更年期に起こる特有な症状として代表的なのが、多汗。
発汗を抑える作用がある女性ホルモンの分泌が減るために、汗をかきやすくなる更年期症状による発汗です。
特に、上半身や頭部など、局所的にふきでるような汗をドッとかくような症状が表れます。
加齢による汗の変化
ベタベタする汗は、ミネラルを多く含むほか、アンモニアなどのニオイ成分も含んでいます。
これが雑菌の繁殖を促し、汗のニオイが強くなる傾向があります。
このニオイに拍車をかけるのが、加齢臭。
皮脂腺から出てきた皮脂汚れに空気中のバクテリアが繁殖し、酸化反応が起こることで発生します。
大人女性も気を付けたい加齢臭
加齢臭というと男性に多いと思われがちですが、実は女性にもあります。
女性は、年齢を重ねるごとにどんどん加齢臭がひどくなる傾向があります。
頭皮や生え際、耳のうしろなどにニオイが発生しやすいのが特徴です。
ホットフラッシュの可能性も
急に顔がほてる、のぼせる、ふきでるような汗をドッとかく、このような症状は、更年期によく見られるホットフラッシュです。
女性ホルモンの分泌量の減少により、慢性的な血行不良となることから、体の調節ができにくくなります。
また、ストレスによって症状が悪化することもあります。
ストレスが蓄積すると、自律神経のバランスが崩れて、交感神経が優位な状況になり、ますますホットフラッシュの症状があらわれやすくなります。
汗と上手に付き合うには?
外出先で汗をかいたら、こまめにふき取ることがまず大切です。
最近では、制汗剤も種類が多く、機能も高くなっていますから、それらのアイテムを使うこともおすすめです。
自宅に戻ったら、まずシャワーを浴びて汗をすっきり洗い流しましょう。
殺菌成分の入ったボディソープを使えば、ニオイを防ぐこともできます。
食事で体質改善
日本人はもともと体臭が少ない体質といわれていますが、最近では、食生活の変化によって体臭が強くなっている傾向があります。
特に、肉類などの動物性たんぱく質を多く摂取すると、体臭がきつくなります。
汗のニオイを予防するには、酸化臭を防ぐビタミンCやEを多く含んだ抗酸化食品、体内で乳酸などの発生を抑えて汗のニオイを抑えるアルカリ食品、腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を減らす、腸内環境を整える食品などをとりましょう。
運動を習慣にしてサラサラのいい汗に
バランスのとれた食事を心がけ、スポーツなどを習慣にしていい汗を流すことで、新陳代謝が活発になり、汗もサラッとした気持ちのいい汗に。
いい汗をたくさんかくことで、体のめぐりがよくなってきて、体調もよくなります。
涼しい時間帯を狙って、ウォーキングなど軽い運動を続けることもいいでしょう。
病院での治療もひとつの手
汗止め注射で発汗を抑制する、多汗症治療があります。
汗のもととなるエクリン汗腺やニオイのもととなるアポクリン汗腺の働きを抑え、気になる脇の汗とニオイの悩みを解消します。
注射後1〜10日で治療効果が表れ、その治療効果は3〜6か月ほど続きます。
一般的に2回目以降の治療効果は初回より長く持続します。
局部麻酔を塗って極細の針で注射するので、痛みに弱い方でも安心して受けることができます。
更年期の期間だけの症状とはいえ、気になる人は一度受診してみるのがいいでしょう。
[監修]
ウォブクリニック中目黒 総院長
髙瀬聡子先生
慈恵会医科大学卒業。2007年「ウォブクリニック中目黒」を開設。
美容医療全般の治療を行う。
近著に『いちばんわかるスキンケアの教科書 健康な肌のための新常識』(¥1,400/講談社刊)がある。
構成・文/大人のおしゃれ手帖編集部 画像協力/PIXTA
※『大人のおしゃれ手帖』掲載記事より再編集
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