女性の脚悩み 「スパイダーベイン」を見逃さない
脚の血管が蜘蛛の巣のように浮き出てくる、スパイダーベイン。「スカートがはけない」「温泉に行きにくい」と悩む女性が増えています。血管の病気に詳しい北青山Dクリニック院長の阿保義久先生に原因や治療法についてお聞きしました。
注)現在、ウェブなどで「スパイダースキン」と表現されることがありますが、医学では「スパイダーベイン」が正しい用語です
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“シミ”のような静脈の老化現象
スパイダーベインがよく見られるのは、膝の裏側や太ももの外側。男女問わず現れるもので、むこうずね全体に広がることもあるそうです。
「見た目が気になりますが、痛みなどの症状はなく、全身の血液循環を障害するような病気もありません。下肢静脈瘤の一種で、皮膚の表面近くにある細い静脈が拡張したもの。いわば“シミ”のようなものなんです」
もともと静脈は動脈に比べて薄くて柔らかく、伸びやすい性質を持っています。このしなやかな静脈の中を、心臓に向かって静かに血液が流れています。その血液量は動脈よりもずっと多く、全身の血液量の約70~80%にも上るといいます。
「この血流が何らかの原因で“渋滞”すると、行き場を失った血液が周りの毛細血管に入り込み、拡張させてしまうんです」
その大きな原因が「加齢」です。年とともに、静脈は柔らかく、伸びやすくなるのです。また、静脈の働きをサポートする、脚の筋肉の衰えも要因になります。治療法はあるのでしょうか。
「健康保険は適用されませんが、硬化療法(下記事参照)や体外照射レーザーで治療できるようになっています。形成外科や皮膚科など、信頼できる医療機関を探して、相談してみてください」
膝の裏に広がったスパイダーベイン。拡張した毛細血管が蜘蛛の巣のように見えます。太ももやむこうずねにも生じます。
Q:スパイダーベインになりやすい人は?
体質的に血管が柔らかくて拡張しやすい人がいます。また、高身長で脚の血管が長い人や立ち仕事をしている人、肥満気味の人などは、下肢から心臓への血流が“渋滞”しやすく、スパイダーベインになりやすいといわれています。
Q:悪化すると下肢静脈瘤になってしまいますか?
典型的な下肢静脈瘤では、血管にボコボコのコブができます(写真)。これは、血管にある弁が壊れて逆流が起こるのが原因。スパイダーベインでは逆流は起こっていないので、瘤ができることはありません。「ただ、スパイダーベインを持つ人で、別の血管に逆流が見つかることも。下肢静脈瘤を起こしやすい素因はあると考えられます」
下肢静脈瘤になったらどんな治療&手術をしますか?
カテーテルや接着剤を使った治療があります
下肢静脈瘤の治療は、主に3つあります。1つは、カテーテルを用いた「血管内焼灼術」です。逆流を起こしている血管にカテーテルを挿入して、レーザーやラジオ波を照射し、血管をふさぎます。ボコボコのコブができる下肢静脈瘤には、この治療法が行われます。
2つめは「硬化療法」で、スパイダーベインにも行われるものです。静脈瘤のある血管に、「硬化剤」という瞬間接着剤のようなものを注射で注入し、血管をふさぎます。接着した血管は徐々に委縮・退化して、やがては自然に消えます。
そして3つめが「手術」です。弁の壊れた血管を抜き取る手術や、静脈の一部を切除して、その端を縛る手術があります。
「下肢静脈瘤のタイプによって治療法は異なりますが、基本的には保険診療で治療が可能です。体への負担も少なく、多くは日帰りでできるようになっています」
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お話をうかがった方は……北青山Dクリニック院長 阿保義久先生
【PROFILE】
下肢静脈瘤治療の第一人者。2000年に北青山Dクリニックを設立。「日帰り手術、予防医療、アンチエイジング」を柱に診療活動を行う。
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スパイダーベインを予防するセルフケア|見直すべき生活習慣やマッサージ方法を医師が直伝
イラスト/ふじいまさこ
文/寺本 彩
症例写真協力/北青山Dクリニック
(素敵なあの人 2021年10月号)
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WEB編集/FASHION BOX