なぜ私たちはスマホを手放せないの? スマホ依存のメカニズムを脳から読み解く|専門家 監修

スマホはギャンブルと同じ気持ちよさを味わえる!? スマホ依存のメカニズムを脳から読み解く

今や私たちの生活に欠かせないスマートフォン。
気軽に持ち運べるがゆえに、通勤中や就寝前のベッドやトイレタイムなどのときも手放せず、つい使いすぎてしまっている方もいるのではないでしょうか?

今回はスマホを手放せない理由を、脳の働きから解説します。

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なぜ私たちはスマホを手放せないのか?

ストレスから逃げる、3つの方法

目が覚めてスマホが見つからずにパニックになったことが、誰でも一度や二度はあると思います。スマホは非常に便利ですが、だからといって普通の生活をしている人が、目が覚めるなり見なければいけないものでしょうか?

起きてすぐ、まだ顔も洗っていないのにスマホが見つからないとパニックになる......。ここにスマホの問題点が集約されています。なぜ私たちにはスマホがこれほど大事なのでしょうか?

ストレスにさらされたとき、脳は生存のためにその場から逃げるべきか、それとも戦うべきかの選択を迫ります。闘うことも逃げることも脳神経にとっては同じことで、HPA系(視床下部-下垂体-副腎系)を通じて交感神経が高まり、ストレス反応が引き起こされます。
そして闘うか逃げるか、どちらかの行動を起こすことでストレス要因は解消され、脳は平常に戻ります。

野生動物ではない私たち人間が、戦うか逃げるかという選択肢しかない状況に置かれることは滅多にありませんが、低いレベルのストレスには常時さらされています。

 

ストレスから逃げる、3つの方法

闘争(怒り)

心拍数の増加・血圧の上昇・瞳孔の散大・血糖値の増加・胃腸活動の抑制など

逃走(恐怖)

心拍数の増加・血圧の上昇・冷や汗・顔面蒼白・鳥肌など

闘争と逃走は真逆に見えますが、どちらもストレス反応。
自律神経のうち、緊張を生み出す交感神経が興奮している状態です。

 

毎日の出勤や終わらないノルマ、顔も見たくない同僚、私たちは闘うことも逃げることもできずに毎日を送っています。その結果、脳は常に緊張状態に置かれます。
ストレスの原因を解決できないまま、脳の緊張状態を解除するにはどうすればいいのでしょうか?

緊張の反対、体をリラックスさせる神経を動かせばいいのです。
リラックス=気持ちがいい状態なので、それには脳にある報酬系という気持ちがよくなる神経回路を働かせる必要があります。

報酬系を働かせるには? 酒あるいは薬物、性、ギャンブルです。
この4つはどれも報酬系に深く関わっています。酒を飲めば酔っ払い、薬物やセックスは気持ちがいいのでわかります。しかしわかりにくいのがギャンブルです。
ギャンブルをやらない人には、何度負けてもまた金を賭けて損をする人の心理が計りかねます。

どこかで1万円を落としたら、結構ショックですよね?
ところがパチンコで1万円すった、競馬で5万円すった、それはお金を落としたことと変わらないでしょう。
しかしなぜかギャンブル好きは平気な顔で、自分の損を話します。

 

「もしかしたら」が脳を気持ちよくさせる

スマホにはギャンブルと同じ効果があることがわかっています。
脳には報酬系という神経系があり、生きていくうえで役立つことに反応して、気持ちがよくなる物質を出します。これは脳内物質と呼ばれ、エンドルフィンやオキシトシンなどいくつもの種類があり、スマホの中毒性にはドーパミンが関係しています。

新しいことを知ると楽しい、それはドーパミンの働きです。
清純派アイドルの不倫のウワサ、ゲームの攻略法がわかった、何でもいいのです。
新しいことを知ると報酬系はドーパミンを出し、私たちは気持ちよくなります。

気がつくと、まとめサイトを延々と読んでいたりツイッターをずっと眺めていることはありませんか?
クリックするたびに新しい情報が現れ、そのたびに報酬系からはドーパミンがどんどん出て気持ちがよくなる、それが理由です。

面白いことに、ドーパミンは何かを期待するときにより多く分泌されます。
当たらないとわかっていても宝くじを買うのは、期待がドーパミンを分泌させるからです。

行動経済学者のカーネマンとトベルスキーは、人間は低確率を高く見積もり(当選確率の低い宝くじなどを当たると思い込むなど)、高確率を低く見積もる(周りが事故を起こしても自分だけは大丈夫と酒を飲むなど)とし、プロスペクト(期待値)理論を提唱しました。期待により人はワクワクしたりハラハラしたりします。
それはドーパミンの働きなのです。

またドーパミンの分泌量も報酬ではなく期待値に左右されるそうです。1万円もらえると思っていて5万円もらえたら、ものすごくうれしいわけです。しかし20万円もらえると思っていて5万円だとガッカリしますが、ドーパミンは結果とは関係なく期待したときに分泌されるのです。

スマホを手放せない理由はここにあるようです。メールやSNSに「もしかしたら」を期待し、ブログの次のページに面白いことを期待する。たいした期待ではありません。

次のページで大爆笑ネタがあると思うわけではなく(ガッカリしたらドーパミンが出ません)、ちょっと面白い記事を期待する。このように期待が私たちを気持ちよくするため、スマホに魅了されてしまうのです。

 

参考:「International Randomized Clinical Trial, Stroke Inpatient Rehabilitation With Reinforcement of Walking Speed (SIRROWS),Improves Outcomes」(Neurorehabil Neural Repair. 2010 Mar-Apr; 24(3): 235-242)

 

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文:川口友万(かわぐち ともかず)/Profile

サイエンスライター。富山大学理学部物理学科卒。パソコン誌編集者を経てフリーに。ラーメンから都市伝説までなんでも科学で読み解くことを得意とする。科学関連のテレビ出演多数。「サイエンスにもっと笑いを!」がモットー。スマホではマンガばかり読んでいる。
フェイスブック https://www.facebook.com/tomokazu.kawaguchi.73

(抜粋)

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[監修者]
佐久間寛之(独立行政法人国立病院機構 さいがた医療センター副院長)
霜田里絵(銀座内科・神経内科クリニック院長)
坪田 聡(雨晴クリニック副院長)
奥村 歩(おくむらメモリークリニック理事長)
遠藤美季(任意団体エンジェルアイズ代表)
BEST BODY DESIGN 南浦和
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[編集]光元志佳、中澤雄介(オフィスJ.B)
[イラスト]さゆ吉

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[WEB編集]FASHION BOX

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