敬語は丁寧すぎると失礼に!? “おっしゃられる”は正しくないってホント？

無意識のうちに誤った日本語で話し、その間違いに気づいていない人も多いもの。大人女子ならば日頃から正しい言葉を使えるように心がけましょう。

よかれと思っても大間違い！過剰敬語に気をつけよう

「“お”や“ご”をつけすぎて、かえって下品な言葉遣いになってしまう過剰敬語。上品にふるまおうという心がけや、相手を敬わなければいけないプレッシャーがかえって過剰敬語につながることもあります。敬語はほどほどに使うことを、肝に銘じておきましょう」
（国語講師吉田裕子先生）

○：おっしゃる
「おっしゃる」は「言う」の尊敬語にあたる。さらに、尊敬の助動詞である「られる」を付け加えた「おっしゃられる」は、二重敬語となり典型的な間違った敬語になってしまう。シンプルに「おっしゃる」と表現するのが正解。

○：ビール
どんな名詞にも“お”や“ご”をつければよいわけではない。「お水」や「お酒」は丁寧語として日常使いされるが、「おビール」と言うのはやや下品な印象。外来語のカタカナ名詞に“お”をつけるのは不自然になるので控えたい。

○：トイレ、お手洗い
風呂を「お風呂」と言うと丁寧に聞こえるが、カタカナ語に「お」を付けて表現するのは不自然な日本語。また、人前で口に出す場合トイレという言葉はストレートなので、「お手洗い」と表現した方が上品に聞こえる。

○：ご覧になる
正しくは「ご覧になる」で、「見る」の尊敬語にあたる。「ご覧になる」に「れる」をつけると、尊敬語が2回出てくるため過剰敬語となってしまう。つい丁寧に言おうと敬語を重ねて間違ってしまうことは多い。

○：お戻りになりますか
「お～になる」の尊敬語に「れる・られる」の尊敬語をつけると二重敬語になるため、「お戻りになられますか」は間違った敬語となる。「お戻りになりますか」もしくは「戻られますか」と表現するのが正しいきき方になる。

○：伺います
「伺う」は「行く」の謙譲語なので、これで十分。この場合は「伺います」と使うのが正しい。謙虚に言うつもりで何にでも「させていただく」をつける人も多いが回りくどく卑屈な印象に聞こえることもある。

「紹介を美化した言葉。『ご紹介にあずかりました』など、挨拶やスピーチで使うと有効です」

「報告に“ご”をつけ、上司や取引先など、目上の人に結果を知らせる謙譲語として使います」

「目上の人に対して説明する際は『ご説明いたします』と謙譲語の形式にすると好印象」

「『お気持ちだけで十分です』『お気持ちお察しします』など、相手への気遣いを表せます」

「『お言葉に甘えて』『ありがたいお言葉』など、相手の言葉を敬す表現として使えます」

【Profile】
大学受験塾で教えながら、カルチャースクールで大人向け古典講座、企業向けの敬語や文章力研修も担当。主な著書に、『品格ある言葉とマナーが身につく正しい日本語の使い方』（エイ出版社）。

公開日：2020.03.05