新連載の第2回は、梨花が考えるベーシックの“今”
新連載の第2回は、洒落てるミューズの代表・梨花さんの現在の基本スタイルについて。スタイルを確立し、似合うものを知り尽くし、ファッションアイコンとして長年君臨する梨花さんの心の内とは⁉ 全女性、必読です。
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小さな挑戦を日々、続けるということ
日本とハワイに拠点を持つようになって6年。梨花さんのクローゼットには大きな変化が起きている。並んでいる服ではなく、その量に。
「多分、今これを読んでくれているミューズ読者の方より持っている服は少ないかもしれない(笑)。でもそれが、心地いいの。あ、物欲は減ってないんですよ! いいものが欲しいし、からだがキレイに見えるなら安くても高くても、だけれど。あれこれ着たい時期を何度も通過して、年齢を重ねて。自分の肌とか心から浮くことなく着こなせるものだけがクローゼットにあるの。だからぱっと見、変化はないんです。コーディネートの印象も変わらない。
だってブラックスキニーでしょ、ミリタリージャケットかトレンチコート。ロックTやタンクトップ、あとはヒョウ柄、くらいだけど、ハワイでは着ないの。さらにミニマムでヘルシーというか……もうね、ハワイの家に靴は5足くらいしかないですから。しかも移住したときから変化なし! 昔の、お買い物中毒だったころから考えたら信じられない。買い足してるのはビーサンだけ(笑)。『カーキと茶色とクリーム色、どれにしようかな~』って延々と悩んだりしてね」
ミリタリーシャツ、トレンチ、プリントで選ぶロックTとスキニー……
クローゼットは、よりタイトになってる
相変わらず驚異的なスタイルのよさを誇り、何を着たって楽しそうなのに、梨花さんは大きく首を横に振る。
「いろんな服でクローゼットが賑やかでいろんなコーデをして……って、そこを楽しんでいた時期もあったけど、そこに重きを置けないんです。特別な服じゃないのになぜこの人洒落て見えるんだろうって人に惹かれるし、私自身も、いつかそういう人になりたいんだと思います。そもそもあれこれ重ね着したりが似合わない気がするんですよね。何を着るかより、ちょっとした服の着方──その人に似合うように袖をまくるとか、その人が美しく見えるバランスに興味があるんです」
“虫捕り”と呼ぶ、私にとっては難しい丈のデニム。
ワンショルニットで私らしく
そんなふうに、自分らしいベーシックを自然と選んで着ていたら、また新たな発見と喜びを見出した、と梨花さんは大きな瞳を輝かせる。
「愛用してるケリーバッグがだんだんボロボロになって、私の肌もシワが増えてボロボロになってきて(笑)。あはは、でもね、コーディネートが変わらないぶん、自分の変化していくさまが浮き彫りになるんです。そのときにどんなジュエリーを着けようかな、って考えたりするのが楽しい。
あのね、粒が大きくなってきたの、着けるジュエリーの(笑)。遠い昔プチっとしたダイヤのピアスや細いチェーンのネックレスをしていたけれど、もう今は大きめのパールモチーフのピアスを、ハワイでも普段からしてる。年齢を重ねたからですよ、顔まわりのトーンをアップさせるために自然に選んでいるの。
あ、あと! 今日持ってこなかったんだけど、カルティエのトラ(パンテール ドゥ カルティエ)のリングを今回、日本への荷作りも全部済ませた最後の最後にスッと取り出して、息子とパパに『……じゃ、行ってくるから』って言ってから、指にはめて。『スイッチON!』ってハワイの家を出てきました(笑)。武装ですよ武装、まさに。ハワイでは着けないのね、必要ないんです。けれど東京に帰るとなったら必要なの。服は変わらないのにね」
相変わらずの話の面白さよ……しかし、変わらないだけで終わらないのが梨花さん。実はこの連載内でも小さなトライをしている。それは、
「“虫捕り”と呼んでいるんだけれど、アンクル上の丈で、裾が広めの。これは百々ちゃん(スタイリスト・百々千晴)が作ってるデニムで、人がはいていると可愛いなって思うんだけど、私、ひざから下がちょっと細過ぎるというかバランスを取るのが難しくて、夏休みに虫捕りに出かけた小学生みたいになることがあるの。でもはきたいの。だから今回百々ちゃんに相談して試してみたんだけれど、このくらいなら“虫捕り”にならずに済みそう!
