最近、寝つきが悪かったり、朝なかなか起きられなかったりしていませんか? 思うように眠れないと、疲れがたまってつらいですよね。
このような悩みがある方は、睡眠の質が低下しているのかもしれません。とくに現代人は、ブルーライトや寝室の環境、ストレスなどの影響で不眠に陥りやすくなっているといわれています。
そこで今回は、睡眠の質が低下する原因や、睡眠の質を高めるポイントについてご紹介します。睡眠の質をアップさせて、心身ともに健康な毎日を過ごしましょう。
現代人の睡眠の質が低下するNG生活習慣とは?
睡眠の質が低下する原因にはさまざまなものがあります。ここでは、睡眠の質の低下につながるNG習慣をご紹介します。
スマホやPCなどのブルーライト
ブルーライトを発するスマートフォンやPCの画面を夜に長時間眺めることで、睡眠の質が低下する可能性があります。
ブルーライトは波長が紫外線に近いとされ、人間の目で見える光のなかでも最も強いエネルギーを発します。太陽光にも含まれており、浴びると体内時計に作用してメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が抑えられ、活動的になります。
そのため、昼間に日光を浴びたり、スマートフォンを使用したりすることは、とくに問題ありません。
しかし、夜にブルーライトを浴びると、脳が昼と間違えて、睡眠を促すメラトニンの分泌が抑制されるので、睡眠の質が低下すると考えられています。
寝室の環境
次のような寝室の環境も、睡眠の質が低下する原因になります。
・高すぎる/低すぎる温度や湿度
・明るい光
・騒音
眠るためには体温の低下が必要ですが、寝室が寒かったり蒸し暑かったりすると、からだの熱がうまく逃げていかず、寝つきが悪くなります。寝室の理想的な気温は20~26℃、湿度は50~60%といわれています。
また、寝る部屋が明るすぎると、メラトニンが減少して寝つきが悪くなってしまいます。寝室の明るさは、真っ暗か、フットライトや豆電球ひとつ程度が理想的です。
さらに、40デシベル(図書館の静けさ程度)以上の騒音も、睡眠に悪影響を及ぼすといわれています。屋外の騒音が気になる場合は、窓を閉めたり、厚手のカーテンをかけたりするといいでしょう。
ストレス
過度なストレスは、交感神経を刺激してからだや脳を興奮させるため、不眠の原因になります。さらに、不眠が続いて心身が休まらないと、ストレスがたまりやすくなるので、悪循環に陥ってしまいます。
睡眠の質を高めるポイントは?
睡眠の質を高めるための、おすすめの方法をご紹介します。
体内リズムを整える生活習慣を取り入れよう
次のような生活習慣を取り入れると、体内リズムが整いやすくなり、快眠につながるといわれています。
・朝日を浴びる
・朝ごはんを食べる
・日中に眠くなったら、30分以内の昼寝をする
・適度な有酸素運動をする
・リラックスタイムを楽しむ
・喫煙、カフェイン摂取、寝酒は避ける
・就寝前、スマホやパソコンは早めにOFFにする
・寝室の環境を整える
朝、光を浴びると脳の体内時計(体内の主時計)がリセットされます。さらに、朝ごはんを食べることで、体内の臓器(末梢時計)にも、朝が来たことが伝えられます。
夜は入浴やアロマテラピー、音楽鑑賞など、自分に合ったリラックス方法で、1日の疲れを取り除きましょう。とくに、入浴は簡単にできて熟睡効果も高いため、おすすめです。
一方で、タバコやカフェインには目覚まし作用があるため、寝る前に喫煙やカフェイン摂取をすることは避けてください。また、寝酒は寝つきをよくするものの、途中で目が覚めやすくなったり、眠りが浅くなったりするので、気をつけましょう。
睡眠の質のアップに効果的な栄養素を摂ろう
睡眠の質を上げるのに効果的な栄養素には、次のようなものがあります。
(1) トリプトファン
トリプトファンは、催眠作用があるメラトニンの材料になります。トリプトファンを多く含む食材を朝食に摂ると、夜までにメラトニンが生成されて快眠につながるといわれています。
トリプトファンは体内で生成できないので、しっかりと食事から摂りましょう。
<トリプトファンを多く含む食材>
豆類、肉類、乳製品、バナナ、アボカド、タラコなど
