かぜ&インフルエンザ予防の新常識|免疫力を上げる3つの方法【医師監修】

免疫力を高めるには”睡眠・呼吸・食事”を見直せ!ウイルス感染予防の新常識【医師監修】

(2020年3月3日 更新)

かぜやインフルエンザを予防するには、免疫力を底上げしておくことが大切です。睡眠、呼吸、食事の3つを改善するだけで、大きく変わると芝大門いまづクリニック院長の今津嘉宏先生は言います。今すぐできる免疫力アップの方法をうかがいました。

普段の生活を見直すだけで免疫機能はアップする

免疫力とは、体内に侵入したウイルスや細菌に対抗する力のこと。若いうちは免疫力が高いので、病原菌に感染しても発症しなかったり、軽い症状で済むことが多いものです。けれども、60代以降は徐々に免疫力が鈍くなるため、病原菌をやっつけようとする体の反応が間に合わず、発症しやすくなります。

「かぜやインフルエンザを予防するには、免疫力を底上げしておくことが大切です。睡眠、呼吸、食事の3つを改善するだけで、だいぶ変わります。お金も時間もかからず、すぐにできますよ」と今津先生。

睡眠はそれ自体が免疫力を高める働きがありますが、呼吸と食事のポイントは、体を温めることにもあります。体が温まると免疫力も上がるので、その効果を狙いましょう。

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免疫力をアップするための3本柱<睡眠>

就寝後、最初の3時間しっかり眠れたらOK

人は睡眠中、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を交互に繰り返しています。

「脳が休んでいるノンレム睡眠中に免疫力を高めるホルモンが分泌されます。入眠から3時間で1日のノンレム睡眠の8割程度がとれるので、免疫力を上げるという意味では、ナポレオンの逸話のように3時間眠れば十分といえます。とはいえ、体を休める必要もあるので、実際には6~7時間の睡眠が理想です」(今津先生)。60代以降になると“すぐ目が覚めてしまう”などと不眠を気にする人も多いのですが、6~7時間の睡眠があれば気にしなくてよいでしょう。

●質のよい睡眠をとるための5つのポイント
ノンレム睡眠をしっかりとって免疫力を高めるために、睡眠環境をととのえましょう。

1. 良質のたんぱく質を摂る
肉や魚などのたんぱく質に多く含まれるトリプトファンは、体内で睡眠を促すセロトニンに変わります。

2. 運動をする
日中に体を動かして適度に疲れておくと、寝つきがよくなります。

3. 寝る前に体を冷やさない
体が冷えると、寝つきが悪くなります。寝る前に軽い運動や入浴をして体を温めるとよいでしょう。

4. 睡眠環境(音と光)を整える
光を浴びると脳が覚醒して眠れなくなります。寝室の照明を落としたり、寝る直前にスマホを見るのを控えましょう。

5. 寝具を選ぶ
通気性がよくて暖かい布団や自分の頭に合った枕など、心地よく眠れる寝具を選びましょう。

免疫力をアップするための3本柱<呼吸>

鼻呼吸で湿度を保ち腹式呼吸で体温アップ

鼻からゆっくり息を吸って、鼻または口からゆっくり息を吐き出す。こんな簡単な呼吸法が、かぜやインフルエンザの予防につながるといいます。

「ポイントは、鼻から吸うこと。口から吸うと乾燥した空気が直接のどから肺に入るので、せきが出やすくなったり、肺を傷める原因になります。でも、鼻から吸うと、空気が副鼻腔を通るときに湿り気を帯びるので、肺にやさしいのです。また、女性はふだん胸式呼吸をしていますが、ゆっくりと深い腹式呼吸をすると大きな筋肉である横隔膜を動かすことになるので、じんわりと体が温まってきますよ」(今津先生)

●1日3回で風邪を予防! 簡単呼吸エクササイズ
「吸って吐いて」を3回ずつ、これを1セットとして、1日3セットの呼吸法を習慣にしましょう。

かぜ&インフルエンザ予防の新常識|免疫力を上げる3つの方法【医師監修】
出典: FASHION BOX

鼻から3秒かけて息を吸い込み、吸い切ったら一瞬息を止めます。鼻または口から3秒かけて息を吐き出します。体が温まるのが感じられるでしょう。

免疫力をアップするための3本柱<食事>

発酵食品や食物繊維で腸内環境を整えて

免疫力を底上げするには、何をどう食べるのかも大切です。

「腸内細菌の働きがよくなると、体温が上がり免疫力も上がります」と今津先生。腸内細菌を活性化させる食べ物には、発酵食品、乳酸菌を含む乳製品、食物繊維などがあります。

「温州みかんもおすすめ。β-クリプトキサンチンがかぜの予防に役立ちます。白いスジに含まれるヘスペリジンも免疫力を上げてくれます」(今津先生)

また、朝食に具の入った温かいスープを飲むのも効果的。温かいコーヒーだけを飲むよりも、消化に時間がかかるスープを飲んだほうが体を温める効果が持続するという結果が出ています。

●免疫力をアップする食品

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出典: FASHION BOX

食物繊維を含む食品
食物繊維が腸内細菌によって分解されて生じる短鎖脂肪酸は、交感神経を刺激して、体温を上げてくれます。

発酵食品
甘酒、納豆、キムチ、味噌などの発酵食品は、腸内細菌を活発にして、免疫力を上げてくれます。

乳製品を含む食品
乳製品のなかでもヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌など腸内環境を整えてくれる善玉菌が豊富です。

温州みかん
日本原産の温州みかんには、かぜ予防や免疫力を高める成分が豊富。1日2~3個までを目安に。

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教えてくれたのは……

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芝大門いまづクリニック院長
今津嘉宏(いまづ・よしひろ)先生

【Profile】
藤田保健衛生大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部外科助手、慶應義塾大学医学部漢方医学センター助教授などを経て、2013年に芝大門いまづクリニックを開設。テレビやラジオなどのメディア出演、『病気が逃げ出す上体温のすすめ』(ワニブックス)などの著書多数。

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文/中山恵子
イラスト/ハルペイ
素敵なあの人 2020年3月号
WEB編集/FASHION BOX
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