まだまだ終息の兆しが見えない新型コロナ肺炎。感染者は高齢者に限らず、20~30代の若年層でも広がりを見せています。新型コロナウイルスの恐いところは、他の病気との合併症を引き起こしやすいことです。糖尿病内科医の工藤孝文先生によると、特に糖尿病の人は新型コロナウイルスによる症状が重症化しやすいとのこと。その理由をわかりやすく解説してもらいました。
≪目次≫●新型コロナ肺炎で重症化しやすい糖尿病患者
●糖尿病患者が新型コロナ肺炎で重症化しやすい理由
●教えてくれたのは……
新型コロナ肺炎で重症化しやすい糖尿病患者
世界保健機関(WHO)によると、中国で新型コロナウイルスの感染が確認された約5万6千人では全体の致死率が3.8%なのに対し、糖尿病患者の致死率は9.2%と2.4倍にものぼることがわかりました。
↑中国のデータ(左図)では、糖尿病患者は新型コロナ肺炎での致死率が約2.4倍に。アメリカのデータ(右図)では、感染後ICUに入った人の3割が糖尿病の患者でした。
米国疾病予防管理センター(CDC)では、新型コロナ肺炎が重症化して集中治療室(ICU)に入った人のうち、糖尿病患者が3割以上を占めていたとの報告があります。糖尿病がある人は、新型コロナ肺炎で重症化しやすいのです。
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなりすぎて、血管と血管が通うすべての臓器や組織がダメージを受ける病気。血糖値を調節するホルモンであるインスリンの分泌が不足したり働きが弱くなったりして生じます。すい臓の細胞がなんらかの原因で壊されてインスリンが出なくなるI型と、過食などの生活習慣が影響するII型が代表的です。
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糖尿病患者が新型コロナ肺炎で重症化しやすい理由
糖尿病の人が新型コロナ肺炎で重症化しやすいのは、高血糖になると免疫力が下がってしまうからでしょう。免疫細胞には「食べる」ことで敵を退治する種類があるのですが、その細胞は血糖値が高くなると機能が低下することがわかっています。また、過去に戦った敵を覚えて次に備え、素早く反応するという機能も弱くなってしまいます。
さらに、全身の血管がもろくなるため血流が悪くなり、感染によるダメージの回復にも時間がかかるうえ、薬も行き渡りにくく効きにくいのです。糖尿病は、さまざまな病気を合併しやすいことがわかっていますが、感染症に対しても非常に不利なのです。
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教えてくれたのは……
工藤孝文(くどう・たかふみ)先生
【Profile】
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は福岡県みやま市の工藤内科で地域医療に従事している。糖尿病・ダイエット・漢方治療を専門とし、NHK「ガッテン!」、日本テレビ系「世界一受けたい授業」、フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」など、メディアに肥満治療評論家・漢方治療評論家として多数出演。日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本抗加齢医学会・日本東洋医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会所属、小児慢性特定疾病指定医。著書は『1日1杯飲むだけダイエット やせる出汁』(アスコム)、『女性専門の疲労外来ドクターが教える 疲れない大百科』(ワニブックス)、『心と体のもやもやがスーッと消える食事術』(文藝春秋)、『高血糖の9割は早歩きだけで治る!』(宝島社)など多数。
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(抜粋)
書籍『新型肺炎に負けないからだをつくる! 医者が考案した究極のヨーグルト健康術』
著者/工藤孝文
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編集/神崎宏則(山神制作研究所)
取材・文/福田(渡邉)真由美、森田啓代、乙野隆彦(山神制作研究所)
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WEB編集/FASHION BOX