首の詰まった長袖ニットなんて絶対フルレングスのデニムには合わせないけれど、ワンショルダーなら自分的に、安心。そうそう百々ちゃんが選ぶものって基本的に全部好きなの。着てみたら別のものに見えるけど、昔からそうなの」
選ぶ粒が、大きくなってきたの。ジュエリーの。
それは服が変わらないからこそ気づく自分の、成熟?
皆が憧れる女性像を作り上げて圧倒したり、非日常的なドレスで美を表現したり。モデルの仕事にもさまざまあるけれど、こうして自身の私服に近い表現をしても変わらぬ魅力を放ち、梨花さんはずっと梨花さんとして存在している。梨花さんって、他の人になりたいとか演じたいとか、変身願望ないんですか?
「女優さんって、演じる役の人になるのが楽しいって言うでしょ。私はたとえ素敵な役をいただいたとしても、多分『素敵なその役の人みたいな自分になりたい!』って思うんですよ。自分でいたいんです。誰かになりたいとは、思わないな……、だからモデルをやっているのかな(笑)」
ブランドは関係ないの。
Tシャツならコットンの雑な風合いが好き
「分かりやすく言うと、例えば10点満点中、普段の自分は3、4点くらいだと思っているのね。するとそれを、せめて撮影のときくらい7点とか8点とか、9点にしたいって願望は強いですよ。せっかく皆に見てもらうんだからカメラの前で、10点の梨花を叩き出さないと、って思う。だって、普段は3点なんだもん(笑)。これがいつか重なる日が楽しみなんです。モデルとして10点だと思える自分と普段の自分が、この先命が尽きるまでに、どのくらいまで近づけるのかな、って」
首の詰まったTシャツは似合わないと避けていたけれど、
年を重ねて似合うようになるものも、あるから
自分ではないものに変身することより、自分自身を向上させて納得したい。このことは、アレもコレも着て楽しむことより、似合うものだけを厳選するところと通ずるものがあるように感じる。
「でもね、着たいものを自由に着る人生もすごく素敵だと思いますよ。私だって散々、本当に、散々買って着てきたわけだし(笑)。ただ私は最近、クローゼットの中に自分になじんだものしかなくて、どれを合わせても浮いて見えることがないのが心地いいし、それで気づく自分の変化も楽しい。東京に戻るとき自然とあのリングを着けた、みたいなこともね(笑)」
モデルとして10点と思える自分と普段の自分が
この先どのくらいまで近づけるかな
先月の連載にも登場したシルクスカーフを首に、ワイドなコーデュロイパンツには今っぽい背中のあき具合のタンクトップで上半身をタイトにまとめて“梨花らしい”着こなしに。徹底的にバランスにこだわる理由は明白だった。梨花さん、自分のことバランスいいと思ってます?
「もちろん、全く思っていません。肩幅が、驚異的に狭いの。そのことによって顔が大きく見えてしまう。だからボトムがスリムで、かかとの位置を靴で上げないといけないとかが、必然的に出てきちゃうの。からだにフィットしたシルエットか、していないならどこかが出ていないといけないって感じる」
着たいものを自由に着る人生と似合うものを着る人生。
私は、後者なんです
「流行りものや好きなものを自由に着る人生にするのか、似合うものを着る人生にするのかは人によって違っていいと思うけれど、私は後者。自分を貫く、なんてかっこいいものじゃないの。幅が狭いだけだよ、自分を素敵に見せないものを着ないだけ。だからこっそり、むっつりと(笑)、新しいものに挑戦はしているの。タンクトップのシルエットも無意識に今っぽいものを選んでいると思う。ねえ、こんな話、聞いてて楽しい?」
ええ、めちゃくちゃ興味深いですよ、そのお見事なスタイルをバランス悪いと思っている、梨花さん自身も含めてね。
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【梨花 × アーティストUDA】今すぐ真似したい、大人の遊びメイクハウツー3選♡
梨花がオトナミューズ7周年のカバーミューズに! 読者への直筆メッセージを公開!!
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(otona MUSE 2021年6月号)
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