吉岡里帆|映画『ハケンアニメ!』で演じるヒロインの不器用な生き方に共感「悩んで、悩んで、悩んだ先に作品が生まれるのが胸熱」[インタビュー]

吉岡里帆「愛せるものがひとつあれば大丈夫」仕事に捧げた20代の先を見据えて[インタビュー]

CARVE OUT A CAREER FOR MYSELF
運命は自分で切り開く。29歳、吉岡里帆の現在地

「20代は全力で走ってきた」という彼女の言葉に嘘偽りがないことは、目を見ると伝わってくる。約1年ぶりの我々とのシューティングも、真剣に向き合う姿から、一時も目が離せない――。

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ハンサムとフェミニン。ギャップで魅せるワントーン

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ドレス¥149,600、パンプス※参考色¥125,400、コート¥199,100(すべてスポーツマックス/マックスマーラ ジャパン)

とろけるように肌に寄り添うピュアシルクのマキシドレスに、ジャケットやラムレザーのスクエアトゥヒールでハンサムなエッセンスを加えて。

意外性のある肌見せが今季らしさを加速させる

吉岡里帆|映画『ハケンアニメ!』で演じるヒロインの不器用な生き方に共感「悩んで、悩んで、悩んだ先に作品が生まれるのが胸熱」[インタビュー]
ジャケット¥149,600、ベアトップ¥29,700、パンツ¥149,600※参考価格、ピアス¥26,400※参考価格、サンダル※参考色¥106,700(すべてスポーツマックス/マックスマーラ ジャパン)

スーパーハイウエストとベアトップの隙間からのぞく、隙のない鍛えられた腹筋はまさに鍛錬のたまもの。ワークなディテールをちりばめ、動くたびに表情を変えるパンツが印象的。

吉岡里帆|映画『ハケンアニメ!』で演じるヒロインの不器用な生き方に共感「悩んで、悩んで、悩んだ先に作品が生まれるのが胸熱」[インタビュー]

ヌーディカラーのドレスに負けない美しき肌の吸引力

吉岡里帆|映画『ハケンアニメ!』で演じるヒロインの不器用な生き方に共感「悩んで、悩んで、悩んだ先に作品が生まれるのが胸熱」[インタビュー]
ドレス¥149,600(スポーツマックス/マックスマーラ ジャパン)

美しい肌をキープしている吉岡さんにお会いするたび、いつもスタッフは感心させられる。それは一朝一夕でつくられるものではないと、だれもが知っているから。彼女の肌に神々しささえ宿るのは、そういった努力が垣間見えるからかもしれない。

嘘なく、ひたむきに。ひとつの“好き”をたずさえて

吉岡里帆さん主演映画『ハケンアニメ!』に、きっと働くだれもが背中を押される。20代の終わりに彼女が立ち返ったのは、好きを貫くという原点。

一生懸命働いている人にこそ“ちゃんと”届くはず

映画『ハケンアニメ!』は、心身を削り、愚直なまでにアニメに情熱を注ぐ人々の物語。吉岡さんは新人アニメ監督・斉藤瞳を演じる。
「瞳という人物は、中村倫也さんが演じるアニメ界のスター監督・王子千晴の作品がきっかけで、公務員からアニメの世界へ飛びこんでいった人。影響を受けて、新しい道に進んでいこうと決意するほどの作品に出会う素晴らしさ、それこそがこの映画のテーマのひとつになっています。“人生を変える作品に出会う”というのは、私が仕事をするうえでも大事にしていること。たとえば、たった一本の映画やアニメ、小説とか漫画、その作中に出てくるメッセージにどうしようもなく心を動かされて、次の日、全然違う自分になれてがんばれる、そういう経験をしたことがある人ってたくさんいらっしゃるはず。その高揚感とか、作品の衝撃こそエンタメの底力だと思います。同時に描かれるのは、大人になっても仕事に追われて、うまく立ち回れなかったり、スムーズにいかない働く大人としての現実。私自身も体験していることですし、似たような葛藤を抱えている同世代も多いと思うので、この作品は一生懸命働いている人にこそ、ちゃんと届いていくはず」

吉岡さんが今いる場所も、人の心や人生を動かすという点で、映画の中で描かれる世界と共通する。
「映画やドラマにたずさわっているひとりとして思うのは、今、自分が出せることをすべて出し切ることがいかに大切か。今届かなくても、いつか届く日がくるかもしれないから、私にできるのは最善を尽くすことだけなんです。それが、この仕事に対する覚悟のようなもの。原動力になるのは、おもしろいものを観てもらいたいという思いだけ。『どうすれば楽しんでもらえるんだろう?』、その探求の旅に出てしまったので、一生をかけて考えていくんだろうなと。瞳の生き方には共感しますね、なんか不器用だなとも思いますけど(笑)。もっとうまくやればいいのに!と思うんですけど、私もうまくやれなくて悩むこともたくさんある。そうやって、悩んで、悩んで、悩んだ先に、あのアニメーション作品が生まれるっていうのが胸熱なんです。完成作品を観たときに、『あぁ、いい映画だな』と心から思えたことも、すごく幸せです」

