様々な合併症を発症するリスクがある糖尿病。実は1型糖尿病と2型糖尿病の2種類があり、生活習慣を改めることで改善できる場合もあるそうです。吉田俊秀先生が1型糖尿病と2型糖尿病の違いについて詳しく教えてくださいました。
このコンテンツの監修者は……
吉田俊秀(よしだとしひで)
医療法人 親友会 島原病院 肥満・糖尿病センター長
医学博士/京都府立医科大学客員教授
【Profile】
京都府立医科大学医学部卒業。アメリカ・カリフォルニア大学、アメリカ・南カリフォルニア大学にて、Bray教授のもとで肥満研究と肥満治療を学ぶ。京都府立医科大学付属病院教授、京都市立病院糖尿病・代謝内科部長を経て、現職。日本肥満学会功労評議員(専門医・指導医)、日本肥満症治療学会評議員、日本糖尿病学会功労評議員(専門医・指導医)、日本内分泌学会功労評議員、日本内科学会近畿地方会評議員(認定内科医)。おもな著書に『糖尿病、あきらめたらアカンで!』(宝島社)、『糖尿病を自力で治す最強療法』(マキノ出版<寄稿>)、『肥満の遺伝子がわかった 最新肥満医学が明らかにした究極のダイエット法』(ごま書房)、『キャベツ 夜だけダイエット』(アスコム)など多数。
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1型糖尿病と2型糖尿病の特徴
■1型糖尿病
発症年齢:若い人に多い
症状:急激に発症し糖尿病になることが多い
体型:やせ型が多い
原因:自己免疫やウイルス感染により、すい臓にあるランゲルハンス島(とう)のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど出なくなり、血糖値が高くなる
■2型糖尿病
発症年齢:中高年に多い
症状:症状が出にくく、気がつかないうちに進行する
体型:肥満の人のほうが多いがやせ型の人もいる
原因:生活習慣や遺伝的な影響でインスリンが出にくくなったり、効きにくくなったりし、血糖値が高くなる
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1型糖尿病と2型糖尿病の治療の違い
■1型糖尿病→インスリン注射
1型糖尿病の場合、インスリンはほとんど出ていない状態。自分で血糖値を下げることができないため、インスリン注射をして血糖値を下げる必要があります。
インスリンはすい臓にあるランゲルハンス島のβ細胞でつくられていますが、そのβ細胞が破壊されてしまった場合、インスリンをほとんど分泌しなくなります。この状態が1型糖尿病で、インスリン注射を使うことになります。
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■2型糖尿病→食事療法、運動療法、服薬、インスリン注射など
2型糖尿病で初期の場合、インスリンは出ているので食事や運動によって血糖値を下げることで改善することができます。ただし、長期間何もせず、糖尿病が悪化すると服薬やインスリン注射などの治療が必要になります。
すい臓が弱っている、遺伝、ストレス、運動不足などでインスリンが出にくくなっている、または、インスリンを受け入れる細胞に異常が起こり、インスリンの働きが悪くなっている状態や、肥満のため、インスリンの働きを悪くするホルモンが脂肪細胞から過剰に分泌されることにより、実際にはインスリンは正常より高値に分泌されていても血糖値が高くなる状態が2型糖尿病です。
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また、2型の場合、血糖値の上昇時にインスリンを分泌するように働くGLP‒1を週に1回程度注射する治療法や、GLP‒1注射と同様の働きがあるDPP4阻害薬という飲み薬、腎臓からの糖の再吸収を阻害し、尿から糖を排出するSGLT2阻害薬などの投薬治療があります。
糖尿病は太っているうちに改善することが大切
インスリンがほとんど分泌できない1型糖尿病の場合、やせ型の人が多いのですが、2型糖尿病で初期の場合、太っている人が多くみられます。
初期の2型糖尿病で肥満傾向の状態なら、まだインスリンはちゃんと分泌されており、正常の人よりインスリンの効きが悪くなっているだけなので、食べものからの糖の摂取量を減らしたり、運動を取り入れたりすれば、血糖値は上がりにくくなり、インスリンの無駄遣いも防げます。悪化するとインスリンが枯渇(こかつ)してしまい、投薬治療が必要になるので、糖尿病を自分で改善するためには、この段階で2~3㎏減量することがとても重要なのです。
BMI25以上の状態が10年以内ですか? 2型糖尿病を発症して2年以内ですか? 医師にインスリン分泌能力があるか、また、両親に糖尿病の遺伝歴がないかを確認してみましょう。これらの条件に当てはまる人は、今すぐ、食事、運動療法を始め、2~3kg減量すれば、血糖値をコントロールでき、糖尿病を改善することができますし、15%以上減量できれば、糖尿病もほぼ正常化することができるのです。
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(抜粋)
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監修:吉田俊秀
構成・文/小山暢子
WEB編集/FASHION BOX
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