(2) グリシン
グリシンは、脳の体内時計に作用して、睡眠のリズムを整えると考えられています。そのため、グリシンを多く含む食材を夕食に摂ることは、快眠に効果的といわれています。
<グリシンを多く含む食材>
エビ、イカ、カニ、ホタテ、牛すじなど
睡眠に効果的な栄養素を、その栄養素の力が発揮できるベストのタイミングで摂ることを意識してみてくださいね。
快眠につながる全身ストレッチをしよう
就寝前に、全身の緊張を解きほぐすストレッチを行うこともおすすめです。
<全身ストレッチの手順>
(1) 仰向けに寝て両手を組み、伸びをする。このとき、両脚もまっすぐにピンと伸ばす。手足の指先が、それぞれ上下に引っ張られるようなイメージで行う。
(2) 全身を一気に脱力させる。
寝る前に、このストレッチを3回程度行ってみましょう。からだの緊張がほぐれ、自然にあくびが出て眠気が生じてきますよ。
ぐっすり眠るには漢方薬でのアプローチもおすすめ
「イライラして眠れない」「不安があって眠れない」「疲れているのに眠れない」などの症状には、漢方薬もおすすめです。
漢方薬は副作用が比較的少なく、睡眠専門の外来でも、不眠の改善のために使われています。漢方薬で根本的に体質を改善していけば、不眠の解消も目指せます。
漢方薬が得意なのは、もともとからだに備わっている「内なる治癒力」を高めること。体質そのものにはたらきかけるとともに、気の流れを整え自律神経を安定させ、心もからだも健やかな状態を目指します。
また、「健康のために規則正しい生活や運動を毎日続けるのは大変……」という方でも、漢方薬なら自分の症状や体質に合うものを毎日飲み続けるだけなので、継続しやすい健康法といえます。
<睡眠の質を高めたい方におすすめの漢方薬>
不眠に悩む方は、イライラなどのほかの不調も抱えている傾向にあります。漢方では、不眠以外の症状も含めて改善することで、全身の状態を整えて睡眠の質を高める効果が期待できます。
抑肝散(よくかんさん):イライラして眠れない方
イライラや興奮を抑え、不眠を改善してくれます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):不安やストレスで眠れない方
不安やイライラをしずめて、心とからだの状態をよくしてくれます。
ただし、漢方薬は、その人に合っているか否かが重要なポイントです。合わないものを服用すると、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用前に、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
最近では、オンライン上で症状と体質に合った漢方薬を選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」というサービスも登場しています。スマホから、漢方に精通した薬剤師への個別相談を気軽に申し込むことができますよ。
☆「あんしん漢方」はコチラ
睡眠の質を上げて生き生きと楽しく過ごしましょう
思うように眠れないと、そのこともストレスになってしまうのが、不眠のつらいところです。
睡眠の質を上げるには、生活習慣を整えること、快眠に効果的な栄養素を摂ること、寝る前に全身ストレッチを行うことがおすすめです。
また、イライラや不安で眠れない場合は、専門家に相談して漢方薬を取り入れるのもいいですね。
ぐっすり眠ってスッキリ起きられるように、自分に合った方法で睡眠の質を上げていきましょう。
教えてくれたのは……あんしん漢方 西里美咲
【Profile】
薬剤師
大学時代は生薬学研究室に所属し、美容成分の研究を行う。卒業後は製薬会社勤務、調剤薬局勤務を経て、現在は3人の子どもの育児に奮闘しながら執筆活動中。
自身の妊娠中や産後の不調を、漢方の服用と生活習慣の見直しにより改善できた経験から、漢方やセルフケアの効果を実感し、同じように不調に悩む女性をサポートしたいと考えている。
パーソナルリンパケアリスト資格所有。
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
Web編集/FASHION BOX