今までと違う不調を感じたら、それは女性ホルモンが減っているせいかも?そんな時は、悩むより婦人科へ!婦人科医は女性の不調のプロなのですから。まずは、女性ホルモンの減少によって起きる変化と、婦人科でどんな治療が受けられるのかを専門医に聞いてみました。備えあれば更年期も怖くない!
教えてくれたのは……
宮益坂メリーレディースクリニック 院長 長岡美樹先生
頼りになるセンパイ女性でもある、婦人科専門医。不調がなくなっても定期的に通ってくる患者さんもいるそう。日本女性医学学会認定医、日本産婦人科学会認定医。
女性は更年期になるといろいろな不調が現われます
その不調は女性ホルモンが減ったせい?
40才を過ぎる頃からエストロゲンという女性ホルモンの分泌量が減り始めます。更年期と呼ばれるのは閉経をはさんだ前後5年ずつの約10年間ですが、何才で閉経するかは誰にもわかりません。閉経してからあの時の自分は更年期だったと思い返すのがせいぜいです。閉経のおおよその目安は50才前後ですが、個人差がかなりあります。ストレスや喫煙などによって早まることもありますし、50才を過ぎてもしばらく生理がある人もいます。
更年期は幼児期、思春期などと同様に人生の時期を示すもので、更年期には必ず不調が出るとは限りません。不調を一切感じなかったという人もいます。症状の出方や不調の度合いや期間も人それぞれです。むやみに更年期を恐れなくてよいのです。とはいえ、女性ホルモンが減ることで起きる症状を知っておけば、いざ自分の体に変化が起きた時に慌てずにすみますし、婦人科に行けば大丈夫と安心もできます。
▶︎女性ホルモンの量はジェットコースターのように減少します!
エストロゲンは生殖機能のほか、皮膚や粘膜のうるおいを保つ、血管の柔軟性を保って血流を促すといった作用もあります。そのため、エストロゲンが減ると全身のどこに影響が出てもおかしくありません。
その一方で、脳はエストロゲンが減っていくと、「このままでは足りない!」と認識して、卵巣に「エストロゲンを出せ」と指令を送り続けます。が、疲弊した卵巣はエストロゲンを作れない。この無意味なやりとりが脳を混乱させるせいで自律神経にまで乱れが出て、心身の不調を起こすこともあります。運動をしたわけでも、気温が高いわけでもないのに頭皮や上腕に大量の汗をかくホットフラッシュも自律神経が乱れることで起こります。
今までと違う……と気づいたら「婦人科のプロ」に相談しよう!
▶婦人科の選び方
お産が中心、不妊治療に特化しているなど、産婦人科でも専門領域は様ざまです。的外れなところに行くと時間が無駄になることも……。GLOW世代の婦人科検索をするなら、日本女性医学学会のHPがおすすめです。「近隣の専門医・有資格者を探そう」では、更年期の不調改善に積極的に取り組んでいる全国の医師を検索できます。
▶診断はこう行われる!
▶“私も受診して検査しました!”
40代前半で大量の汗をかくようになって婦人科に行ったところ、確認のために女性ホルモン値を測ることに。結果、まだまだ卵巣は元気という診断でした。その後3~4年すると、今度は目と口がカラカラに乾いて、目薬とアメが手放せなくなりました。で、再び婦人科へ。明らかにホルモン値が下がっていたのでホルモン補充をしています。自分の状態を数値で見ると、体の変化を受け入れやすいです。(ライターK)
女性特有の疾患は婦人科で相談しよう
もちろん、不調を感じないまま更年期を終える人もいます。でも、一方では不調の原因がわからずにあちこちの病院をさまよい続ける人もいます。お財布が診察券でいっぱいになっていませんか?そうした迷えるGLOW世代の女性を診るのが私たち、婦人科医です。婦人科は内診がイヤと敬遠されることが多いのですが、お話を聞くだけで終わることもありますし、症状に応じて必要な検査をすることもあります。
たとえば40代前半でも更年期の症状が出ていれば、採血して女性ホルモン値を調べることもあります。甲状腺の病気の可能性も捨てきれないなら、これも血液検査でわかります。婦人科の範疇ではない疾患があれば専門医に紹介することもあります。
絶対に内診がイヤなら「今日は急ぐので」と断ってもいいんです。ただし、内診する必要があることは理解して、別の機会、別のクリニックででも構いませんからぜひチェックしていただきたいです。子宮頸がんや子宮、卵巣の異常を診断するには内診が必要です。
40才を過ぎて今までに感じたことのなかった不調を感じたら、真っ先に「婦人科に行ってみよう!」と思いつけることが大事だと思うのです。人生100年時代の今、45才は折り返し地点です。長くつきあえる婦人科医を見つけるチャンスでもありますよ。
女性ホルモン値が下がってきたら……どんな治療があるの?
▶︎保険でオーダーメイドの治療が受けられる
「婦人科で処方する薬は大きく分けて漢方薬とエストロゲン製剤です。漢方薬は体質に合わせていちばん困っている症状を改善するものを選びます。ホルモン療法(HRT)は、減りゆくエストロゲンを補ってホルモンのゆらぎを小さくすることができます。どちらも健康保険が適用され、診療費・処方料・1ヶ月分の薬代で1000~2000円前後です」(長岡先生)自費診療のところもあるので事前のチェックをお忘れなく。
【漢方療法】
更年期には漢方薬が大活躍。効き目が穏やかで副作用の心配が少なく、長期間、服用できるのがメリット。長く服用するものというイメージがあるが、速やかに効く症状もある。
【ホルモン療法】
エストロゲン製剤には錠剤の内服薬、肌に貼るパッチ、肌に塗るジェルの3タイプがある。副作用が出ることもあるので薬の種類、用法、用量については主治医と相談の上、開始する。
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
イラスト_MAIKO SEMBOKUYA
取材・文_黒川ともこ
編_安藤彩紀[vivace]、FASHION BOX
(GLOW 2019年6月号)
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