<貧困女子のリアルな生活>ネカフェ難民ならぬラブホ難民? 売春を繰り返す未成年家出少女

ホームレス化する東京の貧困女子|上京初日からネカフェ難民 果てはラブホ難民か薬漬けか…

(2020年4月21日 更新)

2004年の労働者派遣法改正や、2008年9月のリーマン・ショック、2009年末の「年越し派遣村」などにより、労働者のホームレス化が顕著となった。ホームレス化は男性が中心だが、女性の場合は事情が変わってくるとノンフィクションライターの中村淳彦さんは言う。上京から即不幸になる貧困女子たちを何人も眺めてきたという中村さんに、貧困女子のリアルな実態を聞いた。

≪目次≫

 

“貧困スパイラル”の入り口
「実家」との関係を失うリスク

2004年の労働者派遣法改正で製造業での非正規雇用を認めてから、すぐに「ネカフェ難民」「マック難民」など労働者のホームレス化が問題になった。働いているのに家がないという状態なので深刻である。きわめつけは09年末の「年越し派遣村」だろうか。

08年9月に世界不況(リーマン・ショック)が起こり、経済が一気に冷え込んで製造業を中心に派遣切りが相次いだ。製造業の派遣社員は寮に住んで働く人が多く、突然の解雇は同時に、暮らす家から追い出されることを意味する。通知ひとつで失業するだけでなく、家まで失ってしまうのだ。

ホームレスになると仕事を見つけることができない。もはや自力でその状況を抜け出すことは困難だ。なるべく早い段階で諦めてSOSを出し、福祉や生活保護などに頼り、時間をかけて生活を立て直していくしかない。

どうして働いているのにホームレスになるのか。それは、非正規労働の賃金が安いからに他ならない。都内で住居を探そうとすれば、家賃の安い物件でも25万円程度の初期費用が必要になる。日当8000~1万円程度の賃金では、どう節約してもなかなか25万円を溜めることは難しい。1日1500~2300円程度のネットカフェに泊まるしか選択肢がなくなり、その状態から抜け出せなくなる。まさに難民なのだ。

貧困女子にありがちな「上京」という貧困トリガー

ネカフェ難民や年越し派遣村は男性が中心だが、女性になると事情が変わってくる。先日、ホームレス歴2週間というガールズバー勤務の女子(20歳)に話を聞いた。身分証明書の確認なく雇用してくれるガールズバーがどこの繁華街にもあるようで、そのような店は貧困女子の巣窟となっているという。

彼女が言っていたことを要約すると、田舎がイヤで高校の同級生と都内で住居をシェアしようと約束して上京。しかし、その同級生に約束を反故にされ、1人東京に取り残された。所持金は2万円程度しかなく、親は上京に賛成で大喜びだったので実家に帰ることができなかった。

上京初日からネカフェ難民になり、数日間かけてなんとか身分証明書なしで働けるガールズバーを見つけた。時給1500円で5時間、1日7500円にしかならない。そこからネットカフェ代、最低限の食費を引くと、本当にいくらも残らない。25万円を溜めるのは遠い道のりとなる。本人もどうしたらいいのかと途方に暮れていて、寮つきの風俗店やもっと効率のいい売春に流れていくのは時間の問題だった。

20歳前後の女子は最もカラダやセックスを換金しやすい年齢であり、あてなく繁華街を歩いていれば「業者」から声をかけられる。そこで寮つきの風俗店やAVプロダクション、運が悪いと違法の援デリなどを紹介され、藁(わら)にもすがる思いで性売買の世界に足を踏み入れてしまう。そういう貧困女子は昔から本当に多く、現在も変わらない。

カラダを売ることで貧困やホームレス状態が解決すればいいが、日本は一般社会もアンダーグラウンドも弱者には厳しい。店や仲介した業者から高額な寮費を請求されたり、売り上げを搾取されたり、大抵負の連鎖が起こって、また別の問題を抱える。

私は上京から即不幸になる貧困女子たちを何人も眺めてきたが、ネカフェ難民になった時点でもう厳しい。実家に帰るか、福祉に頼るのがベストな選択といえる。

<貧困女子のリアルな生活>ネカフェ難民ならぬラブホ難民? 売春を繰り返す未成年家出少女
出典: FASHION BOX

ホームレス女子の極北「ラブホ難民」という絶望

ネカフェ難民の派生として、貧困女子にはラブホ難民も存在する。ホームレス状態でネカフェに寝泊りしていたが、賃金の安い日雇いの派遣労働に限界がきて売春に手を出す。アプリやSNS、テレクラ、路上などで買春男性を探してラブホテルで売春して、そのまま寝床を確保する。買春男が見つからない日はネカフェに泊まる。その日を生きるための、荒んだ生活となる。

ラブホ難民は見知らぬ男と売春を繰り返すことになる過酷な状況だが、そのなかでも、最も深刻なのは未成年家出少女だ。

親に虐待されて家から逃げ出した少女たちは、アルバイトもできなければ、ネカフェにも泊まれない。ラブホ難民になるしか選択肢はなく、継続すると深刻な被害を受ける可能性が高い。少女によっては毎日中年男性たちに強姦されるような日々となり、肉体的にも精神的にももたない。誰かに助けてもらいたくても警察や福祉に頼れば、親元に戻されてしまう。どんな過酷な環境であっても逃げ続けなければならない。

最悪なラブホ難民は長く続けられるものではなく、未成年OKの風俗店の寮に住みながら成年になるのを待つ子もいれば、誰かしら男に拾われて面倒を見てもらう子もいる。暴力団員に捕まって薬漬けにされる、みたいな話もある。

制度の隙間にはまって不幸になっているため、本来ならば児童福祉関係の法改正が必要な事案といえる。

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このコンテンツの監修者は……

中村淳彦(なかむら・あつひこ)さん

【Profile】
ノンフィクションライター。貧困や介護、AV女優や風俗など、社会問題をフィールドワークに取材・執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、虐待、精神疾患、借金、自傷、人身売買など、さまざまな過酷な話に、ひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)は第2回Yahoo! 本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネート。最新刊は『日本の貧困女子』(SB新書)。『日本の風俗嬢』(新潮社)、「名前のない女たち」シリーズ(宝島社)など著書多数。
Twitterアカウント「@atu_nakamura」

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(抜粋)

<貧困女子のリアルな生活>ネカフェ難民ならぬラブホ難民? 売春を繰り返す未成年家出少女
出典: FASHION BOX

宝島社新書『証言 貧困女子 助けて!と言えない39人の悲しき理由』
監修:中村淳彦

WEB編集:FASHION BOX
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