35歳以上の妊娠・出産事情を医師が解説|準備すべきことは? 卵子凍結すべき?

35歳以上の妊娠・出産事情を医師が解説|準備すべきことは? 卵子凍結すべき?

(2020年7月10日 更新)

生理は順調だしまだまだ元気。いずれ子どもは欲しいけど、もう少し仕事を頑張っても大丈夫だよね、なんて思っていたら大間違い。からだの事情や生まれてくる子どものことを考えたらせめて37歳までに出産したいところ。いつかじゃなくて、すぐに考えて! 宮益坂メリーレディースクリニックの長岡美樹院長に詳しく教えていただきました。

≪目次≫
●36歳が妊娠に適した限界年齢。40歳に近づくにつれて出産は厳しくなる
●35年前といまの出産年齢
●出産を考えるなら取り組むべき事前の準備や検診
●妊娠Column1:残っている卵子の数が分かる!?
●妊娠Column2:「卵子凍結」って?
●教えてくれたのは……

36歳が妊娠に適した限界年齢。40歳に近づくにつれて出産は厳しくなる

40歳目前で自然妊娠する人もいるし、自分も大丈夫なのでは?と思いがちですが、いったい何歳まで産めるのでしょう?
「40歳前後で無事に出産した人は特別。自分も産めると思ってはいけません。30年前といまの出産年齢を比較すると確かに35歳以上で産む人は増えましたが、40歳以上の差はわずか。医療の進歩分くらいと理解して37歳までに出産するのが賢明です。卵巣にある卵のもと(原始卵胞)の数は36歳以上でガクンと減りますし、染色体異常児の出生の数は急激に増えます。体外・顕微授精などでたとえ妊娠できても流産する率はグンと上がります。妊娠中は妊娠高血圧症候群になりやすくなりますし、難産や産後の回復に時間がかかるなどの問題もあります」(長岡先生)

35歳以上の妊娠・出産事情を医師が解説|準備すべきことは? 卵子凍結すべき?
出典: FASHION BOX

35年前といまの出産年齢

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出典:厚生労働省「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況」

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出産を考えるなら取り組むべき事前の準備や検診

どうせ産むなら準備万端でのぞみたいですよね。最低でもこの3つは実践する価値があります。

1. 風疹の検査

妊娠初期に風疹にかかると赤ちゃんの耳が聴こえなくなったり、心臓に穴が開くなどの先天性風疹症候群になる可能性があるので絶対に避けたいところ。現在、各自治体が無料で風疹の抗体検査事業を行っているので、住んでいる自治体に問い合わせてみて。可能なら、妊娠・出産のことも考えて産婦人科で検査を受けるのがオススメです。

2. 葉酸の摂取

葉酸は枝豆やほうれん草、アスパラガスなどに含まれるビタミンB群のひとつで、血液中の赤血球の形成に関わる成分です。また、妊娠初期の胎児の脳や神経管の形成にも重要なはたらきをします。
「バランスのよい食事をとっていれば不足することはありませんが、食事が偏っている、食生活に自信がない人はサプリメントで摂っても」(長岡先生)

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1日3粒で800μgの葉酸が摂れる。800μgはサプリメントから摂る葉酸の上限を超えず、かつ胎児の分も摂れる適量。葉酸のはたらきを助けるビタミンB6とB12もバランスよく配合。エレビット 90粒 ¥4,167(バイエル薬品)

3. 子宮頸がん検診

子宮の入り口に子宮頸がんやがんになる前の前がん病変ができた場合、切除して治療します。ところが、子宮の入り口を切除すると赤ちゃんが入っている重たい子宮を支えられなくなって流産や早産の可能性が出てきます。そのため、妊娠する前に子宮の入り口に異常がないかどうかをチェックする必要があるのです。

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妊娠Column1:残っている卵子の数が分かる!?

卵巣に残っている卵のもとの数が分かる「AMH検査」

少し前に卵巣に残っている卵胞(卵のもと)数の目安が分かるものとして「AMH(抗ミュラー管ホルモン)」が注目されましたが、AMHは年齢とともに低下しますし、個人差も非常に大きいため、AMHの値で何歳まで妊娠できるかということは分かりません。また、AMHの値が高ければ妊娠できる可能性が高いというものでもありません。残っている数を調べて妊娠可能年齢を探るよりも、できるだけ早く妊娠することをすすめます。

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妊娠Column2:「卵子凍結」って?

凍結卵子を残しておけばいつでも子どもが持てる!?

いま元気な卵子を冷凍保存しておけば、数年後の卵子で妊娠するよりもいいかも?と思うのは早計です。現在の日本では採卵できるのは40歳の誕生日まで、預かりは45歳の誕生日まで。それ以上に、未受精のまま凍結させた卵子を解凍して使用する際の受精率は高くありません。特別な事情がない限り賢明な方法ではなさそうです。

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教えてくれたのは……

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宮益坂メリーレディースクリニック
長岡美樹院長

【Profile】
子育てが一段落したのを機に、女性がなんでも相談できるオーダーメイドの医療を目指して2011年に開院。温かみのある診察室ではデスクをはさみ、同じ目線の高さで対面する診察スタイルでリラックスして話せる。産婦人科専門医。

宮益坂メリーレディースクリニック
東京都渋谷区渋谷1-9-12 渋谷MNビル3階
TEL:03-6805-0250
診察時間:9:30~12:30、14:00~17:00(予約優先制)
休診日:水曜午後、土・日・祝

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text:TOMOKO KUROKAWA
& ROSY 2020年6月号
web edit:FASHION BOX
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