災害時に在宅避難できる住まいづくり|安全対策から備蓄まで[防災士が伝授]

災害時に在宅避難したいと考えている人に朗報! 現在の住まいでも片付けと防災用品を活用すれば、安全な空間に早変わり! 防災備蓄収納マスタープランナーの熊田明美さんに教えていただきました。ヒントがいっぱいの熊田邸を紹介します。

《目次》
●在宅避難できる空間にすると自然と家も片付いてきれいに!
 ○キッチン
 ○リビング
 ○寝室・子ども部屋
 ○廊下
 ○トイレ
●教えてくれたのは……熊田明美さん プロフィール

在宅避難できる空間にすると
自然と家も片付いてきれいに!

【キッチン】

倒れると命に関わる冷蔵庫は
上下でしっかり固定する

100㎏以上もある大型冷蔵庫が倒れると、人が下敷きになって命に関わるケガをしたり、キッチンから廊下への通路をふさぐことも。冷蔵庫内の食品や飲料が床にこぼれて滑って転ぶこともあります。しっかり固定して。

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大型冷蔵庫は、上部と天井を突っ張りタイプの器具を2本使って固定。さらにベルト式の器具で壁とも固定している。

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冷蔵庫の下部と床との間には防振ゴムマットを敷いて、冷蔵庫が前に滑り出すのを防いでいる。

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(右)T型固定式不動王(2個入)¥3,300(編集部調べ)、(左)家具を移動せずに設置できるアダプター付き。スーパー不動王ホールド(2個入)¥6,600(編集部調べ)/ともに不二ラテックス

家具や壁を傷つけたくない人におすすめ。冷蔵庫や家具類と壁の間に挟んで、粘着材で留めるだけと簡単なのに、震度7相当の振動試験をクリア。

 

地震時は、食器や刃物は凶器に
「飛ぶ、割れる」を防いで

地震のときに包丁や鍋が飛んでくると危険! 調理器具を使ったあとはすぐにしまう習慣をつけて。また、揺れを感知して自動ロックする「耐震ラッチ」が、収納扉に付いているか確認。食器などが棚から落ちない対策も必要。熊田さんの場合はさらに、割れにくいガラス製食器「コレール」を普段使いしています。

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普段あまり使わない食器や容器は、落下防止のためソフトなポリエチレン製のケースに入れて収納。

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食器棚には滑り止めシートを敷く。100円ショップでも購入できる。無地の半透明や白ならインテリアに合わせやすい。

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引き戸が開かないようにS字フックを利用。ベビー用のドアロックなども便利。「完璧ではないがリスクは低くなる」と熊田さん。

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オーブンレンジが足の上に落ちてくると骨折しかねないので、粘着マットで固定。写真のマットは100円ショップで購入。
危機管理アドバイザーおすすめ「ゆる防災」で災害対策|備蓄、便利アプリほか

 

【リビング】

おもてなしのコーナーは
食料品の備蓄庫も兼ねて

リビングで目を引くのが、お茶やお菓子が並んだキャビネット。来客時にはドリンクカウンターのように使っているそうですが、引き出しの中はおやつや飲料の備蓄庫に! 真似したいアイデアです。

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キャビネットが揺れたり倒れたりしないように固定。正面から見えにくいようフェイクグリーンで隠して。

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来客時のドリンクカウンターには、お客様用のコップとして紙コップを常備。紙コップは災害時にも使用するため在庫管理は忘れない。

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引き出しの上段にはドライフルーツやナッツが。賞味期限を見やすい向きに並べているのがポイント。下段には常温保存可能なジュースや豆乳を備蓄。

 

光触媒のフェイクグリーンや
懐中電灯もインテリアに

防災対策とはいえ、家に何もなくて殺風景になるのは寂しい。そこで熊田さんが取り入れているのがフェイクグリーン。プラスチックやバスケット素材など割れにくい素材のプランターに入れています。また、災害時に役立つ懐中電灯やソーラー多機能ラジオもすぐ使えるようディスプレイ。

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背の高いグリーンは空気清浄機能がある光触媒の人工観葉植物。その他のグリーンもフェイク。災害時、水やりができなくても枯れず、ゴミが出ない。

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ランプは落ちないようにコードを2回巻き付けている。
【災害時救命マニュアル】地震が起きたときどうすれば?に答えます!

【寝室・子ども部屋】

睡眠中の災害に備えて
ガラス戸や家具の対策を万全に

睡眠中に大地震が起こることを想定した対策を。頭に物が落ちてこないようにベッドの向きに気をつけ、家具の位置を調整。停電対策で、枕元に懐中電灯を用意。暗闇での転倒を防ぐため、床には物を置かないように。

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本棚のガラス戸には、ガラス飛散防止シートが貼ってある。透明タイプなので、本のタイトルもしっかり見える。

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ガラス飛散防止安全シートはダイソーにて購入/熊田さん私物

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本棚と床の間には、前方だけに傾斜のついた固定具を挟んでいる。前方が少し持ち上がることで、より倒れにくくなる。

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子ども部屋のベッドには、枕元に懐中電灯を常備。落ちてこないように、100円ショップで買ったキッチン扉用の袋掛けを使って固定。

災害時に在宅避難できる住まいづくり|安全対策から備蓄まで [防災士が伝授]
出典: FASHION BOX
災害時に在宅避難できる住まいづくり|安全対策から備蓄まで [防災士が伝授]

睡眠中に地震が起きると、上の家具の配置ではエアコンが頭に落下したり、本棚の下敷きになる可能性も。下のようにベッドの位置を入れ替えたりして、ケガをしない工夫を。
自然災害に備えあれば憂いなし! アプリにマップ、改めて知りたい防災知識

【廊下】

逃げるときに邪魔なものは
一切置かないのが鉄則

廊下に雑誌や古新聞、段ボールを置いたり、ガラスの花瓶、割れる額装絵画などを飾っていると、災害時に避難の邪魔になるばかりか、割れて大ケガをすることも。廊下は命を救う逃げ道、ということを忘れずに!

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玄関に通じる廊下の床には何も置かない。手前に見える花瓶は、100円ショップで買った割れない素材のグラス。

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停電して真っ暗になってもドアノブがどこかわかるように、各部屋のドアノブに蓄光テープを貼っている。

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揺れで落ちるフォトフレームは選ばず、ウォールステッカーで装飾。

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タペストリーのキットに手ぬぐいを挟んで。手ぬぐいは、災害時には包帯などさまざまな用途で活躍。好みのテキスタイルで部屋もおしゃれに防災。
壁のインテリアは“アシンメトリー”がコツ! おしゃれ度が一気にあがります!

【トイレ】

トイレにも水やホイッスル!
閉じ込められたときにも安心

断水や停電でトイレが使えなくなったときのため、非常用トイレを常備。地震でトイレのドアが開かなくなる可能性があるので、閉じ込められたときに役立つ防災アイテムなども用意しています。

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水のペットボトル(飲料水)、ホイッスル(助けを呼ぶため)、懐中電灯(停電時に使用)、扇子、またはうちわ(熱中症対策)などを常備。
専門家に聞きました! 自然災害に備えて用意したい「毎日持ち歩くもの」

教えてくれたのは……

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熊田明美さん プロフィール

一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会の防災備蓄収納マスタープランナー。「快適な暮らし」と「安心できる生活」の両方を叶えるための片付け防災収納サポート、認定資格講座などを行っている。防災士・整理収納アドバイザー・調理師の資格も保有。

※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
photograph_Junichi Harano
illustration_Kana Nakajima
text_Keiko Nakayama
大人のおしゃれ手帖 2020年8月号
web edit_FASHION BOX, Ayaki Ando[vivace]

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