正しい鼻のかみ方を医師が指南! 両方つまったときの解決法やNG対処法も

正しい鼻のかみ方を医師が指南! 両方つまったときの解決法やNG対処法も

鼻水はすすらず、静かに出す! 鼻の上手なかみ方

息苦しいイライラ感とともに、頭痛や頭重を引き起こし、集中力をも途切れさせる鼻水・鼻づまり。スッキリと鼻を通して快適な時間を過ごしたい人のために、国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科教授の中川雅文先生が推奨する鼻のかみ方を紹介する。

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その鼻の不調は、間違ったかみ方が原因かも?

鼻水の中には細菌やウイルスが!!

鼻の中の湿度を保ち、気道の粘膜を病原体から保護するために、鼻水は常に分泌されている。通常はのど側から消化管に落ち、鼻の外まであふれ出してくることはない。

ところが、呼吸によって鼻の中に取り込まれた空気とともに、細菌やウイルスなどの病原体が鼻粘膜に付着すると、それを排出しようとして多量の鼻水が分泌されることになる。つまり、風邪をひいたときや、鼻の不調時に出る鼻水は、細菌やウイルスを洗い出した洗浄液であり、当然、その中には細菌やウイルスが含まれているのである。

だから、鼻水をすすってはいけない。
「鼻水が垂(た)れてきて、反射的にすすってしまうことは誰にでもあることでしょう。けれども、これが習慣になると思わぬ疾患を招くことになりかねません。鼻汁に細菌やウイルスが含まれていても、のどに流れて消化管に入れば、消化液で分解されますが、本来、排出したい病原体だらけの鼻水が鼻の奥に入ると、副鼻腔炎(ふくびくうえん)をはじめとする鼻炎の発症・助長につながります」(中川先生)

すすった鼻水が、なにかの拍子に耳管(じかん)に入れば、中耳(ちゅうじ)が感染する急性中耳炎や、耳管の粘膜が炎症を起こして腫れ、滲出液(しんしゅつえき)が生じる滲出性中耳炎を起こすこともある。

正しく鼻をかめば不調は遠ざかる

鼻水はすすらず、正しくかむのが、鼻のセルフケアの基本だが、大人でも約半数が正しく鼻をかめていないという。

間違った鼻のかみ方をしていると、健康上の支障を招くことが多い。

勢いよく鼻をかむと、鼻腔内の急激な気圧変化が耳に影響して、耳の痛みになることがある。これを経験したことがある人は多いだろう。鼻血が出たり、中耳炎の原因になったりすることもある。

両方一度にかむと、鼻水の中の病原体ごと鼻腔(びくう)の奥に入りやすく、副鼻腔や中耳に悪影響をおよぼすことがある。鼻を指でほじったり、ティッシュペーパーを丸めてねじって入れたりすると、鼻の内部を傷つけて細菌感染の原因になることもある。

子どもに多いのが、鼻水が鼻腔に残る中途半端なかみ方で、細菌やウイルスも残ることになってしまう。
「正しくは、片方の鼻の穴を指でしっかり押さえて閉じて、もう片方の鼻の穴から息を吐くようにゆっくり、少しずつ鼻をかみます。反対側も同じです。鼻の周囲の皮膚を傷つけないように、やわらかいティッシュペーパーを使うのもポイントです。両方の鼻がつまっているときは、片方ずつ鼻をかんでも耳にひびくことがあります。そんなときは、温めた生理食塩水1mLほどをスポイトで鼻腔内に垂らしてから鼻をかむと、温め効果と適度な水分による潤滑効果で、耳に生じがちな痛みを避けることができます」(中川先生)

鼻炎がひどいときや、花粉症などのアレルギー性鼻炎で頻繁に鼻をかむ人は、鼻のまわりの肌荒れにも気をつけたい。紙質がきめ細かく、天然成分が配合され、肌に負担の少ない保湿ティッシュなどの使用がおすすめだ。

また、鼻をかむ前後は、手も清潔にしておきたい。丁寧な手洗いは、鼻の健康のみならず、細菌やウイルスによる多くの感染症を予防する観点からも重要なのだから。

子どもの約6割、大人の約5割が間違った鼻のかみ方をしている

正しい鼻のかみ方を医師が指南! 両方つまったときの解決法やNG対処法も
大王製紙による「子どもの鼻の健康に関する意識調査」(2016)より

→上手に鼻をかまないとさまざまな病のリスクが高まる


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きめの細かいティッシュを選ぶ

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きめの粗いティッシュを使うと粘膜が荒れてしまい、鼻水を増やす原因にもなる。やわらかいティッシュやハンカチを使用しよう。

片方ずつかむ

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片方の鼻の穴を指でしっかり押さえる。両方同時にかむと、細菌などが鼻水と一緒に奥に入りやすく、耳管に悪影響が出やすい。

ゆっくり少しずつかむ

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片方の穴をしっかり押さえたら、ゆっくり、少しずつ鼻から息を吐き、鼻水を出す。最後まで無理に出そうとして力(りき)むのは厳禁。


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やってはいけない鼻を傷める鼻のかみ方

力いっぱいかむ

思いっきり鼻をかむと中の粘膜が傷つき、鼻血や中耳炎の原因に。

両方いっぺんにかむ

一度にかむと、ウイルスや細菌などが奥へ追い込まれ、炎症を引き起こして副鼻腔炎の原因になる。

鼻の中を無理やりふく

ティッシュを鼻の中に押し込むと、粘膜が傷つき、細菌が入り込んでしまう場合があるので注意。

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このコンテンツの監修者は……国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科教授 中川雅文(なかがわ・まさふみ)先生

正しい鼻のかみ方を医師が指南! 両方つまったときの解決法やNG対処法も
国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科教授 中川雅文先生

【PROFILE】
国際医療福祉大学病院耳鼻咽喉科部長。医学博士。順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学医学部耳鼻咽喉科講師・客員准教授、東京工業大学大学院非常勤講師、東京医科大学聴覚人工内耳センター兼任講師などを経て現職。著書に『副鼻腔炎・上咽頭炎・鼻血・鼻炎・花粉症 薬なしで鼻の不調を改善する』(PHP研究所)、『耳鳴り・難聴・めまいを自力でぐんぐん治すコツがわかる本』(主婦の友インフォス)など。

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(抜粋)

正しい鼻のかみ方を医師が指南! 両方つまったときの解決法やNG対処法も
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編集・執筆/株式会社はる制作室、真瀬 崇、坂本夏子、黒澤 円、石野宏幸
執筆協力/常井宏平
イラスト/桜井葉子
写真・イラスト協力/shutterstock、photolibrary

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WEB編集/FASHION BOX

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