心血を注いだ仕事がだれかに届いている実感は、時を経て思いがけずやってくる瞬間があるという。
「私の場合は、地方ロケに行って、その先で話しかけてくださったときに実感します。この前も、撮影中に『○○観てました~』『え、それ5年前くらいの作品なのに。あれを観てくれていたんですか?』なんてやりとりがあって、自分が知らないだけで作品を観て楽しんでくれている人がいるんだな~と心が温かくなる。普段は直接そういった声を聞ける機会がなかなかないので貴重な経験です。いただいたファンレターには、作品の細かな描写を書き添えながら『このシーンに背中を押されました』と丁寧に綴ってくださっていて、ちゃんと届いていたんだって気づくことができる。そんなふうに、あとあとになって、励まされることが多いんですよね」

吉岡さん自身が励まされる作品について質問すると、1ミリも迷うことなく映画『ピンポン』を挙げてくれた。
「大好きで、本当に好きなんです。原作の松本大洋さんのファンでもあるんですけど、宮藤官九郎さんの脚本だからなのか、キャストのみなさんが素晴らしいからなのか、とにかくテンションが上がって、やる気スイッチを押してくれる映画です。今でも、思い出すだけでも胸がガッと熱くなります。それぞれのキャラクターのセリフを今でも忘れていないし、天才型の主人公・ペコと、月本のふたりの青春時代の描写も大好きだし、挫折して落ちこぼれたペコの復活劇にしても、本当にがんばろうって思えちゃう。一度光を浴びて、でもがんばり方がわからなかった人間が、もう一度這い上がっていく姿に、なんて希望にあふれた作品なんだろうって感動します」

信じるもの、愛するものがたったひとつあればいい

映画やドラマ、舞台と演じる場はもちろん、演じる役柄にしても、20代のラストスパートは縦横無尽に振り幅広く、伸び伸びと取り組む姿が際立った吉岡さん。
「自分がどう思われるかより、どんな作品を世の中に出していけるのかのほうが、よっぽど重要だということに気づけたことがとても大きかった。よくも悪くもその後の評価は、どっちも受け入れるべきだし、どっちも自分の栄養にしていかなきゃいけないなと思考回路に備わったんだと思います。観てくれた人だけが私という役者を評価してくれるわけなので、それってすごくありがたいなと。今までいろんな作品にたずさわってきて、自分はひとりじゃないし、大勢でひとつの作品を作っている感覚がより強くなりました。私というパーソナルも、自分だけど自分だけのものではないという感じでもあるんです。はじめはそれに慣れなかったけど、どこか自分を客観視するようになれたのかもしれない。吉岡里帆という素材をうまく作品に使ってもらえるといいなっていう。自分なんだけど、自分で自分の背中を押している。いってこい、茨の道へ!って(笑)」

“強くなった”と確信を持って言葉にする。その心の変化はファッションにも投影される。
「前までは、仕事に追われて、もうがんばれない、服にまで気が回らないよっていう状態。明るい色が着られない時期があって、トーンが暗くないと落ち着かない、明るい服だと心が疲れちゃって。でも、心が変わったら、着たい服もどんどん変わっていったんです。自分がたくましくなったから、洋服に心が負けない。デザインが強くても、色が強くても、着られる。年相応のファッションも好きだから、今はカッコいいもの、ちょっとラグジュアリーなものを身につけたくなっています。身につけたときに、またときめきが広がって、よい循環をくれるはず」

キャリアでいえばもう少しで丸10年。心を途切れさせることなく、どこまでもピュアなまま仕事に向き合う、彼女のその姿勢に触れるたびに新鮮な感動が訪れる。
「まっすぐ仕事に向かえるのは、いっぱいちゃんと悩んだから。悩まずに、自分の苦しいとか悲しいに無理やりフタをして、嘘ついたまま仕事を続けていたら、きっとこんなに前向きにはなれなかった。その都度、向き合ってきて、乗り越える方法を模索してきたから、今、揺らがずにいられるんです。違和感を無視せずに、しんどくてもひもといていく作業を諦めずに続けてきました。最近では、諦めポイントを見つけることも大事にしています。全部欲しがったらなにもうまくいかないので、これはがまん、その代わりこの仕事をちゃんと成し遂げるために時間を使おう。時間も限られているし、私のカラダはひとつだけ。がまんと諦めのバランスがわかってくると、無駄なこともわかりだす。ここで悩むのは無駄、ここで傷つくのはもったいないなって。その先に見えてくるのが、本当に好きなものなんですよね。映画のキャッチコピーにもなっている『好きを、つらぬけ』というフレーズ。それがひとつだけあれば、苦しい時間も乗り越えられる。最後の最後で、信じられたり、柱になって愛せるものがたったひとつだけあれば大丈夫」

仕事に捧げた20代。後半の5年は躍動感のある仕事をしたいと願って、人の倍の仕事をすると決めて、突き進んできた。すぐそばに控える30代に心を弾ませる。
「若さとエネルギーだけで乗り切れた20代とは違って、30代はステージアップしないといけないなって思います。今までの働き方でイメージができ上がっている部分もあると思うので、30代はそれを壊していく作業を。年齢を重ねたなりのおもしろさを見出していきたいし、パフォーマンスにも出せるといいですね。イメージに委ねず、甘えず、自分の“好き”をより洗練させながら、明確に打ち出せる大人に憧れます」

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PROFILE/吉岡里帆(よしおか・りほ)

1993年1月15日生まれ。京都府出身。主演を務める映画『ハケンアニメ!』が5月20日(金)から全国公開中。初主演舞台『スルメが丘は花の匂い』が7月22日(金)~31日(日)に東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA、8月から全国6か所にて上演予定。

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