教育係は知っておきたい! 部下を注意するときの正しい伝え方

教育係は知っておきたい! 部下を注意するときの正しい伝え方

経験を積むと、後輩の面倒を見る機会が増えます。ときには、仕事ぶりを注意しなくてはならないことも。相手を傷つけず、気持ちを汲んだ指導ができる先輩になっておきましょう。

このコンテンツの監修者は……

【Profile】
山口謠司(やまぐち・ようじ)さん

1963年、長崎県生まれ。大東文化大学文学部准教授。博士(中国学)。テレビやラジオの出演も多く、NHK文化センター、朝日カルチャーセンター、中日文化センターなどでも定期的に講演や講座を開いている。『日本語を作った男 上田万年とその時代』(集英社インターナショナル)で第29回和辻哲郎文化賞受賞。『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)など、著書多数。

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部下や後輩の仕事ぶりを注意するとき

教育係は知っておきたい! 部下を注意するときの正しい伝え方
出典: FASHION BOX

×:やりがちな言葉遣い

「いい加減に扱ってはいけません」

○:美人の言葉遣い

「軽(かろ)んじないでいただけますか」
「真摯(しんし)に受け止めてくださらないと困ります」
「真摯さを忘れてはいけません」

ワンポイントアドバイス
「今後はいい加減な態度をとらないでください」と注意する際は、「今後は今までのような態度は慎(つつし)んでください」という言い方がスマート。

仕事に対する姿勢を説く言葉も大切

仕事を「重く見てほしい」「軽く見ないでほしい」ということを部下や後輩に注意するとき、「重んじてください」はどこか男性的な響きなので、女性が遣う場合は「軽んじないでください」のほうがよいと思います。

「真摯に」「真摯さ」という言葉も、心構えを説くにはよい言葉です。「真」の旧字「眞」は上部のカタカナの「ヒ」のような部分が柄杓(ひしゃく)、下の部分が神様にお酒などを捧げるための金属製の器「鼎(かなえ)」を表します。つまり「眞」は神官の神様に対する「真心」なのです。「摯」は儀式や行政などを執り行うときの「執」の字の下に「手」と書くところから、何としても執り行うことを意味します。ですから仕事は、真心をもって何としても執り行うという「真摯」な気持ちで臨むことが大事だと、毅然(きぜん)と伝えてください。

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部下や後輩の失礼な態度を注意するとき

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×:やりがちな言葉遣い

「いい加減な態度が気になります」

○:美人の言葉遣い

「仕事がおざなりなのが気になります」
「あなたの仕事はなおざりではないでしょうか」

ワンポイントアドバイス
部下や後輩を注意するときは、その人の仕事ぶりをきちんと把握していることが大事。見当はずれな注意をしても、相手には響かない。

「おざなり」と「なおざり」の違いを知って注意する

部下や後輩の仕事に向かう姿勢を注意するときに、「いい加減な態度」「仕事が雑」などと言ってしまうと、相手が傷ついたり、反感を買ってしまったりする心配があります。そういうときは、「なおざり」「おざなり」という、響きが柔らかい言葉を遣ってみてはいかがでしょうか。響きが柔らかいので、相手に素直に聞いてもらえると思います。

「なおざり」は物事を軽く見て気にも留めず、いい加減、適当、というような態度です。「おざなり」は、「そのまま」という意味で、飲んだり食べたりした後、そのまま散らかったままの状態を表す言葉です。ですから仕事が「おざなり」というのは、しっぱなしで確認もしないような態度です。上に立つ人は部下や後輩の仕事ぶりをきちんと見て、注意する言葉を選んではいかがですか。

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部下や後輩に相手の気持ちを考えてほしいとき

×:やりがちな言葉遣い

「気持ちを汲(く)み取ってください」
「相手のことをよく考えてください」

○:美人の言葉遣い

「相手のことを慮(おもんぱか)ってください」
「配慮をしてください」

さらにステップアップ!
相手の事情や心情を汲み取る「斟酌(しんしゃく)」という言葉を遣う「ご意向を斟酌してください」という言い方は、地位の高い人や年配の人に遣うとよい。

相手のことを深く、先まで考えているという表現

良好な人間関係を築く根底にあるのは、いかに自分の気持ちを伝え、また、相手の気持ちを推し量ることができるかだと思います。新入社員や後輩に相手の気持ちを想像する大切さ伝えるときは、「慮る」「配慮」という言葉を遣うのがよいと思います。

「慮る」は「おもいはかる」が変化した読み方で、「おもんばかる」と読んでも間違いではありません。

「慮」は相手のことを深く、先のことまで考えるという意味です。「配慮」も人のために心を配ることですから、同じように遣うことができます。

「慮」の字を使う「遠慮」は、気兼ねして控えめにするということではなく、遠い先のことにまで思いを巡らせるというのが本来の意味でした。

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(抜粋)

教育係は知っておきたい! 部下を注意するときの正しい伝え方
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書籍『美人は上品な言葉遣いでできている オトナ女子のための「語彙力」練習帳』
著者:山口謠司

イラスト/chieko
構成・編集/小西眞由美 西垣一葉(春燈社)
WEB編集/FASHION BOX
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