閉経後は骨密度が急降下する!? 骨粗しょう症のリスクがある人の特徴などを医師が解説

背が縮んだと思ったら、痛みのない骨折!? 閉経後の骨粗しょう症の悪化に要注意![医師 監修]

骨骨(こつこつ)と60代から骨のことを考えましょう
骨粗しょう症対策

閉経後10年経ったら骨粗しょう症による“いつの間にか骨折”に注意しましょう。いつまでも元気に自分らしい人生を楽しむためにも、骨の健康は重要です。医療法人財団健康院 理事長で健康院クリニック院長の細井孝之先生にお話をお聞きしました。

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閉経後に注意したい骨粗しょう症のこと

閉経後、急降下する骨密度。予防のためにいま、すべきこと

骨粗しょう症は、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。骨粗しょう症の日本人女性は約980万人いるといわれていて、男性の3倍以上と圧倒的に女性に多い病気です (*1)。「女性は、骨量低下が閉経後に一気に進み、年2~3%ずつ減少していきます。閉経によって、骨吸収を抑制したり、骨形成を進める作用のある女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が激減するからなのです。また、若いころ過激なダイエットをすると、ピーク時の骨量がより少なくなるので、骨粗しょう症リスクが高まります」と細井孝之先生。骨粗しょう症が怖いのは、自覚症状がないことも多く、骨折していても気づかないことがあるからなのです。閉経後は、骨量の変化に注意すべき年代です。人生100年時代といわれるいま、心身が老衰するフレイルや寝たきりにならずに健康で過ごすためにも、今日から骨量の減少を食い止める対策を始めませんか。

*1『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版』(一般社団法人日本骨粗鬆症学会)

20代をピークに骨密度は低下します

閉経後は骨密度が急降下する!? 骨粗しょう症のリスクがある人の特徴などを医師が解説
グラフは原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)を参考に編集部で作成

骨密度は男女とも20歳ころピークに達します。その後、男女ともに年1%ずつ徐々に低下していきますが、女性は閉経後、女性ホルモンの分泌量が減るのと同時に、骨密度の減り方も加速。年2~3%ずつ減っていきます。

つまずいて手をついただけで骨折……!? 骨粗しょう症が悪化するとどうなる?

圧迫骨折は痛みもなく、折れていても気づかない

骨密度低下のサインとなる症状はあるのでしょうか?「骨折しない限り、自覚症状が出ることはありません。また、腰椎は圧迫骨折していても、痛みを感じないことが多いのです。骨粗しょう症性の骨折は、閉経後まず腰椎などの背骨の骨折から始まり、つまずいて手をつくことによる手や前腕、尻もちをついて大腿骨という順で起こりやすくなります」(細井先生)。骨折連鎖のドミノ倒しが起こると、寝たきりへと進む可能性が高まります。骨粗しょう症のリスクがある人は、□閉経後であること □糖尿病、慢性腎臓病、関節リウマチ、膠原病の治療中 □親が骨粗しょう症で骨折した □ステロイド剤の長期使用などです。遺伝的に骨密度が高いと、多少減ってもビクともしない人がいる一方で、気をつけていても体質によって骨密度が減りやすい人もいます。減量で栄養のバランスが崩れたり、体重が減ると骨が減るリスクも高まるので注意が必要です。

こんなことないですか?

尻もちをついたら大腿骨を骨折した

閉経後は骨密度が急降下する!? 骨粗しょう症のリスクがある人の特徴などを医師が解説

骨粗しょう症による骨折は閉経後に起こりやすくなります。最初に起こりやすいのは腰椎などの背骨の圧迫骨折ですが、骨粗しょう症が進行すると大腿骨骨折が起こりやすくなります。

背中が曲がる

閉経後は骨密度が急降下する!? 骨粗しょう症のリスクがある人の特徴などを医師が解説

猫背や身長低下が姿勢の悪さからきているのであれば、身長低下は3cm未満のはず。脇腹の肋骨と腰骨の間に、指3本分のスペースがなければ、圧迫骨折の可能性ありです。

背が縮んだと指摘される

閉経後は骨密度が急降下する!? 骨粗しょう症のリスクがある人の特徴などを医師が解説

身長が3cm以上縮んでいたら、症状はなくても腰椎の圧迫骨折の確率が約5割です。4cm以上縮んだ場合は、ほぼ確実に圧迫骨折しています。痛みはないことがほとんどです。

顔の骨が萎縮する

閉経後は骨密度が急降下する!? 骨粗しょう症のリスクがある人の特徴などを医師が解説

顔の骨量も、体と同様に減っていきます。目尻や口元が垂れてきたと感じたら、骨の萎縮が始まっているサインかも。しかし顔の骨は、体と違って折れることはありません。

《Column》骨密度が低下すると歯ももろくなる?

噛み合わせのずれを感じたら要注意

上あごの骨量が先に減り、下あごは後から減っていくといわれています。するといままで合っていた噛み合わせがずれてきます。噛み合わせのずれは、歯へのダメージにもつながります。また、よく噛めなくなると、骨もさらに弱くなるので注意が必要です。

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お話されたのは……医療法人財団健康院 理事長 健康院クリニック院長 細井孝之先生

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医療法人財団健康院 理事長 健康院クリニック院長
細井孝之先生

【PROFILE】
千葉大学医学部医学科卒業。東京都健康長寿医療センター内分泌科部長、国立長寿医療研究センター臨床研究推進部長を経て現職。骨粗鬆症などの骨代謝疾患、抗加齢医学が専門。

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女性医療ジャーナリスト
増田美加さん

【PROFILE】
約30年以上にわたって女性の健康と医療をテーマに執筆、講演を行う。近著に『もう我慢しない! おしもの悩み~40代からの女の選択』(オークラ出版)ほか多数。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。

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取材・文/増田美加
イラスト/藤井昌子
(素敵なあの人 2022年12月号)

※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください

WEB編集/FASHION BOX

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