メノポーズ（更年期）カウンセラーとして、クリニックにて更年期カウンセリング外来を担当している吉川千明さん。女性の健康美に携わってきた経験と幅広い知識から相談相手に寄り添い、的確なアドバイスをしています。吉川さん自身、あらゆる症状に悩まされ続けた更年期を送ったそう。
そこで今回は、吉川さんが更年期と上手に付き合ってきた方法、乗り切ってきた心構えなどを伺いました。
吉川さんに表れた更年期の症状とは
吉川さんが、初めて心身が悲鳴をあげていると感じたのは30代後半の頃。
「子どもがまだ小学1、2年生のときにイライラや肩こりが出始めました。子育ても家事も仕事も一生懸命にしなくちゃ、という思いが強過ぎたのだと思いました。今思うと、いわゆるほんちゃんの更年期の前に、更年期症状が出る期間（プレ更年期）だったのでしょう。
それから数年後、仕事を通じて婦人科の医師と出会い、自分の心身の不調を相談して低用量ピルを服用してみたんです。そうしたら、当時感じていたしんどさが軽くなって。それから、自分の専門分野でもあるアロマやハーブなどの自然の力、漢方や鍼灸も女性ホルモンに影響を与えることを知り、積極的に取り入れるようにしました」
とはいえ、更年期は体が変わっていく期間。完全に症状がおさまったわけではなかったと言います。
「更年期って、さまざまな症状がおさまってから更年期だったとわかるもの。私の場合、ホットフラッシュとのぼせ以外、
・不正出血
・疲れやすさ
・ひどい首と肩のこり
・関節痛
・不眠症状
・イライラ
・めそめそ
・浮遊感
・物忘れ
・集中力の欠如
・尿漏れ
・肌や粘膜の乾燥
など、あらゆる更年期の症状が出ました。それに加え、人混みや狭いところが急に苦手にも。
良いドクターとの出会いもあり、人より女性ホルモンや更年期、漢方やセルフケアの知識はありましたが、仕事のし過ぎや頑張り過ぎ、神経を使い過ぎる性格などが影響して、更年期のつらさは味わってきたと思います」
吉川さんが更年期に意識していたこととは
吉川さんが更年期を乗り切ってきた生活習慣や心構えを、みなさんにご紹介します。
何事も「適当」に
自分がいなければ、自分がやらなければ、なんて気を張らなくていいんです。とっても疲れる時期ですし、集中力も、段取り力もなくなる時期。失敗したら気持ちが沈んでしまうでしょ？ ただでさえ更年期はウキウキした気分が少なくなるうつ症状になりがちなので、気楽に、ちょっぴりどころでなく、かなり手を抜くぐらいの心持ちでちょうどいいと思います。
心も体も休ませる
ちょっと動いて体が疲れたら、横になって寝て休んでいいんです。ダラダラしていいんです。また、心がイライラしていると人に当たってしまってケンカになることも。そんなときは心を休ませる意味で、人と「離れる」のも手。出かけたり旅に出たり、1人になって十分に休息しましょう。
香りをかぐ
特に植物の芳香成分は、芳香療法（アロマテラピー）として用いられるように心や体に働くさまざまな力があります。嗅ぐだけで、更年期の症状が改善されたというデータも出ていて、自律神経や心の安定に役立ちます。好きな香りを持ち歩いたり、入浴や睡眠時に取り入れたりと、そのとき自分が落ちつく香りをかいで癒やされましょう。
体を冷やさない
体が冷えると、体調が悪いときにはさらに体が重く感じます。ほてりやのぼせのある人も下半身はとても冷えているものです。更年期症状を感じるときは、季節を問わず、入浴は必ず湯船に浸かる、温かい食事をとる、上着を1枚多く持ち歩くなど、体を冷やさないように意識することが大事です。
医療の力を利用する
何もしないで辛い思いをするのなら、迷わず医師へ相談するのがいいと思います。私は、低用量ピルや漢方薬、ホルモン補充療法などの更年期治療を受けました。プラセンタ注射も保険適用になっています。疲れたときにおすすめです。今は女性外来が一般的になっているので、何でも相談できるかかりつけ医を見つけられるといいと思います。
運動をする
体を動かすことは当然体力のサポートにもなりますが、やる気が湧いたりポジティブな思考になったりと気持ちの支えにも大いに役立ちます。更年期には無気力になることも多々あると思いますが、ストレッチやウォーキングなど、できる範囲で体を動かすことを続けてみましょう。
更年期とは、女性がアップグレードされる時期
更年期は、体が変わる時期。「年をとった」とネガティブになる必要なんてなし。
「月経がなくなっても、女性であることに変わりはありませんから！ 更年期をくぐり抜ければもっと素敵な自分になれる、女性がアップグレードされると思えば、ただの通過点に過ぎないでしょ？
まだまだ楽しい女性の人生は、私は50からだと思っています。更年期と上手に向き合って、素敵に年を重ねていきましょう」
教えてくれたのは吉川千明さん
美容家、オーガニックスペシャリスト、オーガニックコスメを推奨する第一人者として、PR活動やオーガニックブランドのコンサルティング、教育も行う。また、自身の更年期の経験から、認定メノポーズカウンセラーとしても活躍中。婦人科医の対馬ルリ子氏との共著『「閉経」のホントがわかる本』（集英社）が発売中。
取材・文／大人のおしゃれ手帖編集部
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