辛酸なめ子、インスタ萎え系女子の通路女子会を観察

『steady.』で連載中の「辛酸なめ子の覗き見♡OL妄想劇場」。今回はインスタ映えとは無縁そうな女子たちが繰り広げた本音トークの場面に遭遇しました。

辛酸なめ子

出典: FASHION BOX

漫画家、コラムニスト。皇室、セレブリティ、スピリチュアルなどの分野に精通。著書は『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)、『セレブマニア』(ぶんか社)、『辛酸なめ子のつぶやきデトックス』(宝島社)など。『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)は、日本のカルチャー要素をキーワードに、漫画タッチで構成されています。ツイッターのシュールボイスもお見逃しなく。

映えカルチャーとは無縁のOLが繰り広げる通路女子会

出典: FASHION BOX

世の中はインスタ映えか、インスタ萎えかに二分されつつあるのでしょうか。平日の夜21時過ぎ、変わった場所で集っている女子たちの姿を見かけました。都内の駅ビルの地下鉄につながった地下通路です。そちらのベンチで会社帰りのOLさん4人が座ったり立ったりして談笑していました。キラキラ系とは真逆の堅実そうな地味めのパンツスーツ女子たちです。すぐ横にはカフェがあるのに、入らないで狭いベンチを分け合っています。中心人物っぽいメガネの女子が会社の同僚の愚痴など言って盛り上がっている感じです。
「ほんとにさ~小林さんがさ~」
「もう何やってんだよって感じ」という本音トークが聞こえてきました。話はさらにえげつない方向に……。「まじで殴りたい。ほんとやだあの人。匂いがキツいの」メガネ女子の辛口コメントに「たしかにたしかに」と賛同する仲間たち。「あの匂いかいだだけでダメ。柔軟剤みたいな。遠くにいるだけでわかる」と、メガネ女子の悪口は止まりません。笑って盛り上がる同僚女子たち。しばらく近くのカフェの窓から見ていたら、4人はそのまま30分ほど、ベンチを囲んでトークしていました。全員立ち上がったのでもう帰るのかなと思いきや、立ったまま話していました。

これは、帰りたくても先に帰ったら確実に悪口を言われる緊張感があるのでしょうか……。しばらくして、ベンチに置いてあったリュックを背負いだし、ついに帰るのかと思ったらまだ立ち話している4人の女子。メガネ女子は、この日雨は降っていないのになぜか傘を持っていて、笑いながら傘を振り上げたり、おどけたポーズをしていてやたら楽しそうです。ただ、どの瞬間もインスタ映えしません。インスタ萎えの連続です。今、映えばかり気にしている女子たちは、このような素になれる本音トークから遠ざかってしまっているのではないでしょうか。4人とも自然体すぎでした。そんな彼女たちの横を、正反対のキラキラ系OLたちが通りすぎ、カフェに入ってゆきました。茶髪でフェミニンなファッションにヒールの女子ふたり組。メガネ女子はそんな別人種の女子たちをチラッと一瞥しましたが、その目には憧れでも見下しでもない、諦念が漂っていました。

小突き合ったり、女子小学生のようにさんざんじゃれ合い、満足したのか4人は22時前に帰路につきました。インスタ映えとは無関係に生きていると、こうやって本音で話してストレス解消できる上、カフェ代も節約できます。パケット代だって軽減できることでしょう。一日500円の節約として、一年にすると結構な額に。映え系女子と、何年か後に貯蓄額に差がついていそうです。アリとキリギリスの寓話のよう。女の貯金は命綱と言われていますが、老後は立場が逆転、リベンジするのは萎え系女子かもしれません。

(steady.編集部)
文・イラスト/辛酸なめ子
編/FASHION BOX
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