デマはうわさという形で広がっていくこともあります。うわさとして人から聞いたその情報を、さらに別の人に話すため、デマは拡散していくわけです。なぜ根拠のない話や内緒話を別の人に話したくなるのか、心理学者の齊藤勇先生に解説していただきました。
≪目次≫
●デマ拡散には「カリギュラ効果」が働いている
●意思や行動を制限されるほど反発する心理
○ダメと言われると逆にしたくなる
○カリギュラ効果が行動を促す
●カリギュラ効果はこんなところにも!
○浦島太郎の玉手箱
○雑誌の袋とじ
○ホラー映画の宣伝
●教えてくれたのは……
デマ拡散には「カリギュラ効果」が働いている
人は「ここだけの話だから、だれにも言わないでね」と言われると、むしろ話したくなってしまうものだ。これを「カリギュラ効果」と呼ぶ。カリギュラ効果は簡単にいえば、「禁止された行為ほどやってしまいたくなる」という心理現象だ。
名前の由来となったのは、1980年のアメリカ映画『カリギュラ』である。過激な暴力や性描写があったため、アメリカの一部地域で上映禁止になったが、そのことを知った人がかえって見たくなり、人々が映画館に押し寄せて大ヒットを記録したのだ。
意思や行動を制限されるほど反発する心理
ダメと言われると逆にしたくなる
自分の意思や行動を制限されるとストレスを感じて反射的に反発してしまう。「見るな」と言われれば見たくなり、うわさも「話してはいけない」と言われると話したくなるのだ。
↓
カリギュラ効果が行動を促す
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カリギュラ効果はこんなところにも!
浦島太郎の玉手箱
浦島太郎は開けてはいけないと言われた玉手箱を開けてしまう。「部屋の中を見てはいけない」という『鶴の恩返し』など、昔話にはカリギュラ効果の物語が多い。
雑誌の袋とじ
雑誌の袋とじは「立ち読みでは見せない」という姿勢を表している。読者はそこに反発と興味を持ち、中を見たくなり、雑誌を買ってしまうのである。
ホラー映画の宣伝
宣伝や広告でもカリギュラ効果は使われる。「心臓の弱い人は見ないで下さい」と謳うホラー映画のコピーも、その一例だ。
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教えてくれたのは……
齊藤勇(さいとう・いさむ)
【Profile】
立正大学名誉教授。日本ビジネス心理学会会長。特に人間関係の心理学として対人感情の心理、自己呈示の心理などを研究。心理学番組の監修を務めるなど、心理学ブームの火付け役となった。主な編・著書・監修書に『イラストレート心理学入門』『イラストレート人間関係の心理学』(ともに誠信書房)、『やってはいけない ダークサイド心理学』『これならできる! 世界一やさしい心理操作テクニック図鑑』『人間関係のストレスが消える! 職場の心理術』(いずれも宝島社)など。
(抜粋)
書籍『イラスト図解 デマの心理学 怖い群集心理のメカニズム』
監修/齊藤勇
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編集/木村伸司、大野はるか(株式会社G.B.)
執筆協力/龍田昇
WEB編集/FASHION BOX
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