子どもへの性教育は3歳から! 伊藤千晃が性教育アドバイザーと対談「明るく楽しんで」

性教育は3歳から、と専門家が説く理由は?我が子の性被害予防につながる「命の授業」の大切さ[伊藤千晃と対談]

伊藤千晃さんと考える! おうちで始めるポジティブな性教育

保健の授業でしか性教育を受けてこなかった私たち。性の話をわが子にどこまで話したらいいの? 何歳くらいから始めるべき? 周りになかなか聞けない悩みをアーティスト・モデルの伊藤千晃さんと一緒に性教育アドバイザーののじまなみさんに伺いました。

『InRed』最新号を購入する!

宝島社公式通販サイト「宝島チャンネル」なら電話注文もOK! 詳しくはこちらをクリック
【電話注文専用TEL】0120-203-760
【受付時間】9:00~18:00(土日祝日を除く)

 

性教育の適齢期は3歳から わかりやすい単語で伝えよう

子どもへの性教育は3歳から! 伊藤千晃が性教育アドバイザーと対談「明るく楽しんで」
トップス¥15,400、パンツ¥14,000(ともにラウンジレイ) ピアス、リング(スタイリスト私物)

伊藤:私自身5歳の息子がいて、最近はいろいろな言葉も覚えて体のことも聞いてくるようになりました。なるべく包み隠さずに伝えようとは思っているのですが、まずは何から、どこまで話すべきか、何歳になってから話そうか悩みます。

のじま:私は性教育の適齢期は3歳からだとお伝えしています。

伊藤:3歳から! 思ったより早い!

のじま:3歳だとまだ、性について話しても理解できないことが多い年齢ですが、それくらいの年齢から性の話に慣れ親しんでおくことが大切。性教育で大切なのは、逃げない、怒らない、いさぎよくという3つです。性教育=性行為と思う人も多いと思いますが、性教育は「命の授業」だと思って子どもたちに伝えてください。

Q.5歳の息子にはまだ先の話だと思っていましたが、幼少期から教えられることはありますか?(30代・会社員)

伊藤:この質問、私も気になります。自分の体のことを聞いてくるようになった息子のために最近、体の絵本を買って説明したところです。

のじま:私が3歳からとみなさんに伝えているのは、今では小さい子でもインターネットでアダルトサイトに簡単にアクセスできてしまう時代だからなんです。そうなると間違った情報が入ってきてしまうこともあります。どんどん動画を見ていくうちに暴力的な動画にたどりついたり、そういった行為の善悪がわからなくなってしまうんです。そうした誤解がないように、子どもが理解できる単語できちんと説明する必要性があるんです。

伊藤:確かに、私たちの幼少期とは環境がまったく違いますよね。子どもが性についてインターネットで検索するという話をよく聞きます。

のじま:子どもがなぜ、インターネットで性について検索するかというと、興味を持っても教えてくれる環境がないからなんです。私たちの幼少期とは環境がまったく違うのにもかかわらず、令和になっても小中学校では昭和の性教育と同じような内容で行われています。

伊藤:確かに私の小中学生の時も授業で性教育について学んだのは、ほんの少しでした。

のじま:今でも国が定める学習指導要領で使用しにくい用語がたくさんあり、性について扱うカリキュラムが他国より遅れています。小さい頃からネットを使って動画やSNSに簡単にアクセスできてしまう現代で、ネットで性について質問すれば見ず知らずの人が親身になって相談に乗ってくれる。しかし、それが悪意のある人たちの罠だったりすることも多々あります。これでは性について正しく学ぶことができません。

伊藤:私も親になって思うのは、若い頃に親からもっと性教育について教えてほしかったなって思います。

Q.4歳の娘に「どうやって赤ちゃんはできるの?」と聞かれるのですが、何と答えるのが正解?(35歳・会社員)

のじま:伊藤さんなら息子さんにどう答えますか?

