自炊をするなら知っておくべき体に優しい調味料の選び方|漢方のプロが指南

自炊をするなら知っておくべき体に優しい調味料の選び方|漢方のプロが指南

どんな料理にも使っているのが調味料です。調味料を見直すことは、健康的な心と体作りに直接的につながると、薬剤師や漢方カウンセラーとして活動する大久保愛さんは語ります。化学調味料や人工甘味料をやめるだけで、味覚と胃腸を整えられるそうです。大久保さんに、調味料の選び方のポイントを教えてもらいましょう。

≪目次≫
●健康的な調味料を揃え、化学調味料断ちをする
●毎日使う調味料の選び方
○1:塩は天然塩
○2:しょうゆは本醸造
○3:糖はオリゴ糖か甘酒
○4:お酢は醸造酢
○5:みりんは本みりん
○6:味噌は天然醸造
○7:油は加熱料理用と生食用を揃える
●このコンテンツの監修者は……

健康的な調味料を揃え、化学調味料断ちをする

調味料は本来、味噌やしょうゆなど発酵させて作ったものや自然の恵みがたっぷり詰まった塩や油など、心にも体にも役立ってくれるはずの食品です。しかし、発酵のステップを省略しているものや、人為的に作られた添加物が入っているものがあり、これらは、栄養を摂取できないだけでなく、心身に悪影響を及ぼすものも含まれていることがあります。これまでわたしがお話をうかがってきたなかで、「調味料は塩、こしょう、コンソメしか揃えていません」という人や「味のベースはすべて◯◯の素で決める」という人が結構いました。

家庭料理というと健康的に思えますが、どの料理にも加えられている調味料が健康的でなければヘルシーとはいえません。化学調味料入りの食事に依存した食生活だと、偏った味覚になったり、特定の食品に依存したりと、さまざまな形で心や体に問題を引き起こします。健康的な調味料を揃え、なるべく化学調味料や人工甘味料をとらないようにすると、味覚と胃腸が整って、肌荒れや便秘、アレルギーの改善、精神的なストレスからの解放などいいことづくめに。毎日の心と体の健康のために、一緒にごはんを食べる大切な人のために、今日から調味料を見直しましょう。

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毎日使う調味料の選び方

1:塩は天然塩

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出典: FASHION BOX

塩は精製塩ではなく、天然塩を選びましょう。天然塩は、ナトリウムやカリウム、カルシウムなどさまざまなミネラルが含まれていて、体に必要な塩分をバランスよくとることができたり、体の抵抗力や代謝を高めたりする働きのある優秀な調味料です。天然塩のなかでも、海塩は、海由来のミネラルが凝縮されていて、岩塩よりも栄養価が高いといわれていておすすめ。また、塩と米麴、水を混ぜ合わせて発酵させた「塩麴」は、旨み成分が多く、通常よりも塩の量を減らせます。

避けたいのは精製塩で、これは人工的に造られた塩化ナトリウムという化学物質です。安価で購入できますが、塩辛いだけで、体内のバランスをとってくれる栄養成分は含まれていません。

2:しょうゆは本醸造

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和食に欠かせない調味料のしょうゆを選ぶときに注目するのは、原材料です。大豆、小麦、塩の昔ながらのシンプルな原材料で造られたものを選びましょう。「本醸造」と表記されています。ゆっくり時間をかけて育まれたしょうゆで、自然な旨みや甘みがあります。

避けたい原材料は、カラメル色素、甘味料、アミノ酸、外国産の大豆、脱脂加工大豆で、「混合醸造」「混合」と表記されます。

脱脂加工大豆とは、脂肪分を取り除いた大豆のことです。国内で流通するしょうゆの約80%は脱脂加工大豆を使用しているので、なかなか難しいかもしれませんが、できれば大豆をまるごと使った本醸造を選んでもらいたいです。

