スキンケアをする女性

シワやたるみの原因は骨!? 医師に教わる美容と骨のつながりとは?

年齢とともに気になるシワやたるみ。悩みを解消するためにスキンケアを頑張ったり、マッサージなどのケアをしたりしても、なかなか変わらないと感じることはありませんか?

顔のシワやたるみの原因は紫外線や乾燥、ストレスなどさまざまなものがありますが、実は骨密度の低下も原因の一つと言われています。

そこで骨と美容はどう関りがあるのか、どう対策をしたらいいのかについて、整形外科医でゆりクリニック院長の矢吹有里先生に教えていただきました。

骨は健康だけでなく見た目の若々しさにも影響が!

「骨密度の低下や骨量の減少は加齢とともに全身で起こりますが、一番最初に骨密度が低下するのは、実は顔の骨なんです」と矢吹先生。どのようにして骨密度は低下してしまうのでしょうか。

女性ホルモン分泌低下とともに骨量が減少

骨は、古くなった骨を壊す「骨吸収」と、新しい骨を作る「骨形成」を毎日繰り返し、3年から5年をかけて全身の骨がすべて入れ替わります。これを「骨代謝」と言います。骨代謝

 

古くなった骨を壊す細胞と新しい骨を作る細胞をバランスよく働かせるために重要な役割を果たすのが、女性ホルモンの「エストロゲン」。これが減少すると骨を壊すスピードが骨をつくるスピードに追いつかなくなり、骨密度が低下につながります。

そのため、女性ホルモンの分泌が低下するのと連動するように、更年期と呼ばれる40代半ば以降、急激に骨量が減ってしまいます。

骨密度と年齢のグラフ

顔の骨がやせると靱帯が緩んでたるみやシワにつながります

骨密度が低下すると骨が委縮して「骨やせ」が起きます。これが顔の骨に起きて骨や筋肉をつなぎとめている靱帯が緩むと、皮下脂肪や表皮を支えきれなくなり、同時に皮下脂肪や皮下組織もやせてたるみやシワができてしまいます。

また頬の骨がやせると、目頭の下から頬の中央あたりの斜め下に入るゴルゴラインやほうれい線が深くくっきりしてしまいます。また、あごの骨がやせると、二重あごや首のシワにもつながります。

骨密度と顔の変化

このように、骨がやせると健康に影響があるだけでなく、見た目にも大きな影響があります。顔の変化が気になり始めたら、どのように対策をしたらいいのでしょうか。そのカギとなるのが「骨美容®」です。

健康と美しさを保つ「骨美容®」に取り組みましょう

「骨美容®」とは、骨を丈夫にして骨格を美しく保っていくこと。骨密度を低下させず骨の代謝を促していくことで、いつまでも元気で若々しくいられる「骨美容®」に取り組むために大切なことをご紹介します。

骨美容®習慣①骨を作る栄養素をとる

まずは丈夫な骨を作るために必要な栄養素をとりましょう。骨を作る栄養素の代表格と言えばカルシウム。

カルシウムを多く含む食品は、魚や海藻類、緑黄色野菜、牛乳、乳製品があります。特に牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品は吸収率が高く、しかも調理せずそのまま食べられるので便利です。

カルシウムとあわせて吸収を助けるビタミンDをとることも大切。きのこ類や魚に多く含まれているので、意識してとるようにしましょう。他にもからだのもととなるたんぱく質やマグネシウムも積極的にとることが大切です。

骨にいい食べ物

日光浴でビタミンD補給をしても!

いま、日本人の多くの人がビタミンD不足と言われています。食事でとるだけでなく、シミやしわが気になる顔以外は適度な日光浴をして、体内でビタミンDを作りましょう。日光浴に必要な時間は、夏場なら日陰で15分、冬場は1時間程度と言われています。

そこまでの時間が取れなくても、朝起きて窓際に行き太陽の光を浴びる、1日数分程度でもベランダで日光浴をする、といったことをするだけでも違います。

日光浴

骨美容®習慣②骨に適度な衝撃を与える運動を

骨を作る栄養素をとれたら、骨を強くするための運動も行いましょう。骨は衝撃を与えられることで細胞が活性化され、強い骨に生まれ変わっていきます。

いままであまり運動をしてこなかった人は、かかとを上げて下ろす、かかと上下運動から始めてみましょう。電車や信号の待ち時間など、すき間時間に行うだけでも効果的です。

手軽に始めるなら、ウォーキングやジョギングなどの全身運動がおすすめ。また、縄跳びやダンスなどのジャンプする動きがある運動は、骨に適度な負荷がかかって、骨代謝が促されます。筋肉が強く収縮することでも骨に刺激が伝わるため、スクワットなどの筋肉トレーニング、ヨガやピラティスなども骨を鍛えるのにぴったりです。

ジョギング

骨美容®習慣③定期的に骨密度をチェック

骨密度の低下は、見た目や症状にはすぐには表れず、知らないうちに進んでいます。骨密度は病院の整形外科、自治体の定期検診などで知ることができるので、身近にチェックできるところを探しておきましょう。定期的にチェックすることで、見た目に変化が出てくる前に対策することもできます。

骨密度検査

骨量は急激に上げるのは難しいもの。まずは自分の骨密度をチェックし、少しずつできる対策から始めていきましょう。

教えてくれたのは……ゆりクリニック院長 矢吹有里先生

矢吹友里先生

東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学整形外科学教室に入室。その後、各地の急性期病院に勤務し、東京都済生会中央病院整形外科医長を経て、2017年、東京・田町に女性のための整形外科「ゆりクリニック」を開院。骨粗しょう症予防を美容医療の視点から考える「骨美容®」を提唱。メディアなどでも広く啓発活動を行っている。日本専門医機構整形外科専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。日本抗加齢医学会専門医。見逃されがちな「骨の健康」を通じて人々の挑戦を応援するプロジェクト「骨太な未来プロジェクト」アドバイザーも務める。

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