オトナミューズで連載中、LiLyの『ここからは、オトナのはなし』。今回は、アラサー美女が体験した女性用風俗のリアルな話に大興奮!
steady.読者1000人のSEX事情を徹底調査! SEXの頻度は? セフレはいる?
TOKYO ADULT GIRLS
ネクストレベル度 ★★★★★
「今なにしてる? 飲んでるんだけどこない?」
ネットに溢れる恋愛How To記事によると、このような深夜の唐突の誘いはヤリモクが8割とされているが、そのような約束ナシの突然LINEでも集える友達こそを私はマブダチと呼びたい(笑)。
誰もが「暇っちゃ暇」だったからこそ、約束なんかしなくってもノリと勢いだけで毎日のように友達と遊べた10代を過去に、誰もが「全く暇じゃない」からこそ場面合流重視のアラフォーへ。
仕事の打ち合わせや小学校の保護者会の日程など、スケジュール帳に記す用事は生活の中の重要事項。遊びの時間までを「予定」としてその中に食い込ませるほどの余裕が、精神的にも体力的にもあんまりない。
無印で買った手帳にプリクラを貼り付けて、0.5ミリのボールペンで超!細かく遊びの予定を記していたのが「青春時代」だったなら、今は、最高に楽しい遊び時間の優先順位が最も低い「責任時代」へ。
「なにそれ、チョーつまんなそう。オトナになんかなりたくなーい!」って、10代現役ギャルズが叫びそうな現実の中にいるわけだけど、実はこれがまた全く悪くない。あの頃より楽しいといっても過言ではないのだから、本当に不思議。
日常の大変さがあるからこそ、ランダムに訪れる非日常の最高の一瞬が、日々の地味なオセロの色を一瞬で派手にひっくり返しちゃうこの感じ。
「今なにしてる? 飲んでるんだけどこない?」「やば! タイミング最高。いけるかも」
生活の中でフッと空いた時間が互いに重なったプチ奇跡と共に、女友達とのオアシスタイムは突然始まる。
基本的には二人きりで会うのが好きだけど、すでに飲みはじめている「女子会」的な場所への途中合流は、新しい女たちとの出会いもある。呼び出してくれた女友達と再会のハグをして、まわりの女の人たちに「初めまして」と言いながら席に着くのだ。
その夜は、港区、南青山。青くペイントされた壁には洋書が並び、バーカウンターには大きなガラスの花瓶に生けられた満開の百合。女友達オススメのフルーツカクテルを頼み、真紅のソファに腰掛ける。木のローテーブルの上にガラスの灰皿があることに気付いた瞬間、私はすでにナチュラルハイ。
1億倍愛しているのだ、予約がなかなか取れない三つ星レストランよりも、タイミングで合流できる喫煙可能なオトナの美空間。
タバコを1本、箱から抜き出して多幸感に包まれていると「リリィさん、実は私、本、ぜんぶ持ってます」。向かいに座る年下美女に突然の告白を受ける。「大好き……です」。クハッ。タバコも美味しいし気分も最高、どうしよう(笑)。
ランダムに出かけてみると、時々このようなことが起きる。全国区の知名度が低いわりに、ハードコア読者と遭遇する確率が高い。その理由はただ一つ。私の行動範囲はとても狭く、具体的にいうとそれは港区か渋谷区で、寝静まった子ども達をパパに任せられる深夜と時間も限定されているため、そういう場所にいるヒトは出会ってなくてもすでに類友(何かを売るには地方をおさえることだというのはビジネスの常識だが、私の書籍は全国の“都市”でのみ良く売れているというデータが毎回あがる)。
「そして実は私、今、最高にいいネタ持ってます♡」
向かいに脚を組んで座る年下美女は、色っぽい顔して私に言う。30歳ジャストくらいの女の子って本当に綺麗だなって思ってから、そんなことを思っている私って『東カレ』のアプリ小説(面白すぎて有料会員)に出てくる港区在住アラフォーバツイチ男(アラサー女子にめっちゃモテる)みたいだなぁってカクテルがくる前から自分に酔う。
ただ、「物書きのあなたに最高のネタがある」という提案そのものは、めちゃくちゃ良く受けるわりには意外と採用頻度の低いハナシでもあるので、私は彼女の美貌とラブにうっとりしながら「えー♡」とか言いながら脳ミソくつろぎモードだった。
