男性も知っておきたい、女性の“本当のこと”
Hello Femtech!! (ハローフェムテック)
ムーブメントが起きているとはいえ、男性はどこまで知っている?ということで、男性ファッション誌『smart』でも「フェムテック」を特集。
女性も活躍しやすい社会を作るために、まずは女性の体について正しく知ることが第一歩です。
フェムテックってなんなのか、パートナーの生理期間中や、妊活を始めるときの心構えなど、素朴な疑問のあれこれを“性のスペシャリスト”、産婦人科医のママ女医ちえこさん&「ラブピースクラブ」代表の北原みのりさんに教えていただきましょう!
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Q1 そもそも「フェムテック」ってなんですか?
A1
フェムテックとは、「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」を掛け合わせた造語で、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するサービスやプロダクトのこと。ドイツの月経管理アプリ「Clue(クルー)」の代表が、自身の運営するサービスをマーケット化するために名づけられた言葉。「フェムテック」という言葉が生まれたことで、これまで人前で話しにくかった女性特有の様々な悩みが、ひとつにまとまったような印象になり、話しやすい空気になりました。今や世界中に広がるムーブメントになりつつあり、フェムテック市場も拡大中です。(北原さん)
フェムテックの領域としては、生理、妊娠・出産、産後ケア、不妊、セクシャルウェルネス、更年期など多岐にわたります。男性にとっても妊娠や不妊は大きく関係してきますし、女性への振る舞いなど男性にとっても他人事ではない一面があるので、正しい知識を得ることが重要です。(ちえこさん)
Q2 世界的に見て、“フェムテック先進国”はどの国?
A2
女性の権利に対する運動が盛んなアメリカを筆頭に、フェムテック産業が急成長しているヨーロッパ各国もフェムテック先進国といえます。日本も今回のように男性ファッション誌で特集が組まれたりと、反応が早くて大きいものがあると感じています。しかし、日本は世界でも有数な「性産業国」。ポルノなど男性の性に対してかなり寛容なところがあります。中国や韓国ではポルノの制作が禁止されていて、他にも法律上で違法になっている国も。日本の男性は、買春やAVを見ることが当たり前の世界と思わないように意識しておいたほうがいいと思います。(北原さん)
Q3 生理前・生理中の女性にはどのように接したらいいの?
A3
まずは、起こっている症状がその人の性格に起因するものではなく、ホルモンバランスの変化によって起きていることだと認識してあげることが大事。個別の対応については、起こっている症状によっても、してあげたほうがいいことが異なってくるかと思います。イライラしている人は「ほっといてほしい」という声が多かったり、気分が落ち込んでいる人は「気遣ってほしい」という声もあったりするので、場合によっては真逆の対応が必要になってきます。パートナーであれば、どんな症状で困っているのか、何かできることはあるかをさりげなく聞いてあげるのがいいと思います。職場の同僚などに対しては、過度な反応をするのではなく、風邪と同じくらいの感じで「大丈夫?」と声をかけるくらいがちょうどいいのではないかと思います。(ちえこさん)
《男性にできるオススメアクション》
女性によってされて嬉しいことも様々なので、具体的なアクションに正解はないが、男性が今すぐできそうなことは下記の3つ!
・ハーブティーを淹れる
ハーブティーはリラクゼーション効果が高く、体も温めてくれるので◎。カフェインの多いコーヒーや紅茶は避けてノンカフェインの飲み物がオススメ。
・甘いものを買う
生理前や生理中は、女性ホルモンの影響で血糖値が下がり、甘いものが無性に食べたくなる人が多いので、ケーキなどを買ってきてあげると喜ばれるかも。
・マッサージをする
腰痛やむくみに悩んでいる人には、マッサージも効果的。肌が触れ合うことで幸せホルモン“オキシトシン”も分泌され、相手の気持ちも落ち着きます。
Q4 最近よく見かける「PMS」ってなんですか?
