加齢による筋肉や骨の衰えは、更年期に見られる頻尿、尿もれ、骨粗しょう症などのトラブルと直結します。
それらの改善には「自分の好きな運動がいちばん!」と産婦人科医・高尾美穂先生は言いますが、毎日続けることは難しいもの。
そこでおすすめなのが超簡単なヨガ。紹介するのは、ふとんの上で起き抜けや寝る前にできたり、立っていれば場所を問わずどこでもできるものばかり。
少しでもトラブルのない生活のために、早速始めてみませんか?
血液をめぐらせる「合せきのポーズ」
股関節の柔軟性を高めることで鼠径部(そけいぶ)の滞りを促し、骨盤まわりの筋肉の緊張をゆるめるポーズです。
上半身と下半身をつなぐ位置にあり、しかも動脈、静脈、リンパなどが集中しています。股関節の可動域が大きくなることで全身のめぐりが良くなり、血流がアップします。
1.
床に、骨盤が立つように姿勢良く座り、ひざを外側に曲げて両方の足裏を合わせる。
足裏がピタッとつかなくても、できるだけつくように意識すればOK。
2.
つま先を両手でつかみ、その足を自分側に少しずつ引き寄せる。
大きく息を吸い、胸を張った姿勢でゆっくりと息を吐きながら上半身を前に倒す。
前屈したまま、深呼吸しながら10秒間キープする。
骨盤底筋を鍛える「ワイドヒップリフト」
骨盤の後ろから太ももの横まで伸びているおしりの筋肉・大殿筋と、太ももの内側に集まる内転筋群を鍛えることで、必然的に骨盤底筋が強化される「ワイドヒップリフト」。
骨盤底筋は、年齢を重ねると下がりがちな膀胱、子宮、直腸などを正しい位置で支えています。鍛えることで、尿もれや子宮の下垂といった症状を緩和します。
1.
仰向けに寝た状態で、両足を肩幅に開く。その状態で両ひざを立てる。
このとき、ひざは閉じた状態が◎。手のひらは下向きにし、指先は足のかかとにくっつけるように、かかとの位置を体に近づけること。
2.
肩からひざが一直線になるようにおしりを上げる。
両ひざを離さないように意識することで、太ももの内側の筋肉に力が入る。
この状態で、10秒間キープする。
骨粗しょう症予防には「ドルフィンツリー」
骨粗しょう症は閉経後の女性に発症しやすく、加齢やエストロゲン分泌量の減少などにより骨量が減り、骨がスカスカの状態になって骨折しやすくなります。運動には、体力を維持することで転倒しにくい体にするほか、骨に負荷をかけることで骨密度が増えるという報告も。
ご紹介するポーズは、内転筋群と骨盤底筋を刺激。姿勢を改善することで歩きやすくなり、転倒防止につながります。また、つま先立ちになったあと、かかとを床に落とすことで、骨粗しょう症の予防になります。
1.
つま先を開くようにして両足のかかとをつけ、背すじを伸ばして「気をつけ」の姿勢で立つ。
2.
肩甲骨を寄せるようにしながら両腕を伸ばして上げ、かかとをつけたままつま先立ちをする。
この状態で10秒間キープした後、全身の力を緩めながら、かかとを床にストンと落とす。
教えてくれたのは高尾美穂先生
産婦人科医・医学博士・スポーツドクター。
女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。
文部科学省・国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバー。
長年ヨガを愛好し多くのヨガインストラクターを指導。
YouTube「産婦人科医 高尾美穂からのリアルボイス」では毎日、女性のお悩みに答え、楽に生きられる考え方を配信している。
取材・文/大人のおしゃれ手帖編集部
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