最近注目を集めているマイナンバーカード。2021年3月まで実施中の「マイナポイント制度」をはじめ、今後ますますお得&便利な活用法が増えてきそうです。現在政府で検討中のものから、すでに開始が決定されているものまで、これからマイナンバーカードでできるようになることをご紹介。楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子さんにお話を伺いました。
≪目次≫●マイナンバーカードでできること 1. セキュリティー強固な社員証として
●マイナンバーカードでできること 2. 健康保険証としても利用OKに
●マイナンバーカードでできること 3. 海外からの選挙投票も可能
●マイナンバーカードでできること 4. 運転免許証としても使えるように
●マイナンバーカードでできること 5. お得に買い物できるマイナポイント還元
●マイナンバーカードでできること 6. 給付金などをスムーズに受け取れるように
●教えてくれたのは……
マイナンバーカードでできること 1. セキュリティー強固な社員証として
マイナンバーカードのICチップに本人を識別する情報を記録させ、それらを認識するアプリを導入すれば、社員証としても利用することができます。施設や会議室などの入り口にカードリーダーを設置し、マイナンバーカードでドアロックを解除できる仕組みです。
どの企業でも、入館証の作成には多少の費用がかかりますが、この方法ならばカードリーダーを導入するだけで済むので、会社としてもコストを最小限に抑えられるうえ、社員証以上のセキュリティーを獲得できます。
マイナンバーカードでできること 2. 健康保険証としても利用OKに
2021年3月から健康保険証としても利用が可能に。利用開始時には全国の病院や薬局の6割ほどが対応する予定で、2023年3月にはほぼすべての医療機関の導入が目標とされています。
利用に必要な事前登録はマイナポータルからできます。各施設に設置されたカードリーダーにマイナンバーカードをかざすことで、医療保険の資格確認がスムーズになり、事務処理の効率化が期待できます。
また、2021年にはマイナポータルで、自身の薬剤情報や特定健診情報が確認できるようになり、健康管理面に役立つサポートを受けられるようになります。また、マイナンバーカードを保険証として利用することで、領収書がなくとも医療費控除などの手続きが可能になります。
旧姓の併記が可能に!
あまり知られていませんが、2019年11月5日から住民票とマイナンバーには旧姓が併記できるようになりました。就職や転職時、結婚前の各種契約など、旧姓で本人確認が可能。ちなみに、旧姓は1人につき1つだけ記入が可能なので、そこは留意しましょう。
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マイナンバーカードでできること 3. 海外からの選挙投票も可能
国政選挙の投票率を多少でも上げようと、2020年2月5日には海外で暮らす有権者を対象にしたインターネット投票の実証実験が行われました。海外在住の在外日本人139万人の投票が上がることは確かに大事な要素でしょう。
現状、海外在住の有権者は「在外選挙制度」を利用するしかありませんが、これは各国大使館などに出向いて複雑な手続きをしなければならない面倒なものです。それがマイナンバーの活用によって解消されるのならば、その利便性は計り知れないでしょう。
マイナンバーカードでできること 4. 運転免許証としても使えるように
2020年6月、マイナンバー制度普及促進を検討する会合で政府は、マイナンバーを「運転免許証を主にした各種免許証としても使えるようにしたい」。さらには、国家資格証や在留カードも一体化できるように制度の改正を行うことを検討すると公表しました。年内に新たな工程表を作成する予定で、実現すれば複数のカードを持ち歩かなくてよくなり、利便性がかなり向上するでしょう。
一方、紛失時のリスクが高まることも事実であり、誰もが納得できる対策が必須となります。
ほかにマイナンバーカードと一体化できるカードなど
taspo、お薬手帳、母子健康手帳、在留カードなど。2019年12月20日に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」によると、マイナンバーカードに付与されるであろう既存のカードたちの機能はかなりあります。すでに一体化したものもあれば、これから少しずつ導入していくものまで多様。
政府は2022年度末までに約1億1000万枚の交付を目標としていますが、こうしたカードの一体化は普及の大きな力となるはずです。
マイナンバーカードでできること 5. お得に買い物できるマイナポイント還元
2019年10月の消費税増税は、国民の生活に大きな負担を強いました。増税によって減少するであろう消費を活性化するために、政府が提案したのが「キャッシュレス・ポイント還元」です。現金を使わず、クレジット・プリペイド・電子マネーを使用することで、最大5%のポイント還元が受けられました。この事業は2020年6月末に終了しましたが、政府が消費活性化政策として次に打ち出したのが、2020年9月から始まった「マイナポイント事業」です。
こちらは、Suicaやクレジットカードなど、対象となる決済方法を1つ選択。チャージや物品購入時にポイントが還元されるシステムとなっています。登録後、2万円分の買い物、もしくはチャージした後には5000円分のポイント付与があるため、登録するだけでもお得です(2020年8月時点)。ちなみに、ポイント還元の実施期間は2021年3月までと長くはないため、この機会を逃さないようにしましょう。
マイナポイントとは?
マイナンバーカードと対象のキャッシュレス決済を紐付けることで、ポイントが還元されるシステムになっています。キャッシュレス決済には様々な企業が参入しますが、還元されるポイントは一括して「マイナポイント」と呼ばれます。消費活性化と併せて、マイナンバーカードの普及を狙った政策でもあります。
申請に必要なもの
・マイナンバーカード
・マイナIDの登録情報
ポイント付与の対象
・現金のチャージ
・物品購入
事業の3つの目的
・消費の活性化
・マイナンバーカードの普及
・キャッシュレス決済のさらなる普及
マイナンバーカードでできること 6. 給付金などをスムーズに受け取れるように
2015年に成立したマイナンバーカードの改正法案により、2018年からマイナンバーカードと銀行口座の紐付けが始まっています。登録自体は、各金融機関に自分のマイナンバーを通知するだけの簡単なものです。しかし、現状は口座の紐付けは義務ではありません。それで問題にもなったのが、コロナ禍における特別定額給付金の支給でした。
マイナンバーカードを通したオンライン申請が行われ、申請者は迅速な対応を期待しましたが、処理は遅々として進まず、不満を持つ人が多かったのも事実です。
こうした現状を重く受け止めた政府は、6月8日に「特別給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律案」を国会に提出しました。実際、口座紐付けがうまくいけば、災害などが起こったとき、迅速に各人への補償を行うことができるでしょう。
マイナンバーと銀行口座が紐付けされれば、「政府に口座情報が見られるのでは?」と不安に思うかもしれませんが、紐付けできるのは各人1口座です。この際、1つだけでも登録するのはどうでしょう。
マイナンバーカードで、こんなこともできるかも?
多様性を持つマイナンバーカード。国や各自治体などの行政だけではなく、民間企業が利用するケースも増えています。その結果、利用者は自宅のパソコンである程度の手続きを終わらせることが可能になりました。オンライン手続きの普及により、収入印紙の貼り付けや捺印なども不要となっていくでしょう。たった1枚で、身分証明に始まり、各種資格の証明が可能になるのは、そう遠くありません。
一方、現状17.5%のマイナンバーカード普及率が100%になることが肝要です。多様な機能を持たせても、国民の多くが使っていなければ意味がありません。政府は様々なサービスや機能拡張によって、マイナンバーカード取得率を高めようとしています。人を集めようとするため、さらに機能性が高まることも期待できます。マイナンバーカードのさらなるサービス向上に期待しましょう。
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教えてくれたのは……
楽天証券経済研究所
ファンドアナリスト・ファイナンシャルプランナー
篠田尚子(しのだ・しょうこ)さん
【Profile】
慶應義塾大学法学部卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。国内銀行において個人向け資産運用関連業務に従事後、2006年にロイター・ジャパン入社。投資信託の評価分析等のアナリスト業務に従事する。2013年にロイターを退職し、楽天証券経済研究所に入所。各種メディアで投資信託についての多くのコメントを手掛けるほか、全国各地で資産形成セミナーの講師を務めるなど、幅広く活動する。
(抜粋)
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監修:篠田尚子
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取材・文・編集:ノマディカ、慎虎俊
撮影:富岡甲之
写真:ピクスタ、フォトAC
※本書に記載している情報は8月10日現在の情報です。紹介しているマイナンバーカードやマイナポイントの制度やサービス、キャッシュレス決済提供会社の各種サービス・内容は変更されている可能性があります。最新情報をお確かめのうえ、ご利用ください。
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WEB編集:FASHION BOX、株式会社エクスライト