体内時計と栄養素には相関関係があり、健康には朝食の栄養素ととり方が大事。「時間栄養学」の識者、古谷彰子先生に詳しく教えていただきました。
体内時計をリセットし、健康的な体作りのため朝に栄養を!
近年、同じ栄養素でも摂取する時間によって体に与える影響が異なってくることがわかり、「時間栄養学」という考えが重要視されるようになりました。「時間栄養学では、体内時計を考慮し、効率的に健康を維持するために、『何を、どれだけ』だけでなく、『いつ、どのように』まで考えた食のアドバイスを行っています」と古谷さん。
人の体内時計は実は24時間より少し長いため、毎日リセットして24時間のリズムを作る必要があります。
「体内時計には親時計と子時計があり、視交叉上核にあるのが親時計で体内時計のリーダー。子時計は親時計の子分で、全身の組織・細胞にあります。親時計からの情報は自律神経、ホルモン、食事・運動などの行動を介して子時計に伝わり、睡眠リズム、体温変化、ホルモン分泌、神経活性化、エネルギー代謝など様々なコントロールを行っています」
古谷さん曰く、体内時計のリセットには、太陽光、バランスの取れた朝ごはん、適度な運動が有効。
「最新の実験で、一日の摂取量は同じでも朝にたんぱく質をとると、筋肉量が上がることもわかってきました。たんぱく質豊富なバランスのいい朝食を摂って体内時計をリセットし、健康的な体作りを心がけましょう」
生活の中で心がけること
1.栄養素と食材
朝は、体をしっかり起こすことが必要。そのためにたんぱく質(動物性・植物性バランスよく)、魚油に含まれるDHA・EPA、柑橘類(ノビレチン)、小麦、米、とうもろこしといった血糖値を上げる穀類やでんぷんなどの糖質をとりましょう。
2.時間
朝起きたら1〜2時間以内には朝食をとって。体を目覚めさせ、体温を上げることで、免疫力アップにつながります。夜の食べ過ぎや寝る前のスマホ習慣は、朝型のライフスタイルを阻害するので控えましょう。
3.食べ方
食事量のバランスは、朝4:昼3:夜3が理想的。規則正しくとり、夕食後は胃腸を休ませ、10時間ほどの絶食を心がけて。間食は夕食の2時間前に。血糖値上昇を抑制し、女性ホルモン数値を改善するなど、更年期症状の予防にもなるミックスナッツがおすすめ。
お話を伺ったのは……
愛国学園短期大学准教授、博士(理学)
古谷彰子先生
ChronoManage代表。管理栄養士。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチし、講演活動、料理教室も開催。小島屋とのコラボ「更年期のナッツ」を発売中。
イラスト/はまだなぎさ 文/坂口みずき
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください