「それでも職場の男性には話しにくいです」『もっと話そう!Hello Femtech』プロジェクト Answer記事

普及する「フェムテック」によって、少しずつこれまでの固定観念も変わりつつあります。月経や妊活、更年期など女性の健康課題について話をすることも今まで何となくタブー視されていましたが、ムーブメントの盛り上がりとともに少しずつオープンになりつつあります。とはいえ、職場などの身近な男性に話すことはまだまだハードルが高いでしょう。今回は、日本国内のフェムテック市場のパイオニアとして注目を集める企業「fermata(フェルマータ)」の共同創業者でありCCOの中村寛子さんに、「フェムテックの男性理解」についてお話伺いました。

「フェムテック」はひとつのムーブメント

中村さん 「フェムテック」という産業がこの世に生まれて、その産業に興味や関心を持つ方がとても増えています。そしてフェムテック商品を通じて、生物学的女性の心身にまつわる課題を、男性の方にも知っていただくきっかけになっていると思います。fermataでもフェムテックを軸として、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の知識向上のため、企業の方々とご一緒させていただく機会が増えました。

「フェムテック」が同調圧力になってはいけない

中村さん そんな際にfermataとして気をつけている点があります。それは、“強制はしない”ということ。“知るべきだ”という言葉は絶対に使わないようにしています。異なる身体を持つ人に「自分の体のことを全部分かってください」と言うのも無理な話ですよね。生物学的女性も、生物学的男性の体に何が起こるかというのは完全には理解できていない。分からないことを前提として、お互いがどのように理解し合えるかが重要だと思っています

オープンに話したい人がオープンに話せる場を

中村さん 今までタブー視されてきた生物学的女性の健康課題について「フェムテック」とともにメディア等で取り上げていただく機会が増えました。そうやってオープンに話す機会は増えてきているけれど、私たちは必ずしも全員がオープンに話す必要はないと思っています。職場でも、友達同士でもオープンに話したい人は話し、話したくない人は話さなくていい。その選択肢は絶対的に必要です。ただ、「誰かと話したいな」と思う人たちに対して、社会がどうやって場や機会を作っていくかが課題となると思います。

目指したいのは個を尊重する社会

中村さん 「フェムテック」は、女性の体にまつわる悩みへのアプローチが中心にはなるけれど、fermataが目指しているのは、性別に関係なく誰もがタブー視しがちな健康課題に向き合える世の中です。「お互いがどういう課題を持っているか」ということをみんなが理解して尊重できる社会が、最終的には当たり前になってほしいと思っています。男女雇用機会均等法が施行されてからまだ約40年、まだまだ課題は多く残っています。

教えてくれたのは……fermata CCO中村 寛子さん

fermata CCO 中村 寛子さん

Edinburgh Napier University 卒業後、デジタルマーケティング企業に入社。その後、女性エンパワメントを軸にジェンダー、年齢、働き方、健康の問題などまわりにある見えない障壁を多彩なセッションやワークショップを通じて解き明かすダイバーシティ推進のビジネスカンファレンス「MASHING UP」を企画プロデュース。2019年、杉本亜美奈さんと「fermata」を設立。「フェムテックが集まるECサイトも」https://hellofermata.com/

宝島社では女性誌11誌男性誌2誌、計13誌合同によるフェムテック・フェムケア啓発プロジェクト「もっと話そう! Hello femtech」を2021年12月25日より始動しました。

フェムテックの認知度向上を通じて、女性の健康問題に係わる具体的な話題を話す機会を増やすことで、女性がより活躍できる社会に繋げ、ひいては男女関係なくヒトが生きやすい社会を目指すための活動です。

Hello Femtech 特設ページはこちら

https://fashionbox.tkj.jp/femtech

取材・文=吉田彰子

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