便秘・下痢・臭いおならや大便は善玉菌より強くなった悪玉菌からのサイン
普段の生活のなかで悩まされる便秘や下痢に臭いおなら。何気なく放っておいている方もいるかもしれませんが、それは腸内の悪玉菌からのサインである可能性があります。対処しないと、さまざまな病気の引き金になってしまうかも……。
そこで今回は、見落とさないようにしたい腸内環境の悪化によるサインについて、一般財団法人「辨野腸内フローラ研究所」理事長の辨野(べんの)義己先生にお話を伺いました。
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悪玉菌優位の腸内環境が体の不調の温床になる
腸内環境の悪化の原因は悪玉菌です。悪玉菌優位の腸内環境は、食習慣や生活習慣など、ふとした日常の変化で起こります。外食や持ち帰り弁当ばかりで栄養バランスが悪い食生活になることはもちろん、運動不足やストレスがたまることも要注意です。
悪玉菌が優位になると、体はそれを知らせるために、肌が荒れる、おならや体臭・口臭がきつくなるなど、さまざまなサインを出します。
初期のサインで最もわかりやすいのは便秘や下痢でしょう。特に便秘をした場合、大腸の滞留便は、病気を引き起こす恐れのある一部のクロストリジウム属の悪玉菌のエサになり、ますます増殖します。すると、腸内は硫化水素やアンモニア、フェノールなどの腐敗物質で充満していきます。
これらは、大腸の壁に直接攻撃するほか、腸壁から吸収されて血液に乗り、体中を巡って、あちこちで悪さをします。この腐敗物質のせいで、便の腐敗はますます進み、おならがすごく臭かったり、刺激臭のする便が出たりします。
腸内環境が乱れることで、免疫力が低下するため、風邪をひきやすくなったり、代謝が低下して太りやすくなり、生活習慣病の心配も出てくるのです。
放置すると、体の不調が悪玉菌をさらに活性化し、負のスパイラルに突入です。がんなど、病名がついた明らかな病気と言えるものだけでなく、原因がよくわからない、いわゆる不定愁訴から、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー性疾患、精神面にまで影響します。
たかが腸内環境、たかが悪玉菌と、甘く見ていると、老化を促進し、いつもどこかが調子が悪いという状態になってしまいます。腸内環境悪化のサインを見つけたら、食事の内容や生活習慣を見直してみましょう。
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悪玉菌優位のシグナルを見逃すと大腸は病気のデパートに
悪玉菌優位の腸内で起こること
・腸内の腐敗
・発がん性物質の産生
・細菌毒素の産生
↓
放置すると重篤な疾病の引き金に
・大腸がん
・心筋梗塞
・パーキンソン病
・脳卒中
・糖尿病
・うつ病
・過敏性腸症候群
・認知症
臓器の中で病気の種類が特に多い場所のナンバーワンは大腸です。
悪玉菌が増えると腸の病気に限らず、糖尿病や心筋梗塞といった大病の引き金になってしまいます。
腸内環境のシグナルを見逃さず、病気を未然に食い止めましょう。
悪玉菌は年齢とともに増えていく
年々減っていく善玉菌は日々の菌活でサポートしよう
悪玉菌は加齢とともに増えていきます。乳児の時は母乳に含まれる乳糖やガラクトオリゴ糖を栄養源に善玉菌であるビフィズス菌が優勢になります。しかし、離乳期を境に腸内細菌バランスは劇的に変化し、出産の時に母親からもらった腸内細菌を基礎に悪玉菌も増えます。老年期になるにつれ、悪玉菌の増殖は右肩上がりになっていくのです。したがって、年を経るにつれ、意識して善玉菌を増やす工夫が必要になります。
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このコンテンツの監修者は……一般財団法人「辨野腸内フローラ研究所」理事長 辨野義己先生
【PROFILE】
(べんの・よしみ)
一般財団法人「辨野腸内フローラ研究所」理事長。理化学研究所名誉研究員、細菌学者、獣医師。1948年、大阪府生まれ。酪農学園大学獣医学科卒業。東京農工大学大学院獣医学専攻を経て理化学研究所動物薬理研究室研究員。2003年、同所・バイオリソース研究センター微生物材料開発室室長。2009年に定年退職後、同所・辨野特別研究室特別招聘研究員となる。1982年、東京大学農学博士授与。およそ半世紀にわたって腸内細菌の生態と分類に関する研究を続けてきた世界的権威。テレビ、新聞、雑誌、講演などでも活躍し、原著論文350本以上、総説・解説550本以上、単行本(共著も含めて)190冊以上を発表。2021年4月、一般財団法人「辨野腸内フローラ研究所」を設立。国内外の後進を育成しながらより深く腸内細菌の研究に努める。著書に『「腸内細菌」が健康寿命を決める』(インターナショナル新書)、『大便革命』(幻冬舎)、『自力で腸を強くする30の法則』(宝島社)など。
(抜粋)
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監修:辨野義己
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[構成・文] 大橋美貴子
[イラスト] 石山綾子、笹山敦子
[編集] 入江弘子
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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