（2020年5月28日 更新）
残念なことに日本ではうつ病患者は減るどころか増え続ける一方。その原因は、「栄養」にあるかもしれないと精神科医の藤川先生は言います。「質的栄養失調」に陥りがちな現代人が、心も体も健康でいるためにはどうすれば良いか、藤川先生に伺いました。
≪目次≫
教えてくれたのは……
藤川徳美（ふじかわ・とくみ）先生
1960年、広島県生まれ。医学博士。1984年、広島大学医学部卒業。広島大学医学部附属病院（現・広島大学病院）精神神経科、県立広島病院精神神経科、国立病院機構賀茂精神医療センターなどに勤務。
うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見する。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」（広島県廿日市市）を開院。気分障害、不安障害、睡眠障害、ストレス性疾患、認知症などに対して多面的な治療法を採用しながら治療にあたっている。著書に『うつ消しごはん』（方丈社）、『薬に頼らずうつを治す方法』（アチーブメント出版）、監修では『食事でよくなる！ 子供の発達障害』（マキノ出版）がある。
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ビタミン・ミネラルを奪う過剰な糖質摂取
現代人の体を質的栄養失調に陥れている元凶ともいえるのが糖質です。その代表が、白砂糖。お菓子やジュースなどに含まれています。またご飯や麺、パンといった炭水化物に含まれる糖質も見逃せません。とくに忙しい人は、朝はパンとコーヒー、昼はパスタやラーメン、夜はカレーライスなどと炭水化物がメインの食事で済ませているという人も多いのでは。とくに日本は、米食の文化ですし、料理の味つけにも砂糖を使うので糖質過多状態になっています。
糖質主体の食事は、たんぱく質や鉄が不足しやすいという点に加えて、糖質によって急上昇した血糖値を下げるために分泌されるインスリンを合成する過程で、たんぱく質（アミノ酸）が使われ、ビタミンやミネラルも消費されます。つまり、糖質を摂るということはたんぱく質やビタミン・ミネラルを浪費するということ。質的栄養失調から脱却するためには、糖質にまみれた生活からも抜け出す必要があるのです。
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こんな食事が当たり前になっていませんか？
糖質過剰な食事がなぜいけないの？
理由1
一品ものが多く、鉄分やたんぱく質が不足
↓
ホルモンの材料がなくなる
理由2
血糖値が急上昇し、ビタミンやミネラルが不足しやすい状態に
↓
セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質がつくられず、うつになる
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食事から摂りきれない栄養は別で補う
昔に比べて作物の栄養価は非常に低くなっています。しっかりとした土壌で育てられたオーガニック野菜などでない限り、一般に書いてあるままの栄養素が野菜から摂取できているかは疑問。また、たんぱく質が不足した体は消化や吸収の力も弱くなっているために、食べたものからどれほど栄養が吸収できているか不確かです。自然の食材にこだわることも大切ですが、まずは自分の心身の調子としっかり向き合う必要があるといえるでしょう。
そこで役立つのが、プロテインやサプリメントです。プロテインは、不足しがちなたんぱく質を手軽に補えます。肉と違い、脂肪分も少ないですから肉が苦手な人、たくさん食べられない人におすすめです。そして、食事からでは摂取しきれない鉄やビタミンをサプリメントでしっかりと摂る。こうして、栄養の質をあげることで、体が整えば、心身の健康管理がもっとスムーズにできるようになります。
サプリメントは賢く摂れば心を強くする味方です。
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藤川流サプリメントの使い方極意
1. たんぱく質はプロテインで補う
プロテインというとスポーツ選手や筋肉をつけたい人のためのものとイメージしているとしたら大間違い。体の基礎をつくる栄養ですから不足しないようにプロテインを取り入れましょう。
2. 効果がすぐ出る鉄サプリ
鉄も食事だけでは不足しやすいもの。サプリメントには、吸収力の高いキレート鉄というものがあります。これなら、効率よく鉄の摂取ができますので、活用しましょう。
3. 不足しやすいビタミンこそサプリで
糖質の過多やストレスなど、さまざまな要因でビタミンはすぐに枯渇します。体内に留まらないものもあるので、サプリメントでこまめに補うことで、体の機能が健全に働けるようになります。
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（抜粋）
TJ MOOK『精神科医が考えた！ うつも消える！ 心を強くする食事術』
監修／藤川徳美
表紙撮影／高杉 純
編集・ライティング／藤田都美子
ライティング／杉浦美佐緒、宇津井恵子
WEB編集／FASHION BOX
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