<インタビュー>特別養子縁組で親になる|10年超の不妊治療、2度の流産・死産、子宮全摘後の決意とは

特別養子縁組で親になる|10年超の不妊治療、2度の流産・死産、子宮全摘後の決意とは[インタビュー]

新しいコトに挑戦する人が素敵です!

ものごとの大小にかかわらず、「やりたい」という思いを実際の行動に移すことができれば、日々は色濃く豊かになるはず。今回は10年以上の不妊治療、2度の流産・死産、そして子宮全摘の経験をした後に、特別養子縁組で生後5日の男の子と家族になった不妊ピア・カウンセラー池田麻里奈さんにお話をうかがいました。

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特別養子縁組で念願の「親」になる

これから先の人生をかけて自分がやりたいことはただひとつ
親になる、ということでした

池田さんが特別養子縁組で親になることを決めたのは、10年以上の不妊治療、2度の流産、死産を経験し、子宮腺筋症による子宮全摘出術をした直後の42才の時。
「産める可能性がゼロになったからこそ、はっきりと“それでも子どもを育てたい”というコアな気持ちに気づけたんです。長年ボランティアで子どもに関わってきたのですが、それはあくまで大勢の中のひとりとして。親は、子どもにとって唯一の存在であり絶対的な味方です。まだまだ長い残りの人生を考えた時に、親として子どもを育てることが私にとっていちばんやりたいことだと自覚しました」

どんな子でも、何才の子でも引き受ける。そう決めて特別養子縁組へ舵を切ってからは、児童相談所で里親研修を受け、数ある中から、考え方や取り組みの姿勢に共感できた民間の養子縁組あっせん団体に登録した。
「私は児童養護施設を退所した若者のアフターケアのボランティアをしたことがあるのですが、彼らの様子を見ていて、もっと前の段階、たとえば施設に0才で入る時、さらには生まれる前までさかのぼってのケアが必要だと常々考えていました。児童養護施設の職員さんは転勤や退職があったりもするので、子どもの成長を通してずっと見てくれる人はいないんですよ。私たちが登録した養子縁組あっせん団体は、妊婦のケアに親身になって取り組んでいるところ。妊娠中から対話を重ね、いろんな選択肢の中で養子縁組を提示しているので、母子を無理に引き離すのではなく、きちんと納得の上で新しいファミリーに大切な子どもを託す、という考え方です。だから、子どもにとって親の不在がない(あるいは短い)。そこを大事にしているところに私たち夫婦は感銘を受けました」

縁あって池田さん夫妻の元にやってきたのは、生後5日の男の子。それからは、想像していた以上に世の中の見え方が変化したそう。
「最初から結婚したくない、子どもを産まないという人は別ですが、育てたくて産みたくてがんばっている不妊のカップルにとって、いまだに世の中は辛く過酷。今、この子を育てられて幸せだからこそ、不妊の大変さが浮き彫りになった気がします。また特別養子縁組にしても当事者の情報が足りないから、どうしていいかわからない人、理解者や味方がいなくて諦めてしまう人がいます。そういう人に、“大変さよりも幸せが上回るよ”、ということを伝えたいです。もちろん、私たち自身が子どものための制度を根底から理解した部分もあるけれど、社会の中に味方になってくれる人が増えると、親になりたい人が一歩踏み出しやすくなるし、強い心を支えられるはず。そして何より、子どもにとって暮らしやすく、生きやすくなる。そのために、できることから地道に活動していきたいと思っています」<インタビュー>特別養子縁組で親になる|10年超の不妊治療、2度の流産・死産、子宮全摘後の決意とは

<インタビュー>特別養子縁組で親になる|10年超の不妊治療、2度の流産・死産、子宮全摘後の決意とは
写真は家族の成長の記録!

赤ちゃんの頃からの思い出の写真。「どんな出自でも区別されることがない社会を目指し、また家庭では子どもが養子の事実をすっと受け入れられるよう、生活を積み重ねたいです」

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教えてくれたのは……池田麻里奈さん

【PROFILE】
不妊ピア・カウンセラー。「コウノトリこころの相談室」を主宰。数々のメディアや大学で講演活動を行う。体験を綴った夫婦共著エッセイ『産めないけれど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ』(KADOKAWA)が発売中。

 

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撮影=柳原久子
取材・文=土谷沙織

GLOW 2021年3月号

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WEB編集=FASHION BOX

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