大野 そう、パンダが目印です(笑)。ちなみに、さっきの「タケダワイナリー」のスパークリングのエチケットは、ミナ ペルホネンの皆川明さんバージョンなんですよ。このパンダは「ドメーヌテッタ」のアイコン的なもので、長く放棄されていたぶどう畑を買い取って再耕したときに、公園にあるような大きなパンダ(置き物)が出てきたんですって。それを捨てずにぶどう畑の入り口に飾っているんです。
niú 行ってみたいなあ。日本のワイナリーなら、海外よりもぐっと足を運びやすいから、実際に造り手さんに会いに行けるっていう楽しみがありますよね。
大野 そうなんですよ! 実際に造られる様子が見られたり、造り手本人にも会えたり、ぶどう収穫のボランティアを募集しているワイナリーもありますから、旅をする目的にしても。
大谷 収穫、いつかやってみたいと思っていたんです。
niú 自分の摘んだぶどうが、翌年ワインになるっていう。いい!
■デラウェア100%、無ろ過のスパークリング
「無ろ過なので、ぶどうの濁りや澱が残っていい風味になっています」
※販売元、欠品中 サン・スフル白 ミナ ペルホネンラベル2017 ¥2,000/タケダワイナリー
■晴れの国、岡山生まれ。大注目の造り手
「日本でも稀な石灰岩土質で育つぶどう。2015年開園の、これからがさらに楽しみなワイナリーです」
2017シャルドネ ¥3,500 /ドメーヌテッタ
注目は「オレンジワイン」と「うす赤」
大野 では、3本目。これまでなら、ロゼワインをお出ししていたんですが、ここは最近人気が定着してきた「オレンジワイン」を。
大谷 淡いオレンジ色。きれいですね。
大野 オレンジワインとは、ざっくりいうと赤ワインの造り方で造る白ワイン。通常白ワインはぶどうジュースだけが使われるのですが、果皮を浸漬(しんし)させることにより、独特の風味やオレンジのような色合いが出ているワインのことなんです。
大谷 おいしいですね! しっかりしていて後味にコクがあるというか。白でもクセのあるワインが好きなので、今まで飲んだなかで一番好きかも。
大野 そうですよね。オレンジワインは、ロゼでもなく、赤でもなく、白でもないジャンルとして最近人気が急上昇していますね。
こちらは、山形県の「グレープリパブリック」のもの。完熟させて収穫したデラウェアを房ごと、アンフォラという甕で発酵させたものを中心にアッサンブラージュしています。
niú 私もこの味、好きです〜。
大野 最後に赤は、イタリアのもの。赤ワインが苦手というおふたりには、軽めの赤をおすすめします。私は「うす赤」って呼んでいるんですけど。
大谷 薄い赤ですか?
大野 そう。これまでは、赤ワインは重厚なフルボディのものがおいしいというイメージが強かったかもしれないのですが。
niú はい。私はそれが苦手で。
大野 もっとさらっとして、軽く飲めるような赤ワインもあるんです。たとえば、このグリニョリーノを100%使ったものとか。
niú うん、これならやわらかい余韻もあってじっくり飲めますね。
大野 私は、“だしっぽい”とよく表現します。
大谷 自然派のワインを家でもっと飲みたいんですけど、冷蔵庫の保管でいいんですか?
大野 おすすめは、温度も湿度も冷蔵室よりもやや高めで温度も一定な野菜室に寝かせて保管すること。飲む1週間前に立てておくといいかな。
大谷 そんな前に決められない〜!
大野 そうですよね、決まり次第、ぐらいで(笑)。
■白よりしっかり味わえるオレンジワイン
「山形に2017 年にできた風雲児ともいえるワイナリー。ワイン発祥の地ジョージアと同じ方法、アンフォラで造られています」
※販売元、欠品中 デラアンブラ ¥3,775 /グレープリパブリック
■気軽に楽しむなら薄い赤を
「ピエモンテ州アスティにあるワイナリー。まるでだしのようにぶどうの旨味がつまった軽めの赤です」
※販売元、欠品中 ヴィーノロッソ パンク NV(2015) 参考価格¥2,900/カッシーナ・タヴィン(相模屋本店)
(リンネル2019年2月号)
photograph:Yumi Furuya(SORANE)
text:Tomoko Yanagisawa
illustration:Kayo Yamaguchi
edit:FASHION BOX
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