Hello Femtech フェムテックについてもっと話そう!/メンタルの揺らぎ
今、関心が高まっているフェムテック。女性を悩ますさまざまな問題がクローズアップされ、生理や更年期のタイミングにやってくるメンタルの揺らぎに効果的なアイテムもたくさん発売されています。今回はW Femina Clinic院長の宮崎綾子先生、植物療法士の菅原あゆみさん、美容ライターの谷口絵美さんに、メンタルの揺らぎに関する対処法をお聞きしました。
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Q1:生理で気分がゆらぐと肌もゆらぐ、両方にいいスキンケアありますか?
A:「ホルモンバランスの乱れに寄り添うコスメ、あります。生理前までは黄体ホルモン(プロゲステロン)が増えるため、皮脂分泌が活発になりニキビができたり、毛穴が詰まりやすくなったりと肌が揺らぎがちに。少しの刺激にも敏感になっているので、しっかり保湿する・摩擦やピーリングなどは避けるなど、肌負担のないケアを心がけるのが鉄則。最近では、各ブランドから女性のバイオリズムの変化に寄り添うコスメも続々登場しています。低刺激や高い保湿力はもちろん、ストレスケアを叶える精油ブレンドだったりと、使うだけで心身(肌)共にリラックスできるはず。肌や心が荒れる前に、先回りしたスキンケアにするだけでも、QOLはかなり変わるはず!」(谷口絵美さん)
Q2:生理前の気分の落ち込み、 どうケアしたらいいの?
A:「まずはPMS、PMDDの症状と受け入れるだけでも心が軽くなるはず。落ち込んだり、だるくなったり、むくんだり、頭痛がしたり……。でも生理になった途端、それらの症状が改善する。それはPMS(月経前症候群)と言えるでしょう。詳しいメカニズムは実はまだ不明なのですが、特に排卵後はエストロゲンとプロゲステロンの変動が大きいことが原因とされています。そのPMSのなかでも、精神的に不安定になり、日常に支障をきたす症状をPMDD(月経前不安気分障害)と言います。イライラしてパートナーとぶつかってしまったり、会社に行くのが嫌になったり。これも生理前であれば、PMDDの症状なのです。女性は基本的に、女性ホルモンに振り回されて生きています。でもそれは妊娠するためには必要な周期的変化。うまく付き合っていく他ありません。まずは自分の生理前に不安定になる症状をPMSやPMDDだと受け入れることが大事。そしてその症状が現れたら、無理をしない、カフェインや塩分を控えた食事をする、からだを温めるなどの工夫をしてみましょう。そして、もっと症状を安定させたいなら、婦人科でピルを処方してもらうのもひとつの手。変動の大きなホルモンバランスをフラットにすることができるため、PMSやPMDDの改善にも期待できますよ」(宮崎綾子先生)
Q3:どこからが更年期症状?
A:「人によって症状はさまざま。気になるのであれば医師に相談を。更年期の典型的な症状といえば、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)と発汗。それ以外にも、動悸やめまい、冷えやからだのだるさなどの身体的な不調から、イライラや憂鬱などのメンタル的な不調まで、その人によって個人差があります。そもそも更年期の症状が現れるのは、加齢だけではなく、エストロゲンの欠乏、性格、ストレスなどが関与しています。最近では30代後半でもプレ更年期症状が現れるケースも増えているので、年齢のせいだからと諦めたり、我慢したりせず、不調を感じたら早めに受診を。症状に応じてホルモン補充療法やお薬、漢方やエクオール、プラセンタ点滴やアロマテラピーなどさまざまな治療法を提案します」(宮崎先生)
更年期チェック
以下の症状が6項目以上、強く出ている場合、医師のカウンセリングを受けたほうがいいかも。
□顔がほてる
□汗をかきやすい
□腰や手足が冷えやすい
□息切れ、動悸がする
□寝つきが悪いor眠りが浅い
□怒りやすく、イライラする
□くよくよしたり、憂鬱になる
□頭痛、めまい、吐き気がする
□疲れやすい
□肩こり、腰痛、手足の痛みがある
□月経異常、尿失禁、性交痛などがある
□皮膚や粘膜の乾燥やかゆみがある
Q4:更年期が怖いです。ケアで遅くできますか?
A:「自律神経のリズムを整えることが更年期対策に。更年期の症状は、自律神経の乱れもひとつの要因。自律神経とは、活動中や緊張しているときに働く交感神経と、リラックスして心とからだを休ませる副交感神経のこと。実は体温を一定に保っているのも、この自律神経の働き。働いているときはオンモード、家に帰って休むときはオフモードと、うまく作動していればいいのですが、切り替えがうまくいかないと、自律神経の乱れに繋がり、体温も一定に保てなくなるため、冷え性などの不調を引き起こしてしまいます。それでなくても、MUSE世代は、仕事に家事、子育てなど毎日忙しなく動いていて、休んでいるつもりでも頭は常にオンモード。そのため、疲れが取れなかったり、寝付けなかったりすることが多いんです。だから根本解決としてオン・オフを上手に切り替える、冷え性対策をすることを心がけてください。例えば寝る前にパジャマを着る、携帯などの電子機器とは離れる、リラックスするハーブティーを飲む、冷え取りパットや腹巻きで温活をする……。そんなちょっとしたことでも副交感神経への大切なスイッチ。カギとなるのはからだのリズムを整えること。実際、私は56歳ですが更年期の症状は全くありません。小さな積み重ねでも、結果的に将来快適に過ごせることに繋がりますよ」(菅原あゆみさん)
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教えてくれたのは……
宮崎綾子(みやざき・あやこ)先生
【PROFILE】
W Femina Clinic院長。日本産婦人科学会産婦人科専門医・日本女性医学会認定女性ヘルスケア専門医。W Femina Clinic、吹田徳洲会病院産婦人科医勤務。「もっと身近な婦人科」を目指して日本の女性の婦人科との向き合い方の変革を啓蒙。
菅原あゆみ(すがわら・あゆみ)さん
【PROFILE】
植物療法士。下北沢「ネロリハーブ」オーナー。英国式植物療法、漢方や和漢などを基本としたオリジナルのハーブブレンドを展開。ひとりひとりの体質に合わせてハーブティーやハーブチンキをブレンドするカウンセリングも行う(ご紹介の上、要予約)。
谷口絵美(たにぐち・えみ)さん
【PROFILE】
美容ライター。『otona MUSE』をはじめ、さまざまな媒体でフェムテック企画を担当。“女性は自分のからだにテクノロジーが備わっている”という森田敦子さんの言葉に感銘を受ける。さらなる可能性を求め、あらゆる施術やアイテムを体当たりで体験!
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illustration:KAORI YOSHIOKA [asterisk-agency]
text:EMI TANIGUCHI
(otona MUSE 2022年2月号)
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