新型コロナウイルスは、高齢者が感染すると重症化しやすく、若い世代は重症化するリスクが低い特徴があるという報道が繰り返されました。そのため、大部分の若者が外出自粛の要請に応じているにもかかわらず、一部の若者は新型コロナを恐れずに外出を続けていたそうです。若者は本当にコロナを恐れていないのか、心理学者の齊藤勇先生におたずねしました。
≪目次≫
●若者がコロナを恐れないのは本当か?
●言い回し次第で印象は大きく変わる
●若者は本当は外出していない!?
●教えてくれたのは……
若者がコロナを恐れないのは本当か?
若者は重症化しないわけではなく、あくまでリスクが低いだけでしかない。それなのに、彼らが新型コロナを恐れなかったのは言葉を言い換えることで物の見方や感じ方を変える「フレームの変換」が行われていたからだ。
「手術は40%の確率で失敗する」と聞くと不安になるが、「手術は60%の確率で成功する」と聞くとよい印象を受けて安心できる。
新型コロナを恐れない一部の若者たちも「若者でも重症化することがある」という報道がされたことで、外出を控える人が増えた。
言い回し次第で印象は大きく変わる
「60%の確率で成功」と「40%の確率で失敗」は、どちらも同じことを言っているが、受ける印象は大きく違う。相手を安心させたいなら前者、不安にさせたいなら後者の言い方をすればいい。
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若者は本当は外出していない!?
「若者が外出を控えない」とメディア上で語られることが多いが、日本財団が17~19歳を対象に行った調査では87.4%の若者が外出を自粛していた。「多くの若者が外出している」というのもメディアなどによって作られた誤った情報と考えたほうがいいだろう。
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教えてくれたのは……
齊藤勇(さいとう・いさむ)
【Profile】
立正大学名誉教授。日本ビジネス心理学会会長。特に人間関係の心理学として対人感情の心理、自己呈示の心理などを研究。心理学番組の監修を務めるなど、心理学ブームの火付け役となった。主な編・著書・監修書に『イラストレート心理学入門』『イラストレート人間関係の心理学』(ともに誠信書房)、『やってはいけない ダークサイド心理学』『これならできる! 世界一やさしい心理操作テクニック図鑑』『人間関係のストレスが消える! 職場の心理術』(いずれも宝島社)など。
(抜粋)
書籍『イラスト図解 デマの心理学 怖い群集心理のメカニズム』
監修/齊藤勇
編集/木村伸司、大野はるか(株式会社G.B.)
執筆協力/龍田昇
WEB編集/FASHION BOX
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