鼻づまりは温めて解消! 薬を使わない自宅ケア方法を耳鼻咽喉科の名医が伝授

鼻づまりは温めて解消! 薬を使わない自宅ケア方法を耳鼻咽喉科の名医が伝授

つらいときに自宅ですぐできる! らくらく「鼻温め」術

花粉症シーズン突入で、鼻づまりが気になっている人も多いのではないだろうか。鼻呼吸ができないほどつまってしまったり、鼻水が止まらなくなってしまったり。そんな辛い症状を解消するには、温めることが重要だとか。国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科教授の中川雅文先生に詳しく教えていただいた。

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鼻の血行をよくして鼻づまりを解消

くしゃみや鼻水にも効く

鼻炎が高じて出る鼻水はつらい。だが、丁寧に鼻をかめば、なんとかなる。一方、鼻づまりはどうにも対処しにくい。息苦しい鼻づまりの解消を求めて、市販の点鼻薬(てんびやく)(鼻スプレー)を使う人は多い。

しかし、点鼻薬の常用、連続した使用は、副作用を招くおそれがある。鼻づまり体質をこじらせかねないのだ。点鼻薬を用いなくても、自宅で簡単に鼻づまりを解消できる方法がある。
「鼻づまりの原因の1つは、鼻と鼻周辺の血流障害です。血流が滞(とどこお)ると、鼻腔内の鼻粘膜にある血管に血液が停滞して粘膜が腫(は)れ、空気の通り道がせまくなります。これが鼻づまりを起こす原因です。鼻の血流が滞っているのですから、鼻周辺を温めて血行をよくすれば、鼻づまりは解消します。これは医学的に証明されていますし、薬と違って副作用がないという、たいへん重要なメリットもあります」(中川先生)

血液の循環障害は、寒い時季に起きやすい。寒気で顔が冷えるからだ。特に体が動き出す前の朝に鼻がつまりやすいのは、活動時に比べて血流がゆったりとしていることによる。

鼻炎が続くと、顔や鼻がほてった感じがあり、なんとなく冷やしたくなるかもしれないが、それは逆効果なのだ。同様の理由で、冷たい飲み物や食べ物は避けたほうがよい。

鼻周辺を温めれば、血流が改善されて炎症が引き、鼻づまりが解消されるだけでなく、炎症の発現に介在し、くしゃみや鼻水の原因となるヒスタミンという化学物質の放出を抑制して、くしゃみや鼻水も抑えることができる。

蒸しタオルと鼻スチームの活用

自宅で簡単にできる鼻温め術が、蒸しタオルを使う鼻呼吸法。タオルは温水に浸(つ)けて絞ってもよいし、水で濡らしてラップでくるみ、電子レンジで温めてもよい。

ポイントはタオルを火傷(やけど)しない程度、熱さを感じる温度に調節すること。これで鼻全体を覆い、鼻づまりが解消されるまで、蒸気を吸い込むように鼻呼吸をする。

入浴時なら特別な準備をしなくても、鼻づまりを解消できる。
「浴槽に40〜42℃程度のお湯を溜(た)め、15分浸かるだけです。浸かりはじめてから5分も経(た)つと、鼻の中がムズムズしてきます。血流がよくなり、鼻の中で固まりかけていた鼻水がほぐれてくるからです。浴槽に浸かったまま、鼻から湯気を吸って口から吐く『鼻スチーム』をくり返してください。鼻腔が広がり、鼻の粘膜に付着した異物が流されて鼻の通りがよくなります」(中川先生)

湯船に浸かりながら、蒸しタオル鼻呼吸を併用するやり方もある。

お湯に浸けて軽く絞ったタオルを鼻の上に当てて、湯船から立ちのぼる湯気を鼻から吸い込む。この場合も、ぬるいタオルでは効果が薄い。温度が高めのお湯を使うとよい。

浴室内は蒸気で湿度が高くなり、そこにいるだけで鼻の中は適度な湿度が保たれる。浴槽にお湯を張って浸かればなおのこと。鼻の健康のために、日々の入浴を簡単なシャワーですまさず、湯船に浸かって鼻を温める習慣をつけたい。

蒸しタオル鼻呼吸、浴室での鼻スチーム、その併用、どの方法の場合でも、終わったあとには細菌やウイルスが含まれた鼻水を正しい方法でかむことを忘れずに。

鼻づまりの原因の1つは冷えによって鼻の粘膜の血液が停滞し、むくみで空気の通り道がせまくなるため。

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さらに鼻づまりを気持ちよく解消:蒸しタオル鼻呼吸

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★タオルが冷めたら取り換えて、2~3回くり返す。

1. 濡らしたタオルを絞り、ラップでくるんでから電子レンジ(500W)で1分温める。
2. ラップを外し、タオルを軽く振って冷ます。
3. 2のタオルをたたみ、鼻全体を覆(おお)うようにのせ、鼻呼吸をする。

入浴時は鼻のケアタイム:お風呂で鼻スチーム

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40~42℃のお湯に、鼻で呼吸をしながら15分間浸かる。熱すぎると感じる人は、38℃くらいのお湯に長めに浸かる形でもOK。

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このコンテンツの監修者は……国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科教授 中川雅文(なかがわ・まさふみ)先生

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国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科教授 中川雅文先生

【PROFILE】
国際医療福祉大学病院耳鼻咽喉科部長。医学博士。順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学医学部耳鼻咽喉科講師・客員准教授、東京工業大学大学院非常勤講師、東京医科大学聴覚人工内耳センター兼任講師などを経て現職。著書に『副鼻腔炎・上咽頭炎・鼻血・鼻炎・花粉症 薬なしで鼻の不調を改善する』(PHP研究所)、『耳鳴り・難聴・めまいを自力でぐんぐん治すコツがわかる本』(主婦の友インフォス)など。

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(抜粋)

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編集・執筆/株式会社はる制作室、真瀬 崇、坂本夏子、黒澤 円、石野宏幸
執筆協力/常井宏平
イラスト/桜井葉子
写真・イラスト協力/shutterstock、photolibrary

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WEB編集/FASHION BOX

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