「ギュッと締め付けられるような頭痛がする」
「肩や首のこりも伴う」
「パソコンなど目を酷使した後に痛む」
このような頭痛でお悩みではありませんか? もしかしたらその頭痛は、肩こりが原因かもしれません。
肩こりや頭痛があると仕事にも集中できず辛いですよね。肩こりは、放置すると頭痛にもつながるため、悪循環です。そこで、肩こりからくる頭痛の原因と、根本的に改善する方法について、「あんしん漢方」の薬剤師、道川佳苗さんに教えてもらいました。
この頭痛って肩こりのせいなの?
頭痛にはいくつか種類があり、大きく分けて緊張性頭痛と片頭痛、群発性頭痛に分けられます。その他にも、くも膜下出血や脳腫瘍などの病気が原因で起こる頭痛もありますが、それらは全体の1割ほどといわれています。
肩こりに伴う頭痛は「緊張性頭痛」に分類されます。
緊張性頭痛は、長時間同じ姿勢でいたり、精神的ストレスがかかることで血管が収縮して血行が悪くなると起こります。血行が悪くなると酸素や栄養分の供給が不十分になり、首や肩の筋肉が緊張してこわばるため、頭痛を引き起こしやすくなるのです。
肩こりからくる頭痛を根本解決するためのおすすめセルフケア
手軽にできる肩と首のマッサージ
両肩を上げて2〜3秒維持し、ストンと肩を落とします。力を入れすぎずに10〜20回ぐらい行います。また、首を左右にゆっくりと倒したり、首まわしを行うのも効果的です。首や肩を手のひらでさすって温めることも血流改善に効果があります。
疲れ目のケアで血流改善&リラックス
疲れ目から頭痛が起こることもあります。目を疲れさせないためにも、パソコン作業中やスマホでの調べものなどの合間には、30分ごとに5分程度の休憩をはさみましょう。遠くの景色を見るだけでも目を休めることができます。また、可能であれば蒸しタオルなどを目に当てて温めると血流も良くなり、リラックス効果もあります。
血行不良の原因! 猫背を改善
長時間同じ姿勢でいることは、血行不良の原因となるため避けましょう。前かがみの姿勢や猫背が習慣になってしまっている場合は意識して正すようにしましょう。その他にも、足を組むことも猫背の原因となるので注意が必要です。猫背を治すためには、骨盤を立てた状態を意識し背筋を伸ばして座るようにしましょう。
ドラッグストアで買える鎮痛剤
今すぐ抑えたい緊張性頭痛には鎮痛薬の使用が有効です。ドラッグストアで購入できる鎮痛薬をご紹介します。鎮痛薬の使いすぎによる薬物乱用性頭痛を防ぐため、鎮痛剤を週2〜3日以上使用することは避けましょう。
タイレノールA:胃の弱い方にもおすすめ
アセトアミノフェンのみを主成分として含む鎮痛薬です。胃酸から胃壁を守るプロスタグランジンにほとんど影響を与えないため、胃に優しい成分です。比較的、安全性が高く、妊娠中の女性に使用することもあります。ただし、妊娠中の方は必ず主治医に相談してから使用するようにしましょう。
イブA錠EX:つらい頭痛でお悩みの方や飲みやすい小粒をお求めの方におすすめ
有効成分であるイブプロフェンを、従来よりも多く(1回量200mg)含む製剤です。配合量が多いほうが効果も高いため、症状が重い方に向いています。さらに鎮痛効果を高める2種類の成分を含むため、すばやく効果を発揮します。
肩こりと頭痛をまとめて元から解消! 飲んで効く漢方薬
「鎮痛剤は副作用が心配……」
「ずっと飲み続けないといけないのかと不安……」
そんなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、漢方薬です。
漢方薬は、自然の植物や鉱物を用いた生薬を組み合わせた薬です。そのため、一般的には西洋薬よりも副作用が少ないといわれており、体質に合っていれば高い効果を得られます。
漢方薬が得意なのは、もともと体に備わっている「内なる治癒力」を高めること。体質を変え、今よりも健康な状態を目指せるのです。毎日続けて服用することで、長年、悩み続けてきた症状がすっかり消えてしまった!という日がやってくるはずですよ。
また、「健康的な食事や運動を毎日続けるのは大変……」という方でも、漢方薬を使った体質改善なら、自分の症状や体質に合うものを毎日飲むだけなので、気軽に続けることができます。
肩こりからくる頭痛に悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
<肩こりからくる頭痛に悩む女性におすすめの漢方薬>
肩こりがひどく、のぼせがちで頭痛がある方:桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血の巡りを良くすることで肩こりを改善し、それに伴う頭痛を緩和します。
のぼせて便秘しがちで、高血圧で頭痛がある方:桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
血行阻害物質と体にたまった熱を便として排出し、便秘やのぼせの症状を緩和します。
肩がこり、疲れやすく、精神不安などがある頭痛の方:加味逍遥散(かみしょうようさん)
不安感やイライラを緩和する生薬を含み、ホルモンバランスも整え頭痛を緩和します。
ただし、漢方薬はその人に合っているか否かが重要なポイントです。うまく合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用が起きることもあります。漢方に詳しい医師や薬剤師等に相談するようにしましょう。
最近では、AIを活用して体質に合った漢方薬をプロに選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」というサービスも登場しているので、利用してみるのもよいでしょう。気軽にスマホから、専門家へ個別相談を申し込むことができますよ。
肩こり・頭痛のない快適な毎日を送ろう!
締め付けられるような頭痛は肩こりが原因のこともあります。そんな肩こりを改善するためには血流を良くすることが大切です。
大切なポイントは以下の3点です。
肩こり改善のため、血流を良くする生活習慣
・姿勢やマッサージなど日頃の生活習慣で肩こりを予防
・急いで止めたい痛みには鎮痛剤の使用も有効
・漢方薬を服用することで血流を改善し、肩こりからくる頭痛を緩和
慢性的な肩こりや頭痛でお悩みの方は、漢方薬で体質改善に取り組んでみるのもひとつの方法です。しかし、頭痛の背景には様々な病気が隠れている可能性があります。痛みがひどいとき、長引くときは、神経内科や脳神経外科などで、頭部の検査をしてみることも大切です。
教えてくれたのは……
道川 佳苗
漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。
大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をするなか、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、調理技術、栄養学を学ぶため服部栄養専門学校に入学し卒業する。現在は今までの経験を活かし web上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。