更年期

人生100年時代をいきいきと! 更年期と上手に付き合う方法①【薬剤師監修】

閉経前後に女性ホルモンが低下し、体のホルモンバランスが変化することで心身にさまざまな症状が表れる更年期。つらい症状を抱える人が多い一方で、「どう向き合ったらいいかわからない」と放置してしまっている人も少なくありません。症状と上手に付き合いながら、これからの人生を明るく健康に生きるためのコツを、薬剤師の西山和枝さんに教えていただきました。

教えてくれたのは…

西山さん

西山和枝さん

大塚製薬株式会社 ニュートラシューティカルズ事業部 「女性の健康推進プロジェクト」リーダー

日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門薬剤師、女性の健康経営(マネジメント)アドバイザーの資格を持ち、女性の健康をサポートする製品の研究開発で培ったノウハウをもとに、更年期やPMSに悩む女性に向けセミナーなどを行う。

 

更年期のセルフケアとは、目に見えない「体と心の内側」を気にかけてあげること

 

更年期の症状には、いつごろから対策を取るべきでしょうか?

西山さん:閉経の中央値は50歳ですが、そのタイミングも、更年期の症状も人それぞれ。ですから「いつごろから」とはっきり言うのは難しいですが、女性の体の変化は30代後半からすでに始まっており、年を重ねるごとに女性ホルモンが減っていきます。女性ホルモンは女性の健康にとって守り神のような存在なので、減っていくことを加味して早めにかかりつけの婦人科医を持ち、セルフケアを習慣づけておくことは大切です。

更年期

↑女性ホルモンは30台後半から減っていき、更年期には急激に低下。

 

更年期のセルフケアには、どんな方法がありますか?

西山さん:やはり、運動・食事・睡眠の3つを柱に、健康の土台を整えておくことです。この3つは、いわば毎日の歯磨きと同じ。病気や症状がなくても取り組んでほしいことで、こうした日々の習慣が心身にゆとりを生み、更年期の症状軽減にもつながる可能性があります。また、女性ホルモンの働きやライフステージごとに自分の体がどう変化していくのかを知ると、セルフケアが必要と気づけるでしょう。

調査結果

↑実際、更年期の女性を対象に行った調査(※)によると、女性ホルモンに対する知識がある人は、知識がない人に比べて総じて運動・食事・睡眠に気をつかっているという結果に。

運動は「骨」に負荷をかけて

西山さん:特に運動で意識しておきたいのは、「骨」。閉経後は骨密度も低下していくとされているので、骨がもろくなり骨折などもしやすくなる状態に。長く自分の足で歩き、生活できる「健康寿命」を伸ばすためにも運動であえて骨に負荷をかけ、現在の状態の維持をめざしましょう。最初は日常生活で階段を利用したり、「かかと落とし」で骨に振動を加えたりするだけでもOKです。余裕があれば筋トレをプラスするとさらによし。気合を入れすぎると続かないので、「テレビを見ながらスクワット」などもおすすめです。

食事はたんぱく質を重視。おすすめ食材は大豆

西山さん:食事は栄養バランスを意識することはもちろん、体づくりの基礎となるたんぱく質を必ず毎食摂りましょう。おすすめの食材は大豆で、植物性のたんぱく質を補うことができますし、大豆由来の「エクオール」は女性の健やかさや美しさを保つことが期待できる成分として注目が集まっています。また、体の糖化を防ぐために、野菜を最初に食べる「ベジファースト」も心がけてください。

 

感情の起伏が激しくなったり、やる気が出なかったり、心の症状に悩む方も少なくありません

西山さん:心の症状に対しては、自分がリラックスできることを積極的にすることがお悩み解消の糸口になるかもしれません。よく「アロマがいい」などと聞きますが、心を解放できることであればなんでもいいのです。私はペットを抱きしめるのがリラックス方法ですし、最近は「推し活」が元気の源という方も多いですよね。更年期の症状は人によって違うものですし、怪我のように目に見えるものでもないですから、しっかりとご自分の体や心の内側に意識を向けて、声を聞いてあげることから始めてみてください。

次回も引き続き、西山さんに「更年期におけるかかりつけ医の活用法」について、教えてもらいます。

 

取材協力:大塚製薬  取材・文:リンネル編集部

更年期ラボ https://ko-nenkilab.jp/

女性の健康推進プロジェクト https://www.otsuka.co.jp/woman_healthcare_project/


※出典:更年期症状のある女性の現状に関する調査(大塚製薬) 調査対象:全国の日本人女性 45-59歳 1612人のうち、更年期症状(障害)があると回答した 366人、調査実施時期:2022年4月 調査方法:インターネット調査

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