伊藤:私だったら……どう答えるかな。「すごく愛おしい人ができたりすると、赤ちゃんがお腹の中にできるんだよ」と、ぼんやりした説明になってしまうかも(笑)。

のじま:多くの方はそうだと思います。でもきちんと話すことが大事。お父さんの精子とお母さんの卵子っていうのがくっついて赤ちゃんの卵になって生まれたんだよって。4歳だと精子や卵子という単語は難しいので、精子はおたまじゃくし、卵子は赤ちゃんの卵でもいいです。楽しく、自由な雰囲気で話すことも重要です。

伊藤:そこまで具体的に話してもいいんですね。子どもに精子や卵子という言葉を教えるのに抵抗のある親もいると思うのですが。

子どもへの性教育は3歳から! 伊藤千晃が性教育アドバイザーと対談「明るく楽しんで」
「言葉は何度も言えば慣れてくるもの!」

のじま:性教育=命の授業なので、親もそういった認識ができれば抵抗はなくなります。おちんちんでも、ペニス、膣でもなんでも、何度も言葉を繰り返し言えば、慣れてくるものです(笑)。

Q.息子なので相手を妊娠させてしまう可能性もあり、セックスや避妊についてオープンに話したいと思っています。今からできることは?(30歳・会社員)

のじま:性教育は待ちの姿勢ではなく、攻めの姿勢が大事。親も学校や家庭で習ってこなかったので、慣れていない。でも性教育はセックス教育ではなく、お腹に宿る時から、亡くなるその瞬間までの話をするのが性教育なんです。「男の子には何でおちんちんがあると思う?」「お母さん今日生理なの」「赤ちゃんはどうやってできると思う?」など、日常的な会話の中で楽しく性について話しておく習慣を作っておくのが大切です。

伊藤:そういう話が苦手なタイプの人はどうしたらいいのでしょうか?

のじま:おすすめしたいのが、「お風呂で自分のパンツを洗う」という習慣です。どんなに落ち着きのない男の子でもお風呂場だったら動き回れる範囲が狭まるし、ゆっくり話ができるじゃないですか。命の話や第二次性徴の話など、自然な流れで話すのがよいですね。

伊藤:パンツを日頃から洗う練習をしておくと、どういうメリットがあるんですか?

のじま:幼い頃はパンツの尿じみやお通じの拭き残しがつきやすいパンツですが、成長するにつれて精通や生理で汚すことがあります。汚れたパンツを親に見られる、知られるということは、大人が考えている以上に子どもにとっては恥ずかしいこと。幼い頃からパンツを自分で洗う習慣をつけておくことで、思春期が来ても自分で対応できますし、自分の体の成長を知ることができます。

伊藤:親が心配することの一つに、性の話を外で言いふらさないかっていうことがあると思うです。私もその部分は心配しています。

のじま:「こういう話を見たり聞いたりするとすごく嫌だなって思う人がいるんだよ。だからうちの中だけで話そうね」ってきちんと伝えます。「何か聞きたいことがあったら、お母さんとお父さんに聞いてね。なんでも話してあげるからね」って。聞きたいという思いで案外約束を守りますよ。

Q.万が一、性被害に遭った時に正直に話してくれる関係でいたいです。日頃から心がけることはありますか?(38歳・主婦)

のじま:小さな子が巻き込まれる性被害は思っているより多いのが実情。親に言えるのはごく一部、警察等へ届出をする件数はさらに少なくなります。幼少期の性犯罪は自分が何をされているかわからないことが多く、それを防ぐためにも、性についてきちんと話すことが重要です。

伊藤:子どもの性被害がそんなに多く、そして親に伝えられる割合が低いのに驚きです。

のじま:親に言うとどんな反応をされるのか怖い、嫌われてしまうんじゃないかと思ってしまうんです。そうならないためにも「どんな時もあなたの味方」だと日頃から伝えてください。そして、一人で悩んではいけないと話をしてくださいね。

伊藤:被害を防ぐためにも、性についてきちんと話すというのは、具体的にはどのように教えていけばいいのでしょうか。

のじま:口と性器と胸とお尻、水着で隠れる部分と口は自分の大切な部分で、自分以外の人に触らせたり見せたりする場所ではないと教えます。相手の水着ゾーン(※)も勝手に見たり触ったりしてはいけないということも教えてあげてください。