3:糖はオリゴ糖か甘酒

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わたしは甘みを加えたいとき、オリゴ糖を使います。整腸作用があり、血糖値上昇が起こりにくいので、ダイエット中にもおすすめ。血糖値が気になる人は、ココナッツシュガーやアガベシロップも◎。整腸作用があり栄養素が豊富な甘酒も甘味料として使えます。甘酒はいつも使う砂糖の2倍の量が目安で、製氷器で冷凍保存しておくと便利です。砂糖不使用のものを選んでくださいね。このような甘味料はハードルが高いなら、精製度が低く栄養分が残っている黒砂糖やきび砂糖、てんさい糖を使うといいでしょう。

白砂糖と呼ばれる上白糖やグラニュー糖、氷砂糖、ザラメ糖、三温糖は、栄養が取り除かれている「分蜜糖」なのでとらないようにしましょう。また、甘い味覚は抗菌ペプチドを減らして免疫を下げるので、とる量には注意しましょう。

4:お酢は醸造酢

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お酢は本来、じっくりと時間と手間をかけて造られる発酵食品で、腸内環境の改善や脂肪燃焼効果、抗酸化作用など、うれしい効果がたくさんあるので、積極的にとりたい調味料です。

大きく分けると醸造酢と合成酢があり、もちろん醸造酢を選びます。醸造酢は、酢酸菌という微生物の働きを利用して造った健康調味料で、米酢、米黒酢、大麦酢などの穀物酢と、リンゴ酢、ぶどう酢などの果実酢があります。

合成酢はその名の通り、合成した酢酸を水で薄めて、醸造アルコールや合成着色料、人工甘味料などを加えたものです。発酵や熟成を経た調味料ではないため、醸造酢にある健康効果はあまり期待できません。

5:みりんは本みりん

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塩やしょうゆ、味噌に比べると脇役的な調味料なので、持っていない人も多いようですが、照りやコク、甘み、風味付けや臭み消し、煮崩れ防止などさまざまな役割を担ってくれます。選ぶのはもち米、米麴、本格焼酎を熟成して造った本みりんで、アルコールを14%程度含みます。

選ばないように注意したいのは、みりん風調味料です。みりん風調味料は、本みりんと違って酒類ではないので、アルコール度数が極端に低く、ブドウ糖や水飴、香料、アミノ酸、色素などが加えられています。

6:味噌は天然醸造

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味噌は、地域性が高く古くから造られてきた身近な発酵食品。大豆、米または麦、天然塩を原材料に、麴菌で発酵させて造られています。天然醸造の表示があり、大豆、米、麦、塩、麴以外の表示がないものを選びます。天然醸造の味噌は、ゆっくり時間をかけて発酵させたもので、自然に任せて仕込むことで、風味がよくなります。

原材料にアルコール(酒糖)の表示があるものは、発酵を止めてしまっているので、発酵食品から得られる健康効果が期待できません。大豆は、遺伝子組み換えでないものを選びましょう。

7:油は加熱料理用と生食用を揃える

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とりたいのは、常温で固まりにくい不飽和脂肪酸です。あまに油やえごま油などのオメガ3脂肪酸には炎症を抑えたり、細胞の働きを活性化したりする効果があります。生で食べるものには、この2種の油を使います。加熱料理には、オメガ9脂肪酸のオリーブオイルや、米油、ココナッツオイルがおすすめ。

ごま油やコーン油などのオメガ6脂肪酸は、体に必要なものですが、とりすぎると善玉コレステロールを減らしたり、炎症を起こしたりすることがあるのでほどほどにしましょう。

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大久保 愛(おおくぼ・あい)

【Profile】
薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。
アイカ製薬株式会社代表取締役、株式会社漢方生薬研究所開発責任者、一般社団法人腸内細菌検査協会理事、株式会社東進メディカルアドバイザー。

秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。豊かな秋田の自然のなかで、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として商品開発や執筆、企業コンサルティングなどに携わる。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績がある。「東洋食薬ライセンス 食薬マイスター」「漢方生薬研究所」「薬膳宅配専門店おかゆや」などを監修。著書『1週間に1つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は発売1カ月で7万部のベストセラーに。

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(抜粋)

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TJ MOOK『リンネル特別編集 心と体が強くなる! 食薬ごはん』
監修:大久保 愛

撮影:高杉 純
編集・ライティング:山口未和子
アートディレクション:江原レン(mashroom design)
イラスト:上坂じゅりこ
WEB編集:FASHION BOX
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