(2020年7月17日 更新)
私たちの体は、眠っている間に脳や体のメンテナンスを行い、心身の疲労を回復させています。普段のちょっとした心がけで睡眠の質を上げて、免疫をよい状態に保つことが、ウイルスから身を守ることにもつながります。
≪目次≫
●横向き寝がおすすめ!眠りの質を上げるヒント<前編>
○目覚めてから
○快適な環境作り
○寝る姿勢
●リモートワーク疲れで生活リズムが狂ったときは?
●教えてくれたのは……梶本修身先生 プロフィール
横向き寝がおすすめ!眠りの質を上げるヒント<前編>
ひとつでもOK! 生活の中で取り入れてみよう!
【目覚めてから】
Q. 起床時間よりも早く目覚めたときは起きたほうがいい?
A. 目が覚めてすぐ飛び起きるのは自律神経に負担をかけます。布団の中で10分程度ゴロゴロしたほうが自然に活動モードになれます。
Q. 目が覚めてもすぐ起きられず、二度寝をしてしまいます。
A. 二度寝は睡眠不足が原因です。長時間になると、その日の生活リズムが乱れてしまうので、二度寝は20分以内にとどめましょう。
Q. 夏は早く目覚めるのに、冬は寝坊してしまうのはなぜ?
A. 人間も冬眠する哺乳類と同じ機能が備わっているため、冬は睡眠時間が長くなり、夏は短くなる傾向があるのは自然なことです。
Q. くもりや雨の日でも太陽光を浴びたほうがいいですか?
A. くもりや雨の日でも、光は届いています。朝、5分程度でも太陽の光を浴びると体内時計がリセットされ、夜になるとメラトニンという睡眠を促すホルモンが分泌されやすくなります。
【快適な環境作り】
Q. 真っ暗にして寝るのは不安。小さい電球はつけていい?
A. 豆電球でも、目を直接照らすと睡眠を妨げてしまいます。自宅など安心できる空間では真っ暗でもいいし、慣れないホテルなどでは間接照明やフットライトを利用したほうが安心して眠ることができます。寝るときだけでなく、夕方以降は、リビングなど自分が過ごす部屋の照明も暖色系の間接照明に切り替えると、副交感神経が優位になって、眠りに入りやすくなります。
Q. エアコンが苦手で、できれば使わずに眠りたいのですが……。
A. 日本の夏は高温多湿なので、エアコンなしでは大量に寝汗をかきます。発汗をつかさどる自律神経が一晩中酷使され、疲れがとれません。また、自律神経中枢は熱がこもりやすいので、鼻からは冷たい空気を吸って脳を冷やすことも重要です。熱中症を防ぐためにも、寝苦しい夜は、エアコンの風が直接体に当たらないように、25~27℃設定でつけることをおすすめします。
Q. テレビや電気をつけっぱなしで寝るのはよくない?
A. テレビや照明をつけたまま寝ると、睡眠の質を下げるだけでなく、体重増加や肥満リスクを高めるという研究もあります。夕方以降は間接照明に切り替えたり、テレビや照明が自動でオフになるタイマー機能を上手に使いましょう。
Q. 夜中にトイレに起きたくない。どうすればいいですか?
A. 夜中のトイレを避けたくて、寝る前の水分を控える人も多いのですが、体から水分が失われると、血圧や心拍をコントロールする自律神経の負担が増え、眠りが浅くなります。尿意で起きているのではなく、眠りが浅いせいで、トイレが近くなっている可能性もあります。ぐっすり眠れれば、尿意は感じないもの。眠りの質を上げる工夫をしましょう。
【寝る姿勢】
Q. 寝る時の姿勢は仰向け、横向き、どれがいいですか?
A. 体の右側を下にした横向き寝がおすすめ。仰向けから横向きに変えただけで、80%以上の人においていびきが半減します。横向きで抱き枕を片足で抱える「シムス体位」は、自律神経を休める理想的な寝姿勢です。
Q. 自分がちゃんと寝返りできているか確かめる方法は?
A. 寝返りの回数や、それによる熟睡感の感じ方には個人差があり、自分で確かめるのは難しいです。睡眠外来などで簡易型PSG検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)を受けると、寝返りの様子もわかります。
Q. 枕はどんなものがよい? 枕なしやタオルでもOK?
A. 横向き寝をしたときに、自分の肩幅の分だけ高さのある高反発素材がいいでしょう。枕なしやタオルだと、頭の重さで頚椎に負担がかかり、気道が狭まっていびきをかきやすくなるのでおすすめしません。
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リモートワーク疲れで
生活リズムが狂ったときは?
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運動不足や生活リズムの乱れが気になる人はぜひ試してみましょう。
● 熱めのお風呂にサッと入る
普段は38~40℃のぬるめのお湯での半身浴がおすすめですが、運動不足を補う意味で、42℃くらいの熱めのお風呂にサッと入ったり、シャワーをひざ裏や足首にかけたりして血流を上げましょう。
● 室内でできる軽い運動を
軽い運動は血流を促進して、いい眠りを助けます。動画サイトも多くあるので、ヨガやストレッチなど室内でも運動を心がけて。また、貧乏ゆすりのように足を小刻みに動かすだけでも血流がよくなり、ウォーキングに近い効果を得られます。
● 1人の時間を大切に
パートナーや家族と1日中一緒にいるストレスが、睡眠を妨げることも。ときには1人で好きなことをしてくつろぐ時間を作りましょう。
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教えてくれたのは……
医学博士 梶本修身先生
【プロフィール】
東京疲労・睡眠クリニック院長。元大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授。『名医が教える! 睡眠の不調が消える本』(大洋図書)など著書多数。
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text_Tamaki Saji
(大人のおしゃれ手帖 2020年7月号)
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