50代以降になると歯周病で歯を失う人が増えてきます。
生涯を通して自分の歯で噛めるように、今からしっかりケアしましょう。
50代はしっかり歯周病対策を!
生涯にわたり健康な歯を保つためには、早い段階から歯周病対策をはじめるのがおすすめです。
50代から歯周病で歯を失う人が増加
歯周病とは、細菌に感染して歯の周りに炎症が起きる病気。
歯周病のうち、歯ぐきに炎症が起きた状態を「歯肉炎」と呼び、さらに進行して歯を支える歯槽骨が溶けだした状態を「歯周炎」と呼びます。
歯周病が進行すると歯肉が下がって歯が長く見えたり、歯がぐらぐらしてきたりします。
最終的には歯を抜かなければならなくなります。
50代以降になると歯周病リスクが高まり、歯を失う人が増えはじめます。
また、歯周病は歯の健康だけでなく、全身の健康にも関与しており、糖尿病や動脈硬化などの病気とも関わりがあるといわれています。
歯周病は初期段階ではあまり自覚症状がなく、気づいたときには進行しているケースが多いため、日頃のケアが肝心です。
歯垢が歯周病の原因に
歯磨きが十分でないと、歯と歯ぐきの間に歯垢(プラーク)がたまります。
歯垢には大量の細菌が含まれており、細菌が歯周病や虫歯を引き起こすといわれています。
歯垢を放置すると硬い歯石になり、歯磨きでは取り除くことができません。
また、糖尿病や喫煙なども歯周病のリスク要因と考えられています。
歯周病は予防と治療が大切
歯周病は予防も治療もできる病気です。
しかし、一度溶けた顎の骨を元には戻せません(溶けてしまった骨の一部を自費治療において、多少回復させることしかできません)。
早めの対応を心がけましょう。
歯周病の予防
歯周病の予防は、原因となる歯垢をしっかり取り除くのが基本です。
セルフケアに加えて、定期的に歯科医院を受診し、磨きにくい部分の歯垢や自分では取り除けない歯石を除去してもらいましょう。
歯磨きでは、歯ブラシを歯と歯ぐきの境目にあてて、5ミリ幅程度に小刻みに動かして磨きます。
歯ブラシが届きにくい歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシを使うのもおすすめ。
効率よく歯垢を取り除くには電動歯ブラシを使う方法もあります。
歯磨き粉はフッ素を配合したものなどさまざまな種類があるので、目的に合わせて選びましょう。
マウスウォッシュ(洗口液)は歯磨きと併用することで口腔ケアに役立ちます。
食事では、だ液の分泌を促すためによく噛んで食べることが大切。
だ液には、口の中の汚れを洗い流したり、細菌の増殖を抑えたりするはたらきがあり、よく噛むことが歯周病や虫歯の予防につながります。
歯周病の治療
歯周病には、「歯磨きで出血する」「口臭が気になる」「歯ぐきが腫れる」「歯と歯の間にものが詰まりやすい」「歯がグラつく」などの症状があります。
症状がみられる場合は早めに歯科医院を受診しましょう。
歯周病の治療では、セルフケアによる歯磨きと合わせて、歯科医院で歯垢や歯石を取り除くのが基本です。症状に応じて噛み合わせの調整なども行いま
す。
こうした治療だけでは改善されない場合は外科手術を行うこともあります。
「8020」を目指そう!
「8020(ハチマルニイマル)運動」とは「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。
20本以上自分の歯があれば、ほとんどの食物を噛んで食べることができ、満足度の高い食生活につながるといわれています。
食べる楽しみを持ち、健康寿命を伸ばすためにも、80歳で20本以上の歯を保てるようにしたいものですね。
(まとめ)
歯周病は歯を失う原因となるだけでなく、糖尿病などとも関連がある病気です。
「いつの間にか歯周病が進行していた」ということがないように、今日からケアをはじめましょう。
[監修]
五反田駅前歯医者 院長
大木 烈
厚生労働省認定臨床研修医指導医
国際インプラント学会専門医
米インディアナ大学インプラント科客員講師
米インディアナ大学歯科矯正科認定医
米インディアナ大学医学部解剖学認定医
構成・文/大人のおしゃれ手帖編集部 画像協力/PIXTA
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