今、話題のフェムテックとは? 大人世代のデリケートゾーンのケア方法やおすすめアイテムを解説[医師 監修]

更年期やセックスの悩みに役立つフェムテックも! デリケートゾーンケア最前線[医師 監修]

“フェムテック”って知っていますか?

最近メディアでよく取り上げられる“フェムテック”とは、何のことでしょうか? その意味や“大人のおしゃれ手帖読者世代のフェムテック”について、女性医療の専門家である関口由紀医師とジャーナリストの増田美加さんにお話をうかがいました。

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女性特有の健康問題をテクノロジーで解決できる製品やサービス

フェムテックの広がりで悩みを相談しやすい世の中に
“フェムテック(Femtech)”とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語で、女性が抱える健康問題をテクノロジーで解決できる商品(製品)やサービスのことをいいます。

女性医療ジャーナリストの増田美加さんは、こう説明します。
「フェムテックという言葉は、2012年~2013年にドイツの月経管理アプリ『Clue』の最高経営責任者が同アプリを展開する際のサービスカテゴリーの名称として作った言葉に由来していますが、広く使われるようになったのは2016年頃です。日本には1~2年遅れて入ってきたようです。2020年4月の時点で、海外の約300社、日本国内の約50社がフェムテックの製品やサービスの開発に乗り出しています」

女性特有の問題をテクノロジーで解決するための商品やサービスなら以前から存在していますが、なぜ今、フェムテックなのでしょうか。
「どこまでをフェムテックと呼ぶかは諸説ありますが、高機能の月経カップなどもフェムテックといえますね。近年は、以前からある製品や医療的な施術が進化したり、新しい製品やサービスが登場したことで、フェムテックが盛り上がってきているといえます。また、日本の女性はデリケートゾーンの悩みを人に言えない傾向がありますが、フェムテックという言葉が広まりつつあることで、女性特有の健康問題を当然のこととして話題にしやすくなったり、ケア製品やサービスを利用しやすくなってきたように思います」と、女性医療クリニックLUNA理事長の関口由紀先生は話します。

今、話題のフェムテックとは? 大人世代のデリケートゾーンのケア方法やおすすめアイテムを解説[医師 監修]

更年期の不調や加齢に伴うセックスの悩みにもフェムテックが役立つ

更年期世代のフェムテックを活用してGSM対策を
“フェムテック”でWEBサイトを検索すると月経管理アプリや生理用ショーツが多く出てきますが、フェムテックで扱っている領域は月経関連だけでなく、婦人科系疾患や更年期、性交痛などのセックスの悩みなど多岐にわたります。

『大人のおしゃれ手帖』のメイン読者層は、40代~50代の女性。いわゆる更年期世代の悩みに対応したフェムテックには、どのようなものがあるのでしょうか。
「高機能な失禁パッドなどのデリケートゾーン用アイテム、腟の保湿ジェルなどの化粧品系アイテム、腟のトレーニングに役立つエクササイズアイテム、超音波などを使って医療機関で行う施術であるエネルギーデバイスの4つのジャンルに分けられます。保湿剤にしても超音波治療にしても、顔のケアに行われていたものがシモに下りてきた、と考えればわかりやすいですよね」とは、関口先生。

医療として認められているものは別として、腟に使うアイテムの安全性や効果が気になる人もいるのではないでしょうか。
「日本で一般的な方法で購入できるものに関しては、安全性は高いといえるでしょう。海外からの輸入品も多くありますが、日本人は慎重なので安くて粗悪な商品にはあまり手を出しませんから、信頼できるメーカーのものがほとんどだと思います。効果に関しては、エビデンス(医学的根拠)を調査するには高額な費用がかかるので、それをする企業は少ないです。ですから、効果がはっきりしないものもあります」(関口先生)

アイテムや施術に加えて、増田さんはWEBサイトやアプリの利用もすすめています。
「デリケートゾーンのケアに変革をもたらしたのは、2014年にGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)が新たな疾患として提唱されたことです。以前は“老人性腟炎”と呼ばれていて、老化現象だから仕方ないとされていました。でも、ケアをしなければ症状は徐々に悪化して、生活の質が著しく低下してしまいます。フェムテック関連のサイトやアプリを利用して、更年期以降のトラブルに役立つケアアイテムの知識を得たり、体調管理に役立てるのもよいでしょう」

フェムテックとして考えられる4つのジャンル

デリケートゾーン用アイテム
生理用ナプキンや失禁パッドなどの使い捨ての消耗品、月経カップなど。なかでも、新しい技術で作られた高機能のもの。

化粧品系アイテム
デリケートゾーン用の洗浄剤、外陰部や腟のうるおいを保つ保湿剤(オイルやジェル、ローション)など。

エクササイズアイテム
腟萎縮の予防・改善のための、腟トレーニングアイテム。腟の中に入れて使うボール状のものやバイブレーターなどがある。

エネルギーデバイス
腟の萎縮や変形、それに伴うゆるみなどに対して行う、レーザーや超音波、高周波を使った治療法。医療機関で行う。

覚えておきたいキーワード:GSM

GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)とは、閉経後に女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が低下することで外陰部や腟が萎縮・変形し、乾燥やかゆみ、頻尿、尿漏れ、排尿困難、性交痛などの症状が起こること。

更年期以降を快適に過ごすために、デリケートゾーンのケアを!