――が、一気に覚醒。美女の持ちネタは、私の想像を超えてきた。
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「実は先週、女友達と一緒に、ラブホで女性用風俗を体験してきたんですッ♡」
「ッ!? 私、渡辺ペコさんの『1122』って漫画が大好きで夫婦の話なんだけどそこにも超絶リアルな流れで女性用風俗が出てきて普及してきているのは知っていたけど実際に行ったってハナシは初めて聞いたッ!!」
くつろぎモードから一転、息継ぎも忘れるリリィ(笑)。
「ふふ。実は二度目なんです。最初は私が一人で試して、とても良かったという話を女友達にしたら発狂するくらいに行きたがって(笑)。
で、今回は、二人でキャッキャしながら店のホームページで彼女が指名する男性を選んで。あ、私は初回の方を超気に入ったのでまた指名して(笑)。
ラブホにも二人で同時に、でももちろん別々の部屋にそれぞれチェックイン。で、サービスが終わったらすぐに合流してどうだったか語り合って超盛り上がるっていう(笑)」
「なにその、どう考えても盛り上がるに決まってる、オトナすぎる遊びッ!!!!」
アラフォーの私は、子どもみたいに無邪気に叫んでいた(笑)。年下のアラサー美女は私の想像を超えた(ネクスト)レベルでオトナだった。
「でも、ちょっと待って。その、セックスだけなら別に、その、無料でもできるでしょ? あなたとワンナイトしたいカッコイイ男の人って絶対にたくさんいるし、お友達にだっているはず。そこであえて有料サービスを利用しようと思ったのは、何故!?」
「んー、忙しいから、ですかね」
「ッ!?!?」。とても意外な理由にして、それは私がその時のタイミングでしか遊びに出ない理由とほぼ同じであったことに愕然となった。
「めっちゃHしたい、その時!その瞬間!に互いの予定をすり合わせる必要もなく、すぐにできるって最高にコスパ良くないですか?」
つまりは、私にとっての「遊び」と彼女たちにとっての「セックス」は優先順位が低いのだ。それよりも優先してやるべきことが沢山ある日常の中を生きている。ただ、それらをゼロにする気はさらさらないし、むしろ、優先順位の低さとは反比例するかたちで、「遊び」や「セックス」は好きな時間ランキングでは上位に躍り出る。
要するにそれらは人生のデザートタイム。
「日常」に対する、ご褒美的な「非日常」。
オトナ度合いがネクストレベルの美女は、風俗のコスパの良さを淡々と解説しはじめる。気づけば、今宵ランダムに一つのテーブルを囲む縁を持った女六人、一人残らず彼女のハナシに超夢中。
――スポットライト、オン。イッツ、ショータイム。
「目的はセックスなので、相手に求めている条件はルックスとテクニックの二点のみなわけですよ。共通の知り合いがいるとお互いに色々ややこしいから、リアルで出会うのこそ微妙」
「ははぁ~なるほど~」。説得力しかない彼女のリアルトークに心が一つにまとまりはじめるオーディエンス(笑)。
「で、じゃあ、たとえばヤリモクアプリ。マッチして連絡を取り合ったり、食事に行ったりするのも一発ヤるのにいったい何時間かかるんだって話ですし、もうそこで相手のルックスが写真と同じである確率は低いし、お互いのヤリモク度を探り合ったりするのにもイチイチ余計なエネルギーを使う。あと、共通の知り合いもいない、どこの誰だか分からない相手とセックスするって、信頼ゼロですし、妊娠や病気も含めて実はリスクが高すぎるわけですよ。コスパ、最悪です」
「ははぁ~~~」。オーディエンスの息まで重なりはじめたところで、私はずっと聞きたかった質問の数々を一気にブチ込んだ。
「で、実際はなにするの? なにしてくれるの? ホントにそんなに(有料レベルで)カッコイイの?」
MC美女は、一つずつ丁寧に答えてゆく。
「はい。イケメンです。こちらは、なにもしないです。したければしてもいいみたいですけど。基本的に挿入はナシです。でもサービスに入る前に、なにをしたいか、どんなふうに何をされると興奮するかをムーディに聞いてくれる“限りなくプライベートな会話に近いカウンセリングタイム”みたいなのがあって、私はとりあえず“キスはしたい”って伝えたくらいであとは“お任せ”にしたんですね」