A4
月経前症候群(PreMenstrual Syndrome)の略で、生理前3~10日頃に起こってくる精神的・身体的な症状のこと。生理が始まると落ち着いてきます。精神面では、情緒不安定になったり、鬱っぽくダウンしてしまったり、イライラして周りに当たり散らしてしまったり。身体面では、眠りづらくなったり、集中力が低下したり、食欲不振や過食、体がだるくなったり、頭痛や肩こり、体のむくみなど、人によって様々な症状が見られます。全体的なパフォーマンスが落ちてしまうことは間違いありません。(ちえこさん)
女性の中には、自身がPMSの症状に気づいていない人もいれば、あまり現れない人もいます。仮にあなたのパートナーが体調の変化に困っていなさそうだったからと、他の女性と比べないようにしましょう。症状に個人差が大きいので、わかった気になるのは禁物です。(北原さん)
Q5 不妊の原因の半分は男性にアリ!?
「妊活」で男性が気をつけるべきことは?
A5
近年、女性の活躍の場が増えて晩婚化や出産年齢の高齢化が進んでいます。妊娠しにくいカップルも増えており、不妊治療に頼らざるを得ないという現状があります。
不妊の原因は女性側に問題があると思われがちですが、実は不妊治療に取り組むカップルの約半数は男性側に原因があるとWHO(世界保健機関)が発表しています。不妊は女性だけの問題ではありません。
まだ若年層のカップルであれば1年くらいは自然に任せてもいいと思いますが、早めの妊娠を望んでいるのであれば、排卵日をしっかり予測して、妊娠しやすい状態を知ることが大事です。基本的には排卵の2日前から当日までが妊娠しやすい時期で、排卵日を越えると妊娠率が下がります。生理周期のアプリをカップルで共有してみてもいいかもしれませんね。
男性側の検査としては、元気な精子がどのくらいいるかを調べる精液検査があります。(ちえこさん)
《妊活を始める男性が気をつけたいこと》
精子は時間をかけて作られるもの。精子の質を高めるためにも、健康な生活習慣が欠かせない。以下のことを意識しながら生活を。
□栄養バランスのとれた食事をする
□適切な体重コントロール
□適度な運動を行う
□しっかり睡眠・休養をとる
□できるだけストレスを排除する
□タバコやお酒をやめる
□足りない栄養素はサプリで補う
□妊活期間中はサウナ、長風呂は控える
□ボクサーパンツより風通しのいいトランクスを穿く
□長時間同じ姿勢で座らない
教えてくれたのはスペシャリストの二人
産婦人科医 ママ女医ちえこさん
【Profile】
(ままじょいちえこ)
現役産婦人科医で3児の母。
YouTubeで女性の健康や性教育をはじめとした正しい医学知識を中心に情報を発信中。「mama女医ちえこ」チャンネル登録者数は13万人以上。サブチャンネルの「妊娠&出産チャンネル」では、妊娠・出産に関する有益情報なども配信中。
<Book info>
『子宮にいいこと大全 ~産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア~』
「人には聞けない」リアルな性と健康の悩みを、気軽に取り入れやすい82のコツに厳選して紹介。イラストと漫画とともに解説しているので、楽しくてあっという間に読める“女性に関する入門書”。
<YouTube info>
「mama女医ちえこ」
https://www.youtube.com/channel/UCKmkFA2wNXTMKZNGkZEEIzA/featured
「ラブピースクラブ」代表 北原みのりさん
【Profile】
作家・実業家。
1996年にフェミニズムの視点で日本初のフェムテックショップ「ラブピースクラブ」を設立。2021年からはシスターフッド出版社「アジュマブックス」を起ち上げる。著書も『日本のフェミニズム』『性と国家』(共著/ともに河出書房新社)など多数。
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Interview & Text_ERIKO SUZUKI
Illustration_ELLY KAWAGUCHI
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(smart2022年3月号)
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