冷えやめまい、イライラなど、女性の更年期障害によく処方される三大漢方薬について解説します。
更年期障害の主な治療法は3つ
閉経の前後5年間をあわせた計10年間を更年期といいます。
更年期は心身のさまざまな症状が現れやすい時期。
更年期の症状があり、他の病気を伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも日常生活に支障を来すものを「更年期障害」といいます。
更年期に伴う症状の主な原因は、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少するためといわれています。
更年期障害の主な治療法は次の3つです。
【ホルモン補充療法(HRT)】
…少量のエストロゲンを補うことで症状を緩和するもの。飲み薬、貼り薬、塗り薬などがあり ます。
【漢方薬】
…更年期に伴う多様な症状がある場合は、漢方薬が処方されることもあります。漢方薬は原則として2種類以上の生薬を組み合わせてつくられており、複合的な症状への効果が期待できます。また、原因を特定できない症状や体質が絡んだ症状に向くことが多いといわれています。漢方薬には数多くの種類がありますが、月経前症候群(PMS)や更年期障害など女性特有の不調によく処方されるものとして「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」「加味逍遙散」があり、「三大漢方薬」と呼ばれています。
【向精神薬】
…気分の落ち込みなどの症状が特に強い場合は、抗うつ薬・抗不安薬などの向精神薬が処方されることもあります。
三大漢方薬について
虚弱体質の人に向く「当帰芍薬散」
「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、体力虚弱で冷え症、貧血の傾向があり、疲労しやすい人で、下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などがある人に処方されます。
血行を良くし、水分代謝を整えることで余分な水分を体からとり除く働きがあります。
体力のある人に向く「桂枝茯苓丸」
「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」は、比較的体力がある人で、下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせや足冷えなどがある人に処方されます。
血液の巡りをよくする働きがあります。
上記2つの中間タイプに向く「加味逍遙散」
「加味逍遙散(かみしょうようさん)」は、体力中等度以下の人で、のぼせ感や肩こり、疲れやすい、精神不安やいらだちなどの精神症状、ときに便秘の傾向がある人に処方されます。
漢方薬の選び方と注意点
漢方薬は体質や体力、症状など、一人ひとりの状態に合わせて選ぶことが大切です。
更年期障害の治療に漢方薬を使いたい場合は、医療機関で医師に相談して処方してもらうほか、ドラッグストアなどで購入できるものもあります。
ドラッグストアなどで購入できる一般用漢方製剤は、安全性を考慮して1日の服用量中の成分量が少ない場合があります。
また、漢方薬には副作用が少ないイメージがありますが、副作用がないわけではありません。
副作用の有無や強さの程度は、薬の種類や個人によって異なります。
気になるときは医師や薬剤師に相談しましょう。
(まとめ)
三大漢方薬をはじめ、漢方薬は更年期障害で多様な症状を抱える女性にとって、症状の緩和が期待できる薬です。
つらい症状があるときは我慢せず、治療の選択肢として検討してみましょう。
構成・文/大人のおしゃれ手帖編集部 画像協力/PIXTA
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