taraさんと考える「私と地球に心地よい暮らし」
地球と私たち生物のサステナブルな未来のために、今何ができるのか。モデルのtaraさんと一緒に学び、実践しましょう。食品ロス問題に取り組むジャーナリストの井出留美さんに驚くべき事実を教えてもらいました。
≪目次≫●キーワード → 食品ロス
●食品ロスの半分は家庭ごみ!?
●教えてくれたのは……井出留美さん プロフィール
キーワード → 食品ロス
「残すのはもったいない」と物心ついた頃から教わってきた命の源である食べ物。しかし現状は、家庭や企業でまだ食べられるのに廃棄されてしまう「食品ロス」が問題になっています。
昨年公布された「食品ロス削減推進法」の成立に協力するほど問題に精通している井出留美さん(写真左)が詳しく教えてくれました。
野菜を腐らせない! 長持ちする正しい保存方法を食品ロス専門家が伝授!!
食品ロスの半分は家庭ごみ!?
――食品ロスは外食での食べ残しがイメージにありますが……。
日本では、食品ロスは年間で約612万トン(平成29年度)もあり、その半分近くが家庭から出ているんです。
――半分が家庭から!
そうなんです。家庭の食品ロスの1つめの理由が野菜のヘタを余分にとってしまったり、皮を厚くむきすぎたりする「過剰除去」。
2つめはごみ箱へそのまま捨てる「直接廃棄」。食材を余らせて調理しないまま捨てたり、賞味期限が切れたからと、まだ食べられるのに捨ててしまうことを言います(賞味期限のルールは下の図を参照)。
3つめにおかずなどをつくりすぎて食べきれずに捨ててしまうことが挙げられます。
もう半分の事業者による食品ロスも「つくりすぎ」が原因の1つ。業界内のルールで、売る側は欠品(※1)を起こした食品メーカーに対して売り上げの補償金や取引停止などの罰則を設けることがあります。
それを避けるため、メーカー側は欠品しないよう必要以上に生産せざるを得ないのです。ほかにも業界内のルールによる食品ロスがあり、深刻です。
「食品ロス」に含まれていませんが、規格外の農畜水産物も大量に廃棄されています。豚や牛などの家畜も出荷の基準体重を満たしていないと、殺処分になることも……。
まだまだほかにも原因はありますが、これらの食品ロスは、日本では焼却することがほとんど。生ごみは重さの80%が水分で、焼却にとてもエネルギーを使い環境負荷がかかります。また、売れ残った食品は税金で焼却処分されていることも覚えておいてください。
――食品ロスの半分が家庭ごみなのであれば、私たちは何に気をつけるといいでしょうか?
食べられる分だけを買って、無駄なく食べきること。まずは、買い物に行く前に、冷蔵庫にあるものをチェックし買い物リストをつくって無駄買い予防を。野菜くずは、私はベジブロスにしています。
あとは生ごみ乾燥機(※2)もおすすめです。コンポスト(堆肥)にしなくても、水分が減るので焼却しやすくなり、臭いもなくなります。「生ごみを減らす」ことが要なんです。
(※1)商品が棚にない状態
(※2)井出さんおすすめの生ごみ減量乾燥機「パリパリキュー」は、コンパクトで音が静か。住まいの地域によっては購入時に補助金制度が利用できることもあるのでチェックを。
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教えてくれたのは……
井出留美さん プロフィール
食品ロス問題ジャーナリスト。博士(栄養学)、修士(農学)。ライオン、青年海外協力隊、日本ケロッグ広報室長を経て独立。食品ロス削減推進法成立に協力。著書『あるものでまかなう生活』(日本経済新聞出版)が発売中。
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
model & food_tara
photograph_Miho Kakuta
text_Nao Yoshida
(リンネル 2020年11月号)
web edit_FASHION BOX, Ayaki Ando[vivace]