腟チェックや保湿、さらにフェムテックアイテムを駆使
女性の多くは更年期の不調やデリケートゾーンの悩みを隠して耐えてしまいがちですが、放置したばかりに悪化したら元も子もありません。増田さんは、「不調があれば受診するとともに、デリケートゾーンのケアを丁寧に行っていくことが大切」と言います。

その具体的な方法については、関口先生が自身のデイリーケアを教えてくれました。
「入浴中に腟に指を入れて、きちんと腟が収縮しているかをチェックしています。加齢によって骨盤底筋が衰えてくると、腟や尿道、肛門などの筋力も低下してGSMの症状が出やすくなるからです。入浴後はデリケートゾーンも保湿しています。専用の保湿剤がなければ、全身用のものでかまいません。皮膚の強さは、顔、腟、その他の順なので、全身用であれば問題なく使えます。また、骨盤底筋トレーニングの運動も行っています」(関口先生)

腟のチェックで骨盤底筋の収縮がわからないようなら、「フェムテックの出番です」と関口先生。
「腟のトレーニンググッズとして、バイブレーターをおすすめしています。プレジャーモードとトレーニングモードを切り替えられるものがあり、後者にすると腟を締めたり緩めたりする運動を促します。また、プレジャーモードにして腟内をマッサージすると、血流が促進され、腟萎縮や性交痛の改善につながります」(関口先生)

バイブレーターは、フェムテックのアイテムを扱うオンラインショップなどでも購入できます。
「更年期のフェムテックは、黎明期といえます。人生100年時代といわれる今、女性がもっと快適に過ごすためには、デリケートゾーンへの意識を高め、ケアをし、悩みを訴えていくことです。声が届けば、医療や企業も変わり、よりよい治療法や製品、サービスが生まれるのではないでしょうか」(増田さん)

おすすめのアイテム

今、話題のフェムテックとは? 大人世代のデリケートゾーンのケア方法やおすすめアイテムを解説[医師 監修]
LUNAエイジングケアセット ¥12,000/ルナ プライド ショップ

オイルセット
更年期以降の女性のケアにおすすめ。エストラジオールを0.002%配合した美容オイル(左)とウマプラセンタなどを配合した美容液のセットで、混ぜて使う。外陰部や腟、顔の保湿に。

今、話題のフェムテックとは? 大人世代のデリケートゾーンのケア方法やおすすめアイテムを解説[医師 監修]
サマーズイブ フェミニン泡ウォッシュ ¥1,200/ピルボックスジャパン

ボディウォッシュ
アメリカ生まれの女性用デリケートゾーンケアのブランド「サマーズイブ」。泡タイプのボディウォッシュは低刺激性なので、デリケートな部分もやさしく洗い上げ、しっとりなめらかな肌に。

今、話題のフェムテックとは? 大人世代のデリケートゾーンのケア方法やおすすめアイテムを解説[医師 監修]
YES インティメイト・オイルローション OB ¥3,500/アジュマ

オイルローション
ヒマワリ種子油などのナチュラルオイルをベースにしたデリケートゾーン用のオイルローション。イギリスのオーガニック認証機関の認定を受けたオーガニック成分を使用。

今、話題のフェムテックとは? 大人世代のデリケートゾーンのケア方法やおすすめアイテムを解説[医師 監修]
SORAYA(ソラヤ) ¥29,980/ルナ プライド ショップ

バイブレーター
スウェーデンのメーカーが作ったスタイリッシュなデザインのバイブレーター。表面はシルクのようになめらかで、静音設計、振動は強弱8段階と6種類のパターン。完全防水なので、丸洗いできるから衛生面でも安心。

クリニックでできること

「モナリザタッチ」「LUNAハイフ」
モナリザタッチはフラクショナル炭酸ガスレーザーを腟や外陰部に照射する治療法で、外陰部のかゆみ、黒ずみ、尿漏れ、性交痛などの症状を改善します。LUNAハイフは高密度焦点式超音波治療(HIFU)で、腟の筋肉を引き締めてゆるみを改善、性交時の満足度を高めます。

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教えてくれたのは……

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女性医療ジャーナリスト
増田美加さん

女性医療ジャーナリスト
増田美加さん

【PROFILE】
NPO法人「女性医療ネットワーク」理事。エビデンスに基づいた健康情報や患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。

今、話題のフェムテックとは? 大人世代のデリケートゾーンのケア方法やおすすめアイテムを解説[医師 監修]
女性医療クリニックLUNA 理事長
関口由紀さん

女性医療クリニックLUNA 理事長
関口由紀さん

【PROFILE】
泌尿器科医、医学博士。東洋医学の指導医の資格も有する。2005年、横浜・元町に「女性医療クリニックLUNA」(www.luna-clinic.jp)を開設。

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text:Keiko Nakayama
illustration:Natsuki Suyama
大人のおしゃれ手帖 2021年3月号

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web edit:FASHION BOX

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