終始ドライなムードの中に差し込まれた“キスはしたい”に、一人ジワリとツボってしまって私は密かに笑いを噛み殺す(場のモードはわりと真剣なのだ)。
「あ、場所がないので、自宅やホテルをこちらで指定しなきゃいけないので、そこだけちょっとめんどくさいですけどね。一人でラブホに入るのも勇気がいりましたし。でも、その価値はありました」
「え、やば。で、いったい、なにしてくれるの?」
ここに私を呼んでくれた女友達の前のめり極まりないテンションに、吹き出しそうになるのをこらえて美女の返事を静かに待つ(私の笑い声なんぞで彼女の超最高なトークを遮るわけにはいかない)。
「私はただ、エステとかマッサージを受ける時みたいに、ベッドにただダランと仰向けに寝て目を閉じて(笑)。そしたら、今まで経験したセックスとはやり方そのものが違ったというか」
「ッ!?!?」
続きが気になりすぎて、息をする音すら殺すオーディエンス(笑)。
「足の指の隙間から、唇を使って愛撫してくれて、挿入はないのに――」
3秒ほどためてから、絶妙なタイミングで美女は突然のタメ口でこう続けた。
――「爆イキ」。
もうダメだ、面白すぎるッ。一気にキタ爆笑の渦が深夜のテーブル席を駆け抜ける。
「で、それで2万円しないんです!」と胸を張る美女に、「なにそれ、オリスパ価格じゃん」
「ね~ちょっと待ってよ、あなたがそこの会社の取締役とかだったらそれまた爆ウケだからね?」などとオーディエンスからヤジが飛ぶ。
「ちょっと! もし私がそのサービスを経営してたら今日ZARAは着てないと思います!」
「なにその返し、最高(笑)。あ~も~今日、出てきて本当に良かった。呼んでくれてありがと、面白すぎる~」と、隣で肩を震わせて爆笑している女友達に抱きついて、私は笑いすぎて流れた涙を拭く。デザートでしかない美味しい夜が、猛スピードで過ぎてゆく。
嗚呼、いつまでも、できれば永遠にでも浸っていたいが、責任時代を生きるオトナの優先順位の中には「睡眠」というのも入っている。スマホで時間を確認すると、ピタリと2時。深夜0時あたりに家を出たので、たったの2時間でこんなにも楽しい世界にワープできたのか! 今夜のコスパの素晴らしさにうっとりしながら(遊びにすら時間とのコスパを求める余裕のなさ)、明日も早いので(小学校登校時間毎朝8時)そろそろ帰ろうかと思ったところで、「ねぇねぇ」。
私がきてからは恐らく初めて声を出した、この席の最年長、アラフィフ美人が一番ピュアな質問を投げかけた。
「そんなにイケメンで、“爆イキ”で、また指名してリピートまでしちゃったら、好きになっちゃったりはしないの?」
「好きになっちゃわないのか問題」
私は新しいタバコを口にくわえ、ソファに背中をつけて座り直す(誰)。
漫画『1122』の中でも、ヒロインと指名相手(男性)とのあいだに、なんとも言えない「友情」めいたものがうまれはじめるくだりがあり、個人的にはそこにも圧倒的なリアリティを感じていた。
「ああ、当たり前のハナシになっちゃいますけど、そこはもう、体験する本人と相手とタイミングと回数にもよるでしょうね。私は2回とも同じヒトのサービスを受けて、わぁ〜ほんとうにいいなぁ〜またお願いしたい〜とは思うけど、外でデートしたいとは思わないので、それって好きにはならないってことですよね!」
ハッキリきっぱり、美女は言い切る。
「それに、見下しているわけでは全くないですけど、確かにイケメンだしテクニックも拍手ものですが、だからといって彼が私の“恋愛対象として好きになるほどタイプな男”かといえば職業や年齢も含めて違うので。あ、そういう仕事をしているからイヤだっていうことでもなくて、性欲を解消したいと思う相手と、恋愛感情を抱くタイプの相手って必ずしもイコールではないというハナシです。若い男子は可愛いけど、付き合う相手とは思えないってのと似てます」
ふむふむ、なかなかシビア。
金を払う側と金をもらう側。前者の方が後者よりも下の立場であるかのように見えるのだが、実際はそうとも限らないわけなのだ。
風俗といえば、男が金を払って女が金をもらう側であることが一般的で、そこでもやはり金を払わないと触れることができない女の方が上にいるようにも見えるが、実際のパワーバランス的にはやはり払う側の男により力があるシステムのようにも思う。
「なるほどね」と、質問を投げたアラフィフ美人が納得したように頷いている。そして、「愛する男以外とはセックスをしないのが女である、という幻想が壊れてきたのは本当に良かったなって思うんだよね。女にも性欲があることを認めているってところでフェミニズムに賛同した人間だから、私は」と続け、「うわぁ~わかる~、それ、めっちゃわかります~」と次から次へとパイセンへの賛同のため息を吐きながら倒れる私たち(笑)。
「カウンセリングでわざわざ伝えるほどにキスもしたいけど、店外デートは全くしたくない」という心理は、女の中にも存在する。
もちろん、すべての女、とは絶対に言わない。風俗を楽しめない男もいるように、風俗に行きたいだなんて1ミリたりとも思わない女もいるし、ここは本当に人それぞれ。「男」だから「女」だからという性差よりも、性欲差や倫理観などでも分かれるところと思う。
ちなみに私自身は、セックスという大好きな行為のスペシャル感を死守したい欲望が強いので、金を介在させるセックスにはソソられないタイプだ。めちゃくちゃ楽しそうだし、トライしてみたい気持ちがゼロなわけでもないのだが、やらなそう。これもまた倫理やモラルの問題ではなく、性癖にも近い感性の部分と思う。
ただし、金をもらう側と払う側の二択から選ぶならば、絶対に後者。タイプでもなんでもない変な男に金をもらってするより、有料レベルの超いい男に金を払ってしたい。これだけは、絶対!
セックスネタでの爆笑からフェミニズムトークへと進展しかけたその時、「あと、好きになるならない以前の問題もあって……」と美女がラストに誰もが予想すらしていなかった衝撃の事実を持ってきた。
「一緒に行った女友達、ニンプですし。既婚者で、二人目を妊娠中で、安定期に入ってから拭いきれない性欲に発狂しそうになっていたみたいで。夫はニンプに対して絶対に発情できないタイプの男なんですって。妊娠中の妻を風俗にまで追い詰める……。残念すぎますよね、それ、男として……。ま、自己責任ってことで店には秘密にしたみたいなんですけど、挿入もないし、友達はスッキリできたって大満足して帰って行ったので、結果的には良かったです!」
「ッ!!!!」
東カレ港区小説のドロドロリアルを、こうしてミューズエッセイが(と、いうか私の周りの女たちの過激な真実が)、ネクストレベルに超えてゆく(笑)。
「え、今回、その戦いだったの?」という自己ツッコミは置いておいて、「そろそろ原稿いかがですか、ギリギリです」という担当編集からのLINEにそろそろ本気で返信を打ちたい。「送りました!」の一言を打ち終えた瞬間、育児中の私も、同じく子持ちの担当編集も、次に押し迫っているネクストTo Doリストに取りかかれるのだ。
今まさに、12回目の「ママ、まだ~?」コールが鳴り響いている。女の風俗と妊婦の性欲にまつわる過激な真実をレポしたそばから、娘とペットショップまで愛犬のオヤツを買いにいく予定を間近に控えてヒリヒリしている。
――時間との戦い、責任時代。TOKYO2020、我々アラフォー。世の中は常に、需要と供給。あまりにも忙しすぎるため、それらの隙間で、新たなカルチャーが生まれていく。
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LiLy プロフィール
作家。81年神奈川県出身。蠍座。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。著作多数。この連載からの最新刊『目もと隠して、オトナのはなし』(宝島社刊)が好評発売中! プライベートでは2児の母。
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(otona MUSE 2020年4月号)
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