伊藤:とにかく普段から話すことが大切なんですね。

のじま:心の話、体の話、命の話、愛の話、最後に防犯の話ができればいいですね。

子どもへの性教育は3歳から! 伊藤千晃が性教育アドバイザーと対談「明るく楽しんで」
「日頃から明るく楽しく性について話せるよう頑張ります」

伊藤:私自身、性教育以外にもフェムテックに関心があり、勉強しているところです。自分の体の仕組みがわかってくると、納得できる部分もたくさんあって、今は学ぶことが楽しみです。今回は踏み込んだ話ができて勉強になりました。

のじま:大切なわが子と、明るく性教育を楽しみましょう。

※「水着ゾーン」は株式会社Terakoya Kidsの登録商標(商標登録第6192046号)です

 

のじま流性教育で大切な3カ条!

性教育を教えるのに早いに越したことはない
SNSや動画サイトで簡単に性に関する情報を得られる時代。幼児期から性教育をすることで、インターネットで見たものがフィクションだと理解させることが重要。性犯罪の防止へも繋がります。

ペニス、膣、セックス……言葉の恥じらいを捨てる
セックス、ペニスといった言葉を「恥ずかしい」と思ってしまい、使えずにいると何も始まりません。他人に話すわけではないので、家の中で言葉に出して、わが子とたくさん話しましょう。

とにかくストレートに具体的に教えよう
明るく、いさぎよく説明することが大切です。「お父さんの精子とお母さんの卵子がくっついて赤ちゃんができるんだよ」というように、笑顔でわかりやすく楽しく話すことも重要です。

NOJIMA’s COMMENT

子どもへの性教育は3歳から! 伊藤千晃が性教育アドバイザーと対談「明るく楽しんで」

「幼い頃から動画サイトやSNSに簡単にアクセスできてしまう現代、性教育は大切な要素の一つです。早くからスタートすることで命の尊さを学ぶことにもつながります。『明るく、楽しく』始めましょう」

犬山紙子×シオリーヌ「性の話は人権問題」パートナーへの生理の伝え方などを対談

女性は「モテ」を目指すよう誘導されている!? SHELLY、長田杏奈たちが日本の性教育&性犯罪問題に切り込む![インタビュー前編]

 

お話ししてくれたのは……

子どもへの性教育は3歳から! 伊藤千晃が性教育アドバイザーと対談「明るく楽しんで」
左から伊藤千晃さん、のじま なみさん

【左】伊藤千晃(いとう・ちあき)さん

【PROFILE】
アーティスト、モデル、タレント、ブランドプロデューサーとして活躍。プライベートでは5歳の男の子のママ。フェムケアの勉強や活動にも力を入れている。

「子どもからの性に関する疑問にきちんと答えられる親でありたい」

【右】のじま なみさん

【PROFILE】
性教育アドバイザー・パンツの教室協会理事。看護師としてのキャリアを経て、2016年「とにかく明るい性教育【パンツの教室】」を設立。講演会や様々なメディアで活躍。著書『赤ちゃんはどこからくるの? 親子で学ぶはじめての性教育』(幻冬舎)

「性教育は親から子への命の授業。何も恥ずかしいことはないんです」

『InRed』最新号を購入する!

宝島社公式通販サイト「宝島チャンネル」なら電話注文もOK! 詳しくはこちらをクリック
【電話注文専用TEL】0120-203-760
【受付時間】9:00~18:00(土日祝日を除く)

 


日本は性教育が遅れている!? SHELLY×長谷川ミラ対談|「膿を出し切らないと」20代に向けたメッセージも必見[インタビュー]

元アンジュルム・和田彩花「自分の心と体を元気にさせてあげるのは自分」生理期間を前向きに過ごすコツ[インタビュー]

女性ホルモンでカラダはどう変化する? 痩せやすくなる時期などを解説[婦人科医 監修]


撮影=玉井俊行
スタイリング=ウツミサオリ
ヘアメイク=岡田いずみ〈KiKi inc.〉
取材・文=中村三枝子
(InRed 2022年11月号)

※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください

WEB編集=FASHION BOX

RELATED CONTENTS

関連コンテンツ