女性の健康課題を解決する「フェムテック」は、月経やセクシャルウェルネスだけでなく、妊娠・産後の女性に対するプロダクトやサービスも含みます。女性の社会進出に伴い、産後数ヶ月で職場復帰するワーキングマザーも少なくない昨今、仕事に育児に忙しい女性に向けてどういったアイテムが生まれているのでしょうか? 日本国内のフェムテック市場のパイオニアとして注目を集める企業「fermata(フェルマータ)」の共同創業者でCCOの中村寛子さんにお話伺いました。
搾乳前にハンズフリーで母乳マッサージ
━━産後、多くのママたちを悩ませる母乳問題。軌道に乗るまではもちろん、そのあとも乳腺の詰まりや張り、痛みなど、多くの課題と付き合うことになる人も少なくないでしょう。搾乳しながら両手でスマホの操作ができるアイテムなんて、本当にあるのでしょうか?
中村さん 搾乳をするものではなく、搾乳前にハンズフリーでマッサージしてくれるものはあります。特に日本では、母乳がよく出るように助産院などへマッサージをしに行ったりするかと思うのですが、それが自宅にいながらブラを着用するだけでマッサージでき、それによって母乳を出しやすくなります。また、マッサージしている間、もちろん仕事なども出来ます。これは北米で生まれた製品です。
中村さん また、吸水ショーツの応用版として、パッド部分に吸水機能を備えた授乳ブラもあります。母乳パッドがなくても漏れを防いでくれるので、母乳パットによって「肌が擦れて痛い」「赤ちゃんが母乳を吸うので乳首まわりを傷つけたくない」などのお悩みに応えてくれるものになります。
生理だけじゃない! 女性の一生をサポートするフェムテック
中村さん 吸水ショーツが目立ったせいか「フェムテック=月経」と思っている人もいるのですが、下のマーケットマップを見るとわかる通り、月経まわりから妊活、女性特有の健康課題、セクシャルウェルネス、妊娠・産後、更年期とジャンルも多岐にわたります。現状7つに分けているこのジャンルも今度新たな課題やソリューションが出てくれば、もっと増えていく可能性もあるんです。
教えてくれたのは……fermata CCO 中村 寛子さん
Edinburgh Napier University 卒業後、デジタルマーケティング企業に入社。その後、女性エンパワメントを軸にジェンダー、年齢、働き方、健康の問題などまわりにある見えない障壁を多彩なセッションやワークショップを通じて解き明かすダイバーシティ推進のビジネスカンファレンス「MASHING UP」を企画プロデュース。2019年、杉本亜美奈さんと「fermata」を設立。
「フェムテックが集まるECサイトも」https://hellofermata.com/
宝島社では女性誌11誌男性誌2誌、計13誌合同によるフェムテック・フェムケア啓発プロジェクト「もっと話そう! Hello femtech」を2021年12月25日より始動しました。
フェムテックの認知度向上を通じて、女性の健康問題に係わる具体的な話題を話す機会を増やすことで、女性がより活躍できる社会に繋げ、ひいては男女関係なくヒトが生きやすい社会を目指すための活動です。
Hello Femtech 特設ページはこちら
→https://fashionbox.tkj.jp/femtech
取材・文=吉田彰子