これから汗ばむ季節になると、気になってくるのが体臭の悩みですよね。
体臭は男女問わず多くの人が抱えている悩みですが、デリケートなことなので、人に相談するのをためらってしまうかもしれません。
体臭を改善するために大切なのは、ニオイの原因を知り、正しい対策を取ることです。
そこで、ニオイ対策法について、「あんしん漢方」の医師、木村眞樹子先生に教えてもらいました。
口臭、ワキ、足のニオイetc. 部位別の体臭ケア方法を医師が解説!
ニオイの原因は人それぞれ
体臭の原因は人それぞれ違いますが、なかでも女性のニオイの原因には、次のようなことが挙げられます。
・更年期特有の汗臭
・過度なダイエットによる体臭
・ストレス過多によるストレス臭
・運動不足による体臭
・食生活の乱れによる体臭
自分の体臭は、どのタイプに当てはまるでしょうか。それぞれのニオイのタイプ別に原因を探ってみましょう。
更年期特有の汗臭
更年期世代の女性は、ホルモンバランスの乱れにより、さまざまな症状が現れます。なかでも、大量の汗をかくホットフラッシュの症状は、顔や首などに大量の汗をかくため、汗のニオイが体臭の原因になってしまうのです。
過度なダイエットによる体臭
急な断食や糖質制限など、いきすぎた食事制限によるダイエットをすると、独特の酸っぱい体臭が発生することがあります。
この体臭の正体は、からだから発するケトン体。急激なダイエットによって起こることから「ダイエット臭」とも呼ばれ、体臭や口臭がキツくなることがあります。
ストレス過多によるストレス臭
ひどいストレスや緊張状態のとき、手のひらや脇などに汗をかいた経験がないでしょうか。このような精神的な刺激によって出る汗を「精神性発汗」といい、「ストレス臭」と呼ばれることもあります。
精神性発汗による汗は、気温が高いときにかく「温熱性発汗」の汗よりもニオイが強く、手のひら・足の裏・脇など短時間で局所的に汗をかくのが特徴です。
運動不足による体臭
普段からあまり汗をかかなくなると、汗腺が衰えてしまい、体の不要物をろ過しきれずに、いろいろな成分が混ざりあってドロドロの汗として排出されます。
このドロドロの汗も、体臭の原因となってしまうのです。
食生活の乱れによる体臭
食生活の乱れも、体臭の原因になる可能性が高いです。動物性脂肪の多い食事をしていると、皮脂の量が増えて肌に雑菌が繁殖しやすくなり、体臭の原因になってしまいます。
<動物性脂肪の多い食材>
肉類・ラード・乳製品(牛乳・バター・チーズ・生クリーム等)
また、ニンニクなどニオイがきつい食材も、体臭の原因に。ニンニクに含まれる「アリシン」という成分は強いニオイ成分であるため、独特の体臭のもとになってしまいます。
ニオイ対策になる日常生活のポイント
気になる体臭は、しっかり対策をすることでケアすることができます。そこで、ニオイ対策のために日常生活で気をつけるポイントをご紹介します。
汗をかいたときに放置しない
汗を放置すると雑菌が繁殖してしまうため、ニオイ物質を発してしまいます。体臭を防ぐためにも、汗をかいたらこまめに拭き取るようにしましょう。
脇の下や足など、汗をかいてもすぐに拭くことができない場所には、あらかじめデオドラントスプレーなどを使って汗を抑えておくことがおすすめです。
シャワーだけでなくしっかり入浴する
「夏場のお風呂はシャワーだけ」という方も多いでしょうが、汗をかく季節はしっかり入浴することが大切です。
湯船にきちんと浸かることで、しっかりと毛穴が開き、ニオイの原因となるからだの中の老廃物を排出しやすくなります。
ストレスをため込まない
ストレスが積み重なると、自律神経の乱れが生じて汗腺の機能が低下してしまい、体臭の原因になる可能性があります。
現代社会では、ストレスがない暮らしをすることはなかなか難しいかもしれません。しかし、ストレス源となるものをできるだけ遠ざけて、自分の好きなことをする時間やリラックスできる時間を増やすように心がけていくことが大切です。
食生活を改善する
体臭と食べ物は密接な関係があるため、食生活を改善することで体臭の改善につなげられます。
体臭を予防するには、腸内環境を整えることも大切です。ニオイ対策のためにも、腸内環境を整える乳酸菌や発酵食品を積極的にとり入れるようにしましょう。
<体臭がキツくなる食べ物>
肉料理・揚げ物・ジャンクフード・激辛料理など
<体臭を予防する食べ物>
緑茶・ショウガ・梅干し・ゴボウ・ヨーグルトなど
根本的にニオイを解消するなら「漢方」がおすすめ
「体臭を改善したい」
「体臭対策を教えてほしい!」
体臭をからだの内側から根本的に改善したいなら、漢方薬がおすすめです。
「臭くないかな?」という、いつもの不安から解放されることも目指せます。
漢方薬は自然の生薬を組み合わせているため、一般的には西洋薬よりも副作用が少ないといわれており、体質に合っていれば高い効果を得られます。
漢方薬が得意なのは、もともとからだに備わっている「内なる治癒力」を高めること。体質そのものに働きかけるとともに、気の流れを整え自律神経を安定させ、心もからだも健やかな状態を目指します。
また「体臭改善のために、生活習慣を改めるのは大変……」という方でも、漢方薬なら自分の症状や体質に合うものを毎日飲み続けるだけなので、継続しやすい健康法といえます。
<体臭が気になる方におすすめの漢方薬>
・加味逍遙散(かみしょうようさん):体力があまりなく、ホットフラッシュが気になる方
からだに滞った血の巡りを促し、ホルモンバランスを整え、ホットフラッシュなど更年期の症状を改善してくれます。
・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):体力が中等度以下で、汗をかきやすい方
からだの中の水分バランスを整え、水分代謝をよくしてくれます。多汗症の方にもおすすめの漢方薬です。
ただし、効果が認められている漢方薬でも、その人に合っているか否かが重要なポイントです。合わないものを服用すると、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用前に、漢方に詳しい医師や薬剤師等に相談するようにしましょう。
最近では、オンライン上で症状と体質に合った漢方薬を選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」というサービスも登場しています。漢方薬局よりも手軽に相談できるので、利用してみるのもいいでしょう。
スマホから、漢方に精通した薬剤師への個別相談を気軽に申し込むことができますよ。
ニオイ対策をして体臭の悩みから解放されよう
気になる体臭の原因と、ニオイの種類別の対策についてご紹介しました。自分ではどうにもできないと思っている体臭も、きちんとケアすることで改善を目指すことができます。
体臭で悩んでいる人は、まず自分がどのタイプの体臭に悩まされているのかを見極めて、しっかり対策をしていきましょう。
それでも悩みがなくならないという方は、専門家の意見を取り入れながら漢方薬を用いて、からだの気・血・水の巡りやホルモンバランスを整えていくこともおすすめです。
暑さが厳しくなる季節の前にきちんとケアして、今年こそ、体臭の悩みから解放されましょう!
教えてくれたのは……あんしん漢方 木村 眞樹子 医師
【Profile】
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。
妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。
臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